希少価値

5月13日(土)

私の出勤時間帯はまだ降っていませんでしたが、受験講座の学生が登校してくるころは降ったりやんだり、授業を終えて学生たちが帰ることは結構な降りっぷりになっていました。気温もあまり上がらず、スーツの上着がありがたいくらいのうすら寒さでした。ニュースによると、沖縄・奄美地方が梅雨入りしたそうです。実況天気図を見ると、梅雨前線が本州南岸まで迫っています。週間予報によると、週明けには前線は南下するようですが、雨の季節が近いことを感じさせられる雨空です。

雨のたくさん降る町で勉強したいと今週の作文に書いていたのがJさんです。日本人的には???となってしまう感覚ですが、Jさんにとっては雨が多いのは好ましい気候のようです。こんなふうに、Jさんの作文は、読み手の気持ちをがっちりつかみ、一気に読ませてしまう力を持っています。もちろん、変な文やおかしな言葉遣いはありますが、そういたものを乗り越えてこちらに訴えかけ、こちらの心を捕らえています。

今学期は、毎週30名近くの作文を読んで添削していますが、Jさんのように気持ちよく読める文章を書く学生もいれば、何回読み返しても真意が理解できない作文を提出してくる学生もいます。同じテーマでどうしてここまで差がつくのだろうと思わずにはいられません。また、作文以外の科目の成績に比例しているわけでもありません。MさんやTさんなんかは優秀な学生のはずなのですが、作文だけはどうしようもありません。2人に比べると授業の時はさっぱりのSさんが、読ませる文章を書いてしまうんですねえ。

才能と言ってしまえばそれまでですが、文法や語彙に対するセンスというよりは、構成力が物を言っています。原稿用紙1枚かそこらに起承転結を盛り込み、与えられたテーマの中で自分の世界を繰り広げる――JさんもSさんも、この稀有な能力を大切に育てていってくださいね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です