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KCP校長ブログ

  KCP地球市民日本語学校校長・金原宏のブログです。

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受験予定一覧表

8月16日(火)
進学志望の学生に、「受験予定一覧表」を配りました。自分が受験しようと思っている学校の願書締切日、試験日、試験内容、合格発表日、手続き期限などを、自分で調べて書き入れる表です。来週1週間夏休みがありますから、その間に調べて、夏休み明けに提出します。
 自分で動ける学生はこちらが何もしなくてもいいのですが、そんな学生はごく少数派です。大部分の学生は、こちらが水飲み場まで連れて行かなければ水を飲もうとしません。こういう学生たちが自分で動くきっかけになるようにと、受験予定一覧表を書かせるのです。理科系の学生は先月から面接をしていますから、多少は現実的な予定表が書けるのではないかと期待しています。
 今学期入学した、2013年進学予定の学生の面接も始めました。Tさんは授業中も活発に発言する学生なのですが、日本の大学に入りたいということだけしか決まっていない状態です。自分が何を勉強したいのか、何を勉強すれば将来の人生に有意義なのか、そういったあたりがよくわかっていなくて、Tさん自身ももどかしい思いをしているのが手に取るようにわかります。
Kさんも授業後教室の後片付けを手伝ってくれるなど、非常に好感の持てる学生なのですが、進学に関しては「迷える子羊」の状態です。やりたいことが絞り込めず、進学相談というよりは人生相談的な面接になってしまいました。
 2人ともまだ考える時間がありますから、オープンキャンパスなどを利用して大学でどんなことが勉強できるのかを研究し、自分の方向性を決めていけばいいと思います。取るものもとりあえず日本へ来てしまったような形の2人ですが、悩むだけ悩んでしっかりと進むべき道を決めてもらえれば、優秀な頭脳を持っているだけに、大いに期待できます。来年の今ごろ、2人はどんな顔をしているのでしょうか。

  • 2011年08月16日(火)19時24分

お盆の中日

8月15日(月)
 今日は旧盆で、東京はお正月の次ぐらいに静かな日です。いや、元日は初詣の人がけっこう出歩いているので、1年で一番静かな日かもしれません。夏休みの軍資金を下ろしに学校の近くのATMまで行きましたが、夕方の本来なら込んでいる時間なのに、待ってる人が誰もいませんでした。わたしが出たら、広い店内に誰もいなくなってしまいました。
 ATMへ行く途中に、公園があります。その公園でセミが鳴いていました。ミンミンゼミの鳴き声が静かな街に響いていました。夏の初めは、今年はセミが元気がないと言われていましたが、今日のセミはいつもの年より元気なように感じました。今日も最高気温は33度を超え、セミにとっては夏真っ盛りなのでしょう。
 人の少ないお盆の街を歩いていると、会社員時代を思い出します。私のいた会社は、夏休みは一斉休暇ではなく、自分で仕事の都合を付けて、好きな時に夏休みを取っていいことになっていました。私は毎年、お盆の週の直前か直後を夏休みにしていました。そうすると、自分自身の夏休みと、多くに人が休みでどことなく怠惰な雰囲気のお盆の週と、2週間にわたってのんびりできるからです。
 その時、先輩から言われたことばが、「仕事と暇は自分で作れ」です。仕事は与えられるのを待っているのではなく、新しい仕事を自分から見つけるくらいの気概が必要です。また、仕事に追われているだけでは本当の社会人とは言えません。仕事のやりくりをして休むべき時にはきっちり休む、そういう姿勢が本当にいい仕事を生むものです。夏休みにしてもそれの延長線で、休みの都合がつけられないというのは、社会人として半人前だといったところでしょうか。
 来週仕事を忘れてがっちり休むために、今週は忙しくなるかもしれません。夏休みに思い切り羽を伸ばすことが、その後のいい仕事につながると信じています。

