錦を飾る

5月16日(火)

入管が日本語学校の入学者に対して1年3か月のビザを出すようになってから、毎年今ぐらいの時期は、4月に進学した卒業生が、ビザ更新に必要な書類の申請に来たりそれを受け取りに来たりするようになりました。インターネットでも書類申請はできますが、敢えて学校まで足を運ぶというのは、卒業生にしてみると、母校に錦を飾るような気持ちもいくらかあるのではないでしょうか。それは私たちにとってもうれしくありがたいことです。進学先の大学・大学院・専門学校などの意外な側面を知るきっかけにもなりますし、何より、わずかな間にグンと成長した卒業生を見て励まされることが大きな喜びです。

日々の授業は、来年のこの時期にまためぐってくる収穫のための種まきみたいなものです。4月の新入生もKCPでの生活に慣れ、来年進学の主力メンバーをどう育てていくかがだんだん見えてき始めるのが、5月の中ごろです。その筋書き通りにはなかなか進まないものですが、進学予定の学生の個性がつかめてきて、その個性に合わせてどんなふうに引っ張っていくかを考えるのは、案外と楽しいものです。

もちろん、順調に育つ学生たちばかりではありません。私のクラスの学生にも、早くも夢に黄信号が点ってしまった学生もいます。その大きすぎる夢を妥当なサイズに変えていくのも私たちの役割です。錦を飾りに来ている卒業生も、初志貫徹よりは紆余曲折のほうがこの1年間を表す言葉としてふさわしい人が多いです。衝突、葛藤、妥協、挫折、反撃、そこには人生の縮図あるようにも思えます。

東京を離れた卒業生はどうしているでしょうか。もし、これを読んでいたら、夏休みにでも錦を飾りに来てください。

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