Monthly Archives: 12月 2017

大掃除の最中に

12月28日(木)

2017年最後の営業日なので、校舎内外の大掃除をしました。私は外回りを担当しました。枯葉がたくさん舞い込んでいるのは先刻承知でしたが、砂ぼこりも結構たまっていました。また、植え込みの陰や隣の敷地とのすき間に空き缶やポリ袋が落ちていました。いや、見えないだろうと思って誰かが意図的に捨てたのでしょう。電車など乗り物のシートも全く同じで、クッションの隙間のような目立たないところに小さなごみが無理やり突っ込まれていることが多いのだそうです。でも、それは、掃除する人に手間をかけさせるに過ぎません。空き缶(正確には、そこに何か月分もの雨水がたまっていたので七分どおり入っていましたが)を取り出すのも大変だったんですよ。

そんなことをしていたら、京都の大学に進学したGさんがやって来ました。「やせた?」「はい。キャンパスが山の上なんで、よく歩くんですよ」。去年の今頃は受験の真っ最中で、運動不足もあったのでしょうか、まん丸でしたが、今はお腹が一回りか二回りへこんだような気がします。単位も順調に取っているようですから、脳で消費するエネルギーが増えた分だけやせたのかもしれません。

そうなんですよね、Gさんは、KCP史上おそらく最多の大学を受験し、おそらく最多の大学に合格しました。年末年始は面接練習やら何やかやで、毎日大騒ぎでした。期末テスト後も始業日眼も特訓でしたものね。あれから1年、早いものです。

そのあと、在校生のDさんが、大学出願にKCPの書類が必要だけど、1月6日必着だからどうしようと、青い顔をして飛び込んできました。来年の年末は、遠くに進学したDさんがひょっこり現れて、こんなことを思い出させてくれるのでしょうか。

よい新年を迎えたいものです。

まだ何も

12月27日(水)

今年はまだ、年賀はがきを買ってもいません。去年までは、発売開始早々に全国各地の地方版年賀はがきを買い求め、各地方独特のお正月風景の点描を楽しんでから、それぞれの人が気に入ってくれそうな絵柄を選んで、一筆したためたものです。ところが、今年は勢い込んで地方版セットを買いに行ったところ、なんと、今年から地方版が廃止になったと言われてしまい、がっくり肩を落として何も買わずに家へ帰り、そのまま元日まであと5日に至ったという次第です。日曜日にウチの近くのスーパーの店先で郵便局の人がサンタに扮して年賀はがきを売っていたのですが、なんとなく通り過ぎてしまったのもいけなかったかもしれません。明日どうにか年賀はがきを手に入れて、年末を過ごす名古屋のホテルの一室で書くことになるのかなあ…。

私が年賀状を出すみなさんは、10年以上も会っていない方々ばかりです。本当に必要最低限の人数にしか出しませんから、手書きでも十分間に合うのです。また、一人ひとりに図柄を選ぶ過程を通して、その方に思いを馳せる時間も確保していました。でも、あて先の住所はその年のお正月にもらった年賀状を見て書きますから、その年賀状を読みながら思い出すことにしましょう。

実は、来年の年賀状を早くも1枚もらっています。先日、写真が趣味というCさんが、来年の干支である戌と遠縁関係にあるレッサーパンダ(どちらも食肉目イヌ亜目に属する)の年賀状をくれました。大学院は写真とは全然関係ない専門に進むのですが、まさにプロはだしの写真です。私はこういう方面にはとんと疎いもので、とてもまねできません。写真の持つ勢いに素直に感心し、愛でるのみです。

修羅場を迎える

12月26日(火)

期末テストの成績が出揃うと、各学生の進級をどうするかを決めなければなりません。各科目の学期を通じた成績で合格点を取った学生は「進級」で問題ありません。しかし、1科目でも不合格点があると、こちらが頭を悩まさなければならなくなります。全科目不合格なら、胸を張って「もう一度同じレベル」と言えますから考えるまでもないのですが、中途半端に不合格の科目があると、情けをかけるべきかどうか多面的に考えていくことになります。

初級で文法の点が基準に達していないというのなら、情けをかけて進級させても次のレベルでつまずくだけで、情けが仇となるだけです。本人にとっては厳しい宣告でしょうが、「もう一度」が最善の指導です。学生はいろいろと抵抗を試みますが、教師はそれに負けてはいけません。鬼に徹しなければなりません。いかに学生自身に納得させるかが、教師としての責務だとも言えます。