  • 2011年08月15日(月)18時13分

初級の学生でも

8月12日(金)
 アメリカの大学から短期集中プログラムで来ている学生たちは、今日が最終日。期末テスト(他の学生にとっては中間テスト)が終わった後、修了式がありました。来日は6月の下旬でしたから、2か月弱の間KCPで勉強したことになります。
 修了式では、修了証をもらった後、日本語で簡単なスピーチをすることになっています。初級の学生も例外ではありません。初級といえども、学生によってはかなり立派なことを話します。教室で習った文法と、自分の知っている単語とを組み合わせて、こんなことまで話せるのかと感心させられることもよくあります。今日はEさんのスピーチが一番よかったです。
 Eさんがクラスでどのくらいの成績を残したのかはわかりませんが、いいスピーチをする学生はテストの点数よりも身の回りのことに対する感度が高いのではないかと思います。ちょっとしたことでも見逃さず、それに対して新鮮な驚きを感じることができる学生なのです。家と学校の往復を漫然とくり返すのではなく、毎日何かを発見しようという気持ちがあるのではないでしょうか。
 それと、そういう発見をみんなに伝えたい、ぜひとも日本語で表現したいという意思が強いのでしょう。これがドライビングフォースとなって、聞き手を感心させるスピーチが生まれるのではないのでしょうか。また、文法と単語を上手に組み合わせることができるという意味では、やっぱり語学のセンスも平均以上なのでしょうね。
 KCP、楽しかったです。最高です。また来ます。――これもまた偽らざる気持ちの発露なのでしょうし、学生にこう言ってもらえるとうれしいです。でも、やっと「みんなの日本語」の2冊目に入ったぐらいのEさんが、そのレベルの文法で日米の文化比較みたいなことを話しているのに比べると、やっぱり見劣り(聞き劣り?)してしまいます。
 この2か月のいろいろな思い出を胸に、学生たちは明日の今ごろは機中の人でしょう。国へ帰ってからも日本語を忘れずに、そして、できることなら、またKCPの教室で会いたいものです。

  • 2011年08月12日(金)20時11分

大きな自由

8月11日(木)
 5年前にKCPを出たSさんが、専門学校に出願するための書類を申請しに来ました。Sという名前を聞いただけではピンと来ませんでが、顔を見たらすぐ思い出しました。私のクラスにいたときのことも、よみがえってきました。
 KCPを出てから一度国へ帰ったSさんは、英語の勉強のためまた留学したり、免税店で働いたり、この5年間にいろいろなことにトライしたそうです。そして、来年から、日本でお菓子の勉強をして、お菓子に人生をかけるのだと私に意気込みを語ってくれました。申請書類をチラッと見たら、Sさんは今年30歳、もうチャラチャラしてはいられないという気持ちなのでしょう。
 KCPで勉強している学生は、なんだかんだ言っても、みんな若いです。大きな夢を抱いているのと同時に、まだ自分の人生の見極めがつかないところもあると思います。あるいは、人生の自由度が大きすぎて、選択の幅が広すぎて、それを持て余してしまっているのかもしれません。内的要因、外的要因からいろいろな道を切り捨てて最終的には1本に絞る作業が、大人になるということだと思います。Sさんは5年かけてその作業をしたのです。
 KCPから進学する学生にしても、人生を決めるまでには、まだまだこれから紆余曲折があります。先日就職応援講座で話してくれたHさんの例でも、そういったあたりがよくわかります。今考えている方向とは違った方向に歩んでいくことになるかもしれません。それが若さの特権であり、若いがゆえにできる勝負です。
 アメリカの大学から来ている学生の一部は、明日の中間テストが終わったら帰国します。KCPで学んだことが彼らの人生に対する考え方にどんな影響を与えたのか、あるいは与えなかったのか、ちょっぴり気になるところです。

  • 2011年08月11日(木)19時51分

暑くても

8月10日(水)
 世間ではそろそろお盆の休暇に入ったようで、電車の混雑度がいくぶん下がったような気がします。街中にもお盆休みの張り紙が目立ち始めました。KCPの夏休みは20日からなので、ちょうど10日後です。夏休みは節電でどことなく辛気臭い東京を抜け出して…なんて思っていましたが、日本中どこも原発が止まって電気が足りないようです。ですから、このところ毎日、原発に頼らない夏休みを送ろうと計画の詰めをしています。
 あまりの涼しさに一時はどうなることかと思った今年の夏ですが、今週になってからまた盛り返してきました。今日は東京も34.6℃まで上がりました。最低気温ですら27.4℃で、新宿御苑前駅から学校まで歩くだけで汗が吹き出るわけです。でも、暑くてたまらんとか言いながらもこの暑さにほっとしている自分がいます。汗びっしょりになってこそ夏だという本能に近い気持ちがあることは確かです。20年近く前、7月でも息が白くなるほどの冷夏がありました。そのときの言い知れぬ不安に比べれば、暑くてピーピー言うのは“明るい苦しさ”じゃないでしょうか。
 気温とともに(?)、受験生の意識も高めていかなければなりません。今日は、C大学の入試説明会がありました。大学院入試の説明もするとあって、C大学が用意してくださった資料が足りなくなるほどの大盛況でした。今年は進学担当のM先生のご尽力で、これまでにW大学、M大学、C大学と入試説明会を校内で開催し、来週はA大学を予定しています。受験生のみなさんは、夏こそ実力をたくわえる絶好の機会だと思って、夏休みもみっちり鍛えてください。

