後先

12月12日(水)

“好きな食べ物は先に食べるか、後にするか”というテーマで、学生たちに話してもらいました。先派は、好きな食べ物はできたてを食べたい、熱い物は熱いうちに、冷たい物は冷たいうちに食べるのが一番おいしいなどということを理由に挙げていました。後派は、食事の最後を好きな味で締めくくりたい、最後に幸せな気持ちになりたいなどと言っていました。

日本は地震が多いですから、いつ地震が起きるかわかりません。いつでも地震が起きる可能性があります。もし、食事中に地震が起きて一番好きな食べ物を食べずに逃げなければならなくなったらとっても残念じゃないですか。だから、私は好きなものを最初に食べます。――と言ったら、学生たちは笑っていました。

今学期が始まったころは、こんなややこしい話は理解できなかったと思います。これが冗談だとわかって笑えたあたりに、学生たちの日本語力の伸びを感じました。このクラスは、今、中級への坂道の一番険しいところを通り抜けようとしています。私の話の面白みが感じ取れなかった学生は、残念ながら、来学期もう一度同じレベルになる気配が濃厚になってきたように思えます。ぽかんとしていた学生は、みな、今週行われた文法テストが悪かったですから、なおさらそんなにおいがします。

中級や上級を教える楽しさは、驚くべきところで驚き、笑うべきところで笑い、感心すべきところで感心してくれるところにあります。学生の立場で書き直すと、日本語で驚いたり笑ったり感心したり、果ては泣いたり感激したり憤慨したりできるようになるのが中級です。この域に達していない学生は、上がってきてほしくないです。

さて、実際の私は、熱い物と冷たい物は真っ先に食べます。でも、後派の気持ちもよくわかり、お菓子だったら一番好きなチョコレートは残しておくかな…。

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