疑惑

7月14日(金)

「先生、私、2人しか合格しなかったテストに合格したんですよ」と報告してくれたのは、今年専門学校に進学したMさん。KCP在学中も目立つ学生でしたが、進学先でも大いに存在感を示しているようです。同じクラスに日本人のライバルがいて、バシバシと火花を散らしながら競い合っている様子を物語ってくれました。今は、間近に迫った実技のテストのために、文字通り日夜技を磨いているそうです。

Mさんの会話力、コミュニケーション能力は、このように専門学校での留学生活を活写できるくらい、十二分にあります。しかし、Mさんの周りの外国人留学生はそれほどでもありません。日本語がしゃべれず周囲に溶け込めない留学生も多いそうです。そのため、ある留学生が、校内で事件が起きた時、疑いの目を向けられてしまいました。義侠心も強いMさんは、理路整然と、時には情に訴えることも忘れずに、学校側にねじ込んで、その留学生を救いました。そのことを語るMさんは、我が事のように怒っていました。

Mさんが進んだ専門学校は、その分野では一流とされ、留学生の受け入れも長年行っています。Mさんのライバルも、一流大学に入れる頭脳を持っていながらも、その専門学校に進んだみたいです。そんな学校ですら、日本語によるコミュニケーション能力が劣ると、学業外でいやな目にあわせられることがあるようです。

胸に手を当てるまでもなく、頭はよかったけれども口のほうはからっきしだった学生、筆記試験の力は高いけれども面接練習はがたがただった学生の顔が思い浮かびました。そういう学生たちが有意義な留学生活を送れているのか、少々気懸かりです。

夕方、SさんとWさんが遊びに来ました。2人はKCPから大学に進学し、今は大学院生です。専門を極めるために、学校に泊まり込むことも辞さず学業に打ち込んでいます。学外の奨学金受給者の会合に参加する道すがら、KCPまで足を伸ばしてくれました。日本語で軽口がたたけるまでになっていますから、コミュニケーション力不足で孤立していることはないでしょう。

留学には、やっぱり日本語力です。

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