  • 2011年08月10日(水)20時20分

スマートホンに教科書

8月9日(火)
 授業後に、机の上に置いてあったLさんのスマートホンをのぞいたら、画面に今日勉強した漢字の教科書のページが出ているではありませんか。学生が中間・期末のテスト範囲や学期のテスト日程表を携帯のカメラで撮るのにはもうすっかり慣れましたが、教科書が入ったスマートホンを見るのは初めてでした。「どうしたんですか」と聞いたところ、ラッシュの電車の中でも勉強できるように、スマートホンで漢字の教科書を撮っているのだそうです。朝の登校時の電車内は、B5サイズの漢字の教科書すら開くのがためらわれるから、スマートホンに入れてそれを見ながら勉強しているのだそうです。
 Lさんは地道な努力が認められて、今学期、KCPからの奨学金・共生奨学金をもらうことになった学生です。こういう、寸暇を惜しんで勉強しようという気持ちを見て、ああやっぱり奨学金をもらう学生は違うな、と思いました。
 でも、今どきの学生たちは、これくらいのことはすぐ思いつくのでしょう。私のような頭が古い者がやたらと感心するのはお門違いかもしれません。新しい機械の新しい使い方を開発していくことで、今日の機械化文明が進展していくのです。私も、Lさんと同じぐらいの年頃には、パソコンソフトの思いもよらぬ使い方を編み出しては会社の同僚と競い合ったものです。苦労して作り上げた裏技が、新しいバージョンではごく簡単な操作に集約されていて、がっかりしつつも私の頭は先端技術の1歩先を進んでいたんだとニヤッと笑ったりもしていました。
 若い頭は柔軟だとよく言われます。Lさんのスマートホンにはそれを改めて感じさせられました。若い頭と競争しても勝てる見込みはありませんが、若い頭に刺激を与える存在ぐらいではあり続けたいと思っています。

  • 2011年08月09日(火)19時39分

追試再試

8月8日(月)
 今週末は中間テストなので、そろそろ追試や再試を受ける学生が増えてきました。今日の私のクラスでは、Cさん、Sさん、Kさんが文法や漢字のテストを受けました。
 CさんとKさんはやればできる学生なのですが、ちょこちょこ休むために受けていないテストや勉強せずに受けてしまったテストが出てきてしまいます。こういう、自分の才能を無駄遣いしているような学生が、一番歯がゆく感じます。
 それに対してSさんは、入学以来現在の中級レベルまで、毎学期ぎりぎりの点数でかろうじて進級してきました。ですから、自分の力を知っており、未受験や不合格のテストをためると大変なことになるということも身に染みて知っています。受けなければならないテストがあることを指摘すると、自習室で勉強して、3時ごろ受けに来ました。Sさんのようなパターンは決していいとは言えませんが、自分の力を見極めて確実にテストを受ける、確実に上のレベルに上がっていこうとする、そういう上昇志向の姿勢は、評価してもいいと思います。
 同時に、Sさんのような学生を見ていると、私たち自身の教え方を再考させられます。Sさんが一発で合格点が取れる授業をするべきなのであって、再試を受けさせているというのは、私たちの教え方では理解できなかったということを意味します。レベルを下げた授業をするというのではなく、学生の頭にスッと入る授業、印象に残る授業をしていかなければならないと思っています。気がついたらけっこう高いレベルにまで上っていた、という授業が理想なんですけどね。

