8月2日(水)

今学期から受験講座を受けているLさんは、まだ初級の学生です。Lさんが勉強しているEJU生物の過去問をさせてみると、問題文を読むのに恐ろしく時間がかかります。カタカナの言葉はからっきしだし、未習の和語に出くわすと意味が取れなくなってしまいます。

次のEJUまで3か月ちょっとありますが、この調子だと相当苦しい戦いになりそうです。確かに、問題文の意味や選択肢の内容を把握したら、ほぼ全問正解にたどり着きます。国でしっかり勉強してきたことがうかがえます。しかし、いかんせん時間がかかりすぎます。これでは、問1から問5までは全問正解だけど、問6以降は白紙などということにもなりかねません。化学も同様であることは想像に難くありません。

Lさんと同じレベルの学生でも、実戦に堪えるスピードで問題が解ける学生がいます。だから、この問題の根本は、Lさんの日本語読解力が足りないことだといえないこともありません。生物の問題の前に読解力と速読する力を付ける訓練をすべきだ――というのは正論です。しかし、Lさんに読解の練習問題ばかりさせたら、きっと勉強がいやになってしまうでしょう。Lさんが一番好きで一番得意な生物を通して、Lさんの日本語力を伸ばす手はないかと、模索している最中です。

同時に、日本語は日本留学の壁になっているのだなあとも思います。このままでは、EJUの問題が読めないがゆえに、Lさんは日本留学をあきらめざるをえなくなるおそれがあります。専門に関しては優秀な頭脳を持っているにもかかわらず、それを評価してもらうに至らず、日本を後にするかもしれないのです。もちろん、そんなことにならないように全力を尽くしますが…。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です