10月期の上級となると、大学も大学院も入学試験たけなわで、それへの対応のために学校の勉強がおろそかになったと言い訳する学生が出てきます。確かにそういう事情もありますが、同じ状況にもかかわらずちゃんと合格点を取っている学生がいるのですから、教師としてすんなりと受け取れる言い訳ではありません。また、それだけ入試の勉強に力を注いで、それなりの結果を残してくれたら情状酌量の余地も出てきますが、そういう学生に限ってどうにもなっていないものです。

午前中、養成講座の修了式がありました。座学も教壇実習もこなして修了しているのですが、学期後の修羅場の実習なんていうのがあってもよかったかな。いや、こんな実習があったら、KCP日本語教師養成講座の最大のウリになるかも…。

疑い

12月25日(月)

「問題4はサービス問題ですから、そんなに厳しく採点しなくてもいいですよ」と、出題者のK先生から言われていたのは、学校に欠席を知らせるメールの文面を考える問題です。メールの文面については授業でも扱いましたし、これくらいなら常識で答えられちゃうだろうと思っていました。ところが、採点を始めると、学生たちの答えはとんでもないことになっていました。

「先生、おはよございます」とぬかしやがったのは、Sさん。以下、一切読まずに0点。超級の分際で「おはよございます」とは何事ですか。“う”を落としたのはケアレスミスだとは、絶対に言わせません。恥を知れ、恥を!

件名に「休みの請求」と書きくさったのはGさん。Gさんのぶっきらぼうな話し方そのものの件名です。私はGさんの担任ではありませんからGさんからメールをもらったことはありませんが、こんなメールをもらったら、Gさんがどんなに具合が悪くても、さらにひどくするような激烈な反撃メールを送らずにはいられないでしょう。

こういうのに比べれば、「休んでいただきますか」などはかわいいものです。優しく「卒業する前に初級をもう一度勉強しておきましょうね」と言ってあげられます。でも、こんなメールを外部に向かっては絶対に送らないでくださいね。間違いなく日本語力を疑われます。

相変わらず多いのが、名無しの権兵衛さんです。そりゃあ答案用紙の氏名欄を見れば誰が書いたかはすぐわかりますが、メールの文面を書けという問題なのですから、そこにも書かなきゃね。

K先生は“情けを掛けろ”とおっしゃいたかったのでしょうが、Sさん、Gさんを始め、情けの掛けようがない答案をたっぷり読ませていただきました。超級の皆さん、新年早々送られてくる成績通知メールの文法の成績に驚かないでくださいね。

去る者

12月22日(金)

選択授業の時間に書かせた小論文を読んでいます。教養とは何かというテーマを与えたのですが、ちょっと重すぎたようです。一生懸命書いてはいるのですが、議論が浅いのです。「教養は人間らしい生活に不可欠なものだ」といった類の、書いた本人もおそらくわけがわかっていないと思われるものが多く、出題を失敗したかなと思いました。しかし、これは何年か前の某大学の留学生入試の問題ですから、受験生たるもの、12月の時点で書けないなどと言っていてはいけないのです。

マークシート的な知識の堆積を狙った授業ばかりをしてきたつもりはありません。しかし、「教養」という、高等教育の目的の1つについてお手上げ状態では、私たちの教育のどこかに至らぬ面があったのでしょう。学校の中に物事を深く考える雰囲気が足りなかったのかもしれません。

その中に、「教養とはコミュニケーションのツールである」という意見がいくつかありました。異文化に触れ世界に目を向けるきっかけを作るなどという話になると、読んでいても夢が広がります。こういう学生の将来がまぶしく見えてきました。

コミュニケーション力をつけてくれというのは、私も去年の1月の入学式で祝辞として述べています。それから2年間勉強した学生たちの卒業式がありました。卒業生全員出席で、会場に空席がないというのは気持ちのいいものです。2年前には講堂いっぱいにいた新入生のうち、卒業式まで残ったのは講堂の真ん中にほんの3列だけ。コミュニケーション力が身についたか怪しい学生もいますが、よくぞ頑張り通したと思います。彼らと激戦を繰り広げた先生方も、式後ににこやかに談笑していました。

ゆがんだ三分粥

12月21日

午前中のテストが終わった後、EJUの結果がほしいと、Kさんが私を訪ねてきました。EJUの成績通知書はKさんあての信書ですからそれはそのまま渡しますが、Kさんは今月のというか、今学期の出席率がひどいので、そちらについて話をしなければなりません。