  • 2011年08月08日(月)19時38分

通院

8月5日(金)
 午後から病院へ行きました。風邪を引いたとかいうわけではなく、健康診断で引っかかった項目の継続観察のためです。去年までは病気で代講を頼んだことは1度もなかったのに、今年はこの経過観察のために、3か月に1回、ウィークデーに病院まで足を運ばなければならなくなりました。そのたびに誰かに代講をお願いするようになってしまいました。今日は午後に受験講座の生物がありましたが、これをテストにして、監督だけA先生にお願いしました。でも、今日は、午前中、別の先生の代講をしましたから、プラマイゼロですね。
 年を取ると体のいろいろなところにガタが来るもので、肩こり、腰痛、老眼などを抱えながら仕事をしています。最近は、それに加えて、疲れが抜けにくくなったという感じがしています。週末、家に仕事を持ち帰っても、それをそのまま月曜日に持ってくるというパターンがほとんどです。土曜日の昼間、眠くてどうにも体が動かず、しかたなく昼寝するということもよくあります。
 20代のころは、自分が年を取る、年を取って体が言うことを聞かなくなるということがよくわかりませんでした。しかし、45歳で電車の中で本が読めなくなったときに、自分の体の老いを痛切に感じました。この先、だんだんできないことが増えていくんだろうなあ、という漠然とした不安を感じました。健康診断で引っかかった時も、また1歩進んだかというあきらめとも寂しさともつかない気持ちでした。
 でも、今のところ、風邪などで熱を出すというようなことはありませんから、まだまだ健康だと言えます。このまま老け込むつもりもありませんから、夏休みにはかなりハードなメニューも考えています。そのために、足腰も鍛えています。まだまだがんばりますよ。

  • 2011年08月05日(金)19時59分

バス旅行集金

8月4日(木)
 ついこの前までスピーチコンテストで大騒ぎしていたと思ったら、今日からバス旅行の集金が始まりました。昨日、各クラスでバス旅行の説明をした時には、学生たちの反応は良かったようですから、きっとみんな揃って行くことでしょう。
 今年は、鴨川シーワールドへ行きます。おそらく、KCPのバス旅行では初めてではないかと思います。イルカやアシカなど、他の水族館などでも見られる動物をはじめ、シャチやベルーガといった、かなり珍しい動物のショーも見られるそうです。特にシャチは日本でここだけだそうで、どんな芸を見せてくれるのか、今から楽しみです。
 バス旅行は、何と言ってもお天気です。去年の富士山五合目は非常にいいお天気で、下界がきれいに見渡せました。今年はそういう景色のところは行きませんが、傘を差しながらシャチのショーを観るんじゃ、楽しさ半減です。また、東京湾横断道路の海ほたるにも寄る予定なので、天気が良ければ海越しの富士山も拝めるのではないでしょうか。これから先、9月2日がお天気になるように祈る日々が続きそうです。
 お天気といえば、今年の夏はどうしちゃったんでしょう。梅雨明けが早く、スタートダッシュは良かったのですが、先月下旬に台風が来て以来、さっぱりです。冷房による電力需要が抑えられて節電にはいいかもしれませんが、30度にもならない日がこれだけ続くと、農作物への影響が心配になってきます。平年よりも太平洋高気圧が弱いからだということですが、まさかこのまま秋になっちゃうんじゃないでしょうね。
 夏にはもうひと花咲かせてもらって、バス旅行の日には青空を恵んでもらいたいところです。

  • 2011年08月04日(木)18時36分

N大学が危ない

8月3日(水)
 N大学が危ない――といっても、N大学が倒産しそうだという意味ではありません。
 HさんがN大学の資料を持って私のところへ来ました。N大学のB学部に入りたいと言います。「どうして?」と聞くと、「友達がいいと言っていますから」と答えてきました。
 実は、N大学のB学部に入りたいと私に言ってきたのは、Hさんで3人目です。インターネットで調べてみると、去年そこを受けたのは18人だそうなので、1つの学校で3人というのは半端じゃありません。KCPからは3人だけれども、ほかの日本語学校からはこんなに受けないのであればいいのですが、そんな保証はどこにもありません。他校でも同じようにN大学のB学部が話題になっていると考えるほうが自然です。
 別の筋によると、今年はすでに、J大学が入りやすいという噂が流れているそうです。それを聞きつけた学生が、ある先生のところへ確認に来たとか。ここも受験生が集中するかもしれません。
 このように、毎年どこかの大学が根拠のない噂によって「入りやすい大学」「いい大学」場合によっては「授業料が安くなる大学」に仕立て上げられ、その大学に受験生が集中します。そして、多くの学生が落とされ、全く「入りやすい大学」ではなくなってしまいます。「N大学が危ない」というのは、そういう意味なのです。
 学生たちが楽をしたい、くもの糸にすがり付いてでも大学に入りたいという気持ちはわかりますが、単に噂に流されているだけではあまりにも主体性がなさ過ぎます。確固たる目標がなく、どこでもいいから大学に入ればいいという考え方からこういうことが起こるのです。
 そして、事を厄介にしているのは、こういう噂に取り付かれた学生はなかなか正気に戻ってくれないということです。教師がいくら止めても、かなりきつい言葉で注意しても、聞く耳を持ってくれません。一種の宗教かと思いたくなるくらいです。Hさんはじめ3人の学生がどういうことになるのか、今から気がかりでなりません。

