ハンコ

11月10日(火)

2時半頃、代講をお願いしたクラスの学生が提出した例文のチェックを始めようとしたところ、「金原先生、学生が来ています」と声をかけられました。カウンターにはLさんが立っていました。Lさんは今月全然学校に顔を出さず、今日の授業も欠席。本人の携帯に電話をかけても留守電にすらならず、連絡が取れない状態が続いていました。そのLさんが姿を現したのです。

私がカウンターまで出て行くと、「先生、書類をください」と、出席成績証明書の申請用紙を担任である私に出し、ハンコをもらおうとします。学校を休んでいたことについては何も言わず、悪びれる様子もなく、いきなりこれです。カチンと来ましたね。「今月ずっと休んでいましたが、今まで何をしていたんですか」「うちで勉強していました」「あなたが勉強すべき場所はこの学校じゃないんですか」「でも7月のJLPTも合格したし、専門学校も決まったし、学校で勉強することはありません」「じゃあ、国へ帰ったらどうですか。あなたのビザはKCPで勉強するためのビザですから」「それはダメです」「どうしてですか」「卒業する前に帰国したら両親に申し訳ないですから」「両親に対して申し訳ないことをしてきたということですね」「はい。これから頑張ります」「どう頑張るんですか」「毎日学校へ来て、一生懸命勉強して…」「そんな言葉がすぐ信じられると思っているんですか」「…」「学校を好きなだけ休んでおいて、書類が必要だからハンコ押せって言うんですか。ずいぶん自分勝手だとは思いませんか」

…まだまだ続きましたが、思い出すだけでもおぞましいやり取りなので省略します。Lさんは教師を書類作成マシンとでも思っているのでしょうか。連絡もよこさず休み続けている学生の書類に素直にハンコを押せるほど、私は練れた人間ではありません。Lさんの申請書類は預かりました。Lさんが真人間に戻ったら、ハンコを押して返そうと思っています。

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