文明の利器

4月6日(木)

新入生のプレースメントテストがありました。最初の科目の答案用紙と問題用紙を配り、試験を開始して間もなく、教卓のまん前に座った女の学生が手を上げました。彼女は答案用紙に名前を書いただけで、答えは何も書いていませんでした。問題の答え方がわからないのかと思ったら、スマホを出して彼女の国の言葉で何事か入力し、チョンとタップして私に見せてきました。「私は日本語が全然わからないので、初級のクラスに入るつもりなの」と表示されていました。

こういうスマホの使い方もあるのかと、試験中だからスマホはダメだと注意するのも忘れて感心してしまいました。それと、どういうアプリを使っているのか知りませんが、“初級のクラスに入るつもり『なの』”と、女の子っぽい表現になっているのにもほほーと思ってしまいました。

試験と採点が終わったら、もうお昼を大きく過ぎていました。中華料理屋で定食を注文し、料理が出てくるまで本を読んでいると、隣のテーブルのお客さんが店員さんを呼びました。「はーい」と元気よく応じた店員さんでしたが、お客さんからメニューについて英語で質問されたら顔色が変わってしまい、急いで別の店員を呼びました。その店員さんはスマホを取り出すや、何事か入力し、画面に表示されたであろうと思われる英文を読みました。それを聞いたお客さんは、「OK」とか言いながら何かを注文しました。出てきたものを見たら、麻婆豆腐ラーメンでした。

スマホの翻訳通訳アプリの威力を見せ付けられていたら、就職する直前に、3週間ほどヨーロッパを一人旅したときのことを思い出しました。ミラノのホテルで会話集の通りに「今晩部屋が空いているか」と聞いたのに全く通じず、その会話集を見せて何とか部屋を確保したこともありました。今なら、スマホの音声でどうにかなってしまうのかもしれません。そもそも、事前にインターネットで予約するからこんな事態には陥らないのでしょう。パリのハンバーガー店で、フランス語で注文しようとしても通じず、留学生と思われるアルバイト店員に“Hey, can you speak English?”と聞かれました。私にとっては助け舟で、予定外のポテトまで注文してしまいました。これも、今ならスマホでスマートにこなせるのでしょうね。

新入生の彼女、顔と名前はしっかり覚えましたよ。今度会ったときはスマホなしで話しましょうね。楽しみにしていますよ。

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