Pさんの机の上の時計

12月22日(火)

気がついたら、期末テスト。午前中の試験監督のクラスで、Pさんは教室に入るなりかばんから小さなデジタル時計を出しました。小指の第2関節ぐらいまでの長さと太さの時計で、それを机の端っこに置いてテストに取り掛かりました。

この時計を見て、京大が今年から入試会場に時計類の持ち込みを一切禁止すると決定したことを思い出しました。腕時計型の端末によるカンニングを未然に防ぐためです。京大は何年か前に、携帯電話を使ってネット掲示板に入試問題を投稿するというカンニング事件を引き起こされていますから、その手の機器の持ち込みに関しては敏感なのでしょう。

Pさんの時計は明らかに計時機能しかありませんでしたから、そのまま受けさせました。よしんばその時計が漢字かなんかを記憶していて、Pさんに好成績をもたらしたとしても、Pさんが得る利益はKCPで次のレベルに進級するということだけです。それが見つかって私にたっぷり説教されるリスクを冒してでも手にしたくなるような利益ではありません。

とはいえ、腕時計型端末が誰もが持つほど普及したら、KCPも規制を考えなければならないでしょう。私がKCPに勤め始めたころは、紙の辞書が主力でした。それがあっという間に電子辞書になり、今では電子辞書すら持たず、もっぱらスマホを辞書に使う学生のほうが多数派です。作文の時間に辞書使用可とすると、ネットのどこぞのページを丸写ししたような文章が出てくるようになりました。

技術の発展に伴う悪用を見ていると、性悪説を信じたくなります。腕時計型端末どころか、ウェアラブルコンピューターが進んだら、試験会場でめがねの着用が禁止されるようになるのでしょうか…。

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