今学期、Kさんは本当によく休みました。理由を聞いてもはかばかしい答えが返ってくることはなく、のらりくらりと追及をかわしていました。それで全てが済んでやりたいことがし放題と思っていたら大間違いです。Kさんの今の出席率では、たとえ進学できたとしてもビザが出ないおそれがあります。今までにそういう話もしてきましたが、軽く受け流していたようです。来学期、卒業式までの実質2か月間100%出席したとしても、出席率の危険水域を脱することはできません。事態がそこまで悪化しているのにKさん自身は全く気付いていません。

EJUの成績にしたって、封を開けたとたん顔をゆがめていましたから、思い通りの成績が取れなかったのでしょう。調べてみると、案の定、6月より下がっていました。あんなただれた生活をしていたんじゃ、退化こそすれ進化など望むべくもありません。行き先がまだ決まっていないKさん、果たしてどうなるのでしょう。

期末テストの日の夕方は、いつも、アメリカの大学のプログラムで勉強に来ている学生たちの修了式があります。修了生は、修了証書をもらったらスピーチをすることになっています。みんな、この1学期間、実に濃厚な留学生活を送ってきたことがよくわかりました。3か月と期限が切られているからこそ、オーバーフローしそうになりながらも、貪欲に何でも吸収しようとしてきたのでしょう。その拙い日本語を聞きながら、Kさんだったらどんなスピーチをするのだろうと考えてしまいました。三分粥みたいなうすーい留学生活を送っていたら、なんにも話せなくなっちゃいますよ。

最高点の陰で

12月20日(水)

11月のEJUの結果が届きました。喜ぶ学生もいれば肩を落とす学生もおり、また、結果を見るのが怖くてなかなか封を開けられない学生もいるという、毎度おなじみの風景が繰り返されました。

Nさんは読解も聴解・聴読解も記述も最高点でした。KCPで初級から勉強していますが、とても慎重に1段ずつステップを踏みしめながら上がってきました。習った文法の例文をいろいろな角度から作り、その文法が使える範囲を自分の手で確認するような、抜け落ちのない勉強をしてきました。不明点はどんどん教師に質問し、これまた実感をもって理解しているかのようです。だから、私はNさんが最高点を取ったことを不思議には思いませんでした。

Dさんも日本語各科目で最高点でした。読書感想文コンクールにも参加しています。読書量がかなりのものだということがうかがえる作品でした。基礎から1つ1つ積み上げてきたことがよくわかる勉強法を、上級の今も続けています。一足飛びに難しいことをやりたがる学生が多いですが、そういう学生はどこかに大きな穴が開いていて、ある程度以上になると伸び悩みます。その反対が、Dさんです。

Yさんは肩を落とした組です。しゃべれるし漢字の読み書きもできるし頭の回転も速いし、授業中のYさんを見ている限り、DさんやNさんに引けを取るとは思えないのですが、テストとなると力を発揮できないたちなのでしょうか。面接では好印象を与えるタイプだと思いますが、EJUで合否を決められてしまうと辛いものがあります。

何より最悪なのは、EJUの結果が届く日に休んだKさん、Hさん、Sさんです。もらった結果を見て早速進学相談に来た学生が何人もいたというのに、お前らは無断欠席して何をしとったんじゃ!!!

特権階級

12月19日(火)

1年に計は元旦にありと言いますが、KCPではちょっと先走って、年内に来年の目標を書いてもらうことになりました。来学期の初日でもいいのですが、1年の反省をしたこの時期に、その反省を踏まえて次の年の目標を定めてしまおうという考えです。

私のクラスの学生たちは、最初はブーブー言っていたのですが、主旨を説明して書かせると、全員結構真面目に取り組み始めました。そして、一人ひとりの目標を見ると、1年後の自分のあるべき姿を言葉に表していました。このクラスの学生は大半が3月で卒業しますが、ここで書いた目標は進学先にまで持って行って、その実現に向けて努力を続けてもらいたいです。

学生たちが真剣に目標を考えた1つの原因は、この目標を書きっぱなしにしなかったことです。学生証に挟める大きさ(小ささ)の用紙にきれいな字で書かせて、学生証と一緒に肌身離さず持ち続けてもらうことにしたのです。目に付くところに目標が書かれていればそれを再認識することも多く、いい加減なことを書いたら自分自身が恥ずかしくなります。

