寝かせません

3月23日(木)

元NHK記者で、ジャーナリストで、数々の著作のある、東工大などでも教えている池上彰さんと、読売新聞の1面コラム「編集手帳」を担当している竹内政明さんの対談「書く力」(朝日新書)を読みました。達意の文章を書くお二人の言葉にはっとさせられることばかりでした。その中に、私も心がけていることが1つありました。書き上げた文章をしばらく寝かすということです。

相手のある文章の場合、書いたらすぐに送ったり渡したりせずに、可能な限りしばらく時間を置いてから読み返すようにしています。書いている最中やその直後は、そのテーマに対して多かれ少なかれ頭に血が上っていますから、どうしても視野狭窄に陥りがちです。文字通り冷却期間を置くと、自分の文章を相対化して見られるようになり、書いているときには見えなかった周辺事項が浮かび上がってきます。また、自分の文章に対する入れ込みも薄くなりますから、凝ったつもりの文章が不細工に感じてくることもあります。

そうやって、伝えるべきことを冷静に把握し直し、文章の虚飾をはがし、こちらの意図が相手に伝わることを第一に考えた文章が書けるようになってきます。残念ながら、貧弱な文章力と発想力ゆえに、寝かしてから見直しても大して進歩のない場合も多々あります。

この稿は、毎日、1日の終わりに早く帰りたいという気持ちを抑えながら書いていますから、寝かすということはしていません。それゆえ、何かの拍子に以前のブログを読むと、赤面することもしばしばです。だから、「予の辞書に反省という語はない」といわんばかりに、過去は振り返りません。

明日は期末テストですから、おとといまでに作った読解の問題を読み返しました。名問と思った問題が迷問だったり、選択肢が微妙すぎて答えが絞り切れなかったりという問題が出てきました。文法や文字語彙も同様でした。学生たちの努力の成果を計るテストですから、あだやおろそかにはできません。

その印刷も終わり、ほっと一息つきながらこれを書いています。そして、寝かせることなく投稿してしまいます…。

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