講義と採点

10月3日(水)

ここのところ、学期休み中に日本語教師養成講座の講義を担当することが多くなりました。学期が始まってしまうと、通常授業のほうに代講を立てなければならなくなるためです。今シーズンも、きのうから始まっています。

7月期は初級文法で、今学期は中上級の文法です。そうはいっても、私の文法の講義は、例えば「みんなの日本語」の範囲が初級だとか、N1の文法項目だから上級だとかという分け方ではありません。最初に教えるのは初級でも中上級になっても間違える文法とか、中上級では取り上げ方を変える項目とか、文法を語用論的に考えてみるとかしています。初級からの連続性と、日本語をコミュニケーションのツールとして考えた場合の位置づけに力点を置いています。

語用論では、日本人にとっては自明のことでも外国人にとっては意味不明のことを分析していくこともあります。また、授受表現や指示詞や受身・使役の高度な使い方など、上級の学習者が最後まで間違えることも取り上げています。私の講義では、学習者への教え方はやりませんが、教えるべきポイントは取り上げます。

午前中はそんな感じでパキパキ授業をしたのですが、午後、上級の期末テストの採点になると、勢いが衰えてしまいました。養成講座で訴えたことが、そのまま自分に跳ね返ってきたかのようでした。学期を通して学生たちに訴えたかったこと、できるようになってほしかったことが、一部の優秀な学生を除いて、からっきしだったのです。会話テストでとっさに言葉が出てこなかったのならわからなくもありませんが、学生たちの得意なペーパーテストでこれだと、少々頭が痛いです。理解が表層にも達していないおそれがあります。

この学生たちが卒業するまでに、どのように鍛えていけばいいでしょうか。宿題が重くのしかかります。

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