目標を書くことに集中している学生たちを見ているうちに、彼らがうらやましくなりました。学生たちには今年と違う1年が待っています。大きく進歩する可能性を秘めた1年がもうすぐ始まります。私にも今年と違う来年が待っているかもしれませんが、学生たちに比べたら変化に乏しいものになるでしょう。自分の人生の新局面を切り開くような、胸が躍るような1年を迎えることってあるのかなあって考えると、否定的な答えになってしまいます。

こういうのが、若さの特権なのですが、当の若者は往々にして気付いていないようで、もどかしい限りです。

0度

12月18日(月)

今朝はこの冬一番の冷え込みで、東京都心でも氷点下を記録しました。最高気温も10度に届かず、晴れているのに気温が上がらないという典型的な太平洋側の冬のお天気となりました。

気がつけば、今週木曜日が期末テストです。来来週の月曜日は新年です。今朝、御苑の駅に降りると、大晦日の終夜運転の時刻表が張ってありました。受験生にとっては、明日が11月のEJUの結果発送で明後日ぐらいに届きそうであり、そして、私大の多くが入試を終え、最終局面が近づきつつあります。

Dさんは、第一志望のS大学は全く手応えがなく、第二志望のM大学も自信がなく、あまり行く気がしないけれども第三志望のT大学に出願したほうがいいだろうかと悩んでいます。夏場から自分の志望する学部学科のある大学を見て回り、私なんかよりはるかに良質の情報をふんだんに持っています。そのDさんが、これから先、どのように受験校を選んでいけばいいか相談に来ました。

「S大学は、学生は一流だけど教授は三流って言われていますが、本当ですか」「Dさんが勉強したい学部についてはそう言われてもしかたないね。受験生の偏差値は高いけど、企業の就職担当者の評価はあまり高くないな」「M大学とT大学とではどうですか」「M大学はS大学と逆で、就職担当者の評価が高い大学だよ。T大学はM大学ほどではないけど」…。

夏のころから動いている学生は、大体どこかに引っかかるものです。Dさんなら、M大学には通るのではないかと踏んでいます。

その一方で、Cさんは第一志望と第二志望のI大学とR大学の受験日が重なっているけど、どうしたらいいかという相談を持ちかけてきました。そんなこと今頃気付くなんて遅すぎると言ってやりたくなりました。私の面倒見が悪かったとも言えますが、良好の募集要項が出揃った夏ごろにはわかっていたはずです。受験勉強に励んでいるようですが、ほかにも抜け落ちがありそうで、心配です。

日が落ちてからじわじわ気温が下がっています。明日の最低気温は、0度が予想されています。

原石発見

12月15日(金)

先学期の始めから、かれこれ半年間、上級の大学進学希望の学生たちには、志望理由書、小論文、面接など、出願から入試にいたるまでの進学指導をしてきました。私以外にも上級担当の先生方があれこれと手を尽くしてくださっていますから、漏れや抜け落ちはないと思っていました。ところが、細かい網の目をどうかいくぐったか知りませんが、天然のダイヤ原石が発見されました。

Lさんは新年早々C大学の入試が控えています。それで、初めての面接練習に臨みました。「Lさんはどうして本学を志望したのですか」「はい。C大学は結構有名だし、先輩が推薦してくださったし、いいと思いました」「はあ、そうですか。では、本学で何を勉強しようと思っていますか」「精密機械工学科です」「精密機械工学科で何を勉強するつもりですか」「機械について勉強します」「じゃあ、卒業したらどうしたいですか」「エンジニアみたいな仕事がしたいです」…。

絶句したい気持ちをどうにか抑えて質問を続けましたが、どこから指導したらいいかわからないほどの受け答えばかりでした。しかも、日ごろのLさんの癖で、口をあまり大きく開けずに早口で話すものですから、Lさんのこういう話し方を知っている私だからこそかろうじて理解できたものの、初対面のC大学の面接官には、絶対にわかってもらえないでしょうね。

Lさんは、根は悪い学生ではなく、学習意欲も専門に対するセンスもありますが、こんな答え方ではそういった美質が大学側に伝わりません。今週末の宿題をいっぱい抱えて帰りました。来週、また練習すると言っていますが、どこまで軌道修正してきてくれるでしょうか。

未発見の原石は、もうないですよね。