問題集

10月11日(火)

明日から新学期が始まりますが、毎年10月期ともなると頭を痛めるのが、超級クラスの教材です。留学生向けの教材では歯ごたえがなさ過ぎ、かといって毎日生教材を用意するのでは、教師のほうが身が持ちません。今学期は、日本人の高校生向けの市販問題集を読解の教科書にすることにしました。

独自試験を課する大学の試験問題は、日本人の高校生向けの問題よりはいくらか易しいものの、留学生向けに書かれた文章はもちろんのこと、EJUクラスの文章よりも読むのに骨が折れます。どこで骨が折れるかというと、まず、十数年日本で暮らしていれば知っていて当然だけれども、日本語に触れ始めてから数年にも満たない外国人にとっては理解が難しい内容が取り上げられることがある点です。

例えば、今の高校生は、渥美清が亡くなってから生まれていますから、フーテンの寅さんは生では知りません。しかし、彼らが持っている寅さんに関する情報量は、一般の留学生に比べればはるかに多いはずです。「日本文化が好きです」と言っても、日本文化のいいとこ取りをしてきた留学生と、それにどっぷり漬かってきた日本人とは、おのずと受け取り方が違います。外国人から見た日本観が日本人にとって新鮮なように、日本人がごく当たり前に書いた文章も、留学生にとっては不思議というか時には意味不明なことさえあります。

そういうギャップを埋めるためにも、高校生向けの易しめの問題集は超級の学生にもってこいなのです。単に読解のテクニックを磨くだけではどうしようもない谷間に橋をかけ、学生たちを向こう岸に渡そうと考えています。思惑通りにうまく事が運ぶか、私たちの腕の見せ所です。

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