9本のジュース

7月22日(水)

ロビーの受付のところに缶ジュースが9本置かれていました。「どうしてこんなところにジュースがあるんですか」とK先生。「それですか。さっき自動販売機の前で学生が抱えて立ってたんですよ。ボタンを押したら続けざまに10本出てきたって言ってました」と事務のTさん。「もらっちゃえばよかったのに」「でも10本は多すぎるでしょう」「自動販売機の会社の落し物だとしたら、1割の1本はもらう権利があるんじゃない?」…などと、午前中の職員室でどうでもいい議論が行われました。

学生にしてみたら、1本買うつもりで10本も出てきたら相当戸惑うでしょうね。ごまかそうっていうレベルを超えていたのかもしれません。Tさんが事情を聞いたときに「友達の分も買いました」と答えることもできたはずですが、そう言わずに正直に話した点は評価できます。

それに対して、頭が痛いとかお腹を壊したとか言って休む学生は、実際のところはどうなんでしょうか。授業後電話を掛けて、明るい声で「もう直りました」と答えられると、疑念が頭をもたげてきます。毎日のようにJRの遅延照明を持ってくる学生にしたって同様です。何時何分にうちを出て、何時何分に電車に乗って、という足取りを厳しく追及したくなることもあります。

社会に出たら否が応でもうそにまみれた生活を送らざるを得なくなります。「うそも方便」という便利なことわざをフル活用して、保身したり他人の足を引っ張ったりというのが常態になります。そうしつつもそれが異常なんだという感覚だけは忘れたくありません。忘れると東芝の歴代社長のようなことになってしまうのです。

今日の学生は、正直に9本のジュースを届けたことをどう思っているでしょうか。ごく当たり前のことをしたまでだというのであれば、立派な心がけです。その気持ちを忘れないでいてもらいたいです。

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