  • 2011年08月03日(水)21時39分

欠席者

8月2日(火)
 昨日のスピーチコンテストの余韻が悪い意味で残っていて、遅刻者や欠席者が目立ったクラスもありました。スピーチコンテストが金曜日だったら前夜の行状も闇に葬られるところなのでしょうが、今年はそうはいきませんでした。入賞者を出したクラスは、みんなで大騒ぎをしたようです。
 そういう大騒ぎをすることによってクラスの団結が図れるのなら、それでいいではないかという考え方もあります。でも、勉強しに来ているんですからね。祝勝会もほどほどにしてほしいです。後先考えずに飲んでしまうのは、大人の飲み方ではありません。
 それよりも怖いのは、ここで休んでしまうことでたがが緩んでしまうことです。ほんのちょっとしたことから休み癖がついて、がたがたと、本当に音を立てるように崩れていった学生をたくさん見ています。楽しい学生生活を送ってもらおうと思ってしたことが、学生生活の崩壊につながるきっかけとなってしまっては、シャレにもなりません。
 でも、スピーチコンテストそのものは、学生たちは楽しんでいたようです。特に評判がよかったのが今年初めて行った企画、コスプレファッションショーです。私は別室で審査とりまとめをしていたので見られなかったのですが、民族衣装からアキバまで、バラエティーに富んだファッションが楽しめたそうです。
 気がつけば、中間テストまであと10日。本当に早いですねえ。

  • 2011年08月02日(火)21時38分

盛り上げるには

8月1日(月)
 スピーチコンテストがありました。今年はO先生の手により、去年以上に画像を多く使ったスピーチコンテストになりました。オープニングのスピーカー紹介から、学生たちを引き付けていました。
 さて、肝心のスピーチはというと、やはり3月11日の大震災が学生たちの心に強く印象付けられているようで、それに関連した話題が多かったです。聞いている方としては、話にもうひとひねりほしいなと思うスピーチが多かったです。それぞれ内容は立派なのですが、結論が読めてしまう点が、聞いていて気になりました。
 それでも、留学して物の見方が変わった、母国の気づかない点が見えてきたというスピーチがいくつかありました。こういう気づきこそが、視野が広がった証拠であり、留学の大きな成果でもあります。それを手にした学生がいること、そして、それをスピーチコンテストの場で発表してくれたことをうれしく思いました。
 しかし、クラスの応援はちょっと物足りないものがありました。どのクラスも、そこそこ作り上げてはいるのですが、作り込んではいないという感じが強くしました。私のクラスも、かろうじてステージで演ずるレベルにはなっていましたが、それ以上のものではありませんでした。全体的に深みがありませんでした。応援賞は選んだものの、もう一つ割り切れないものが残りました。
 いろいろな先生方の話を総合すると、近ごろKCPに入学してくる学生たちは、クラスみんなで協力して何かをやり遂げるという経験をあまり持っていないようなのです。また、受験生を集めたクラスは学校行事に対してどこか冷めたムードが流れているきらいがあります。そういう学生を盛り上げるにはどうしたらいいか、こちらも研究していかなければなりません。

  • 2011年08月01日(月)16時53分

出願締切日

7月29日(金)
 今日は11月のEJUの出願締切日でした。今日の消印有効でしたから、駆け込みで出願する学生が何名もいました。
 朝、授業前、Lさんが私のところへ相談に来ました。
 「先生、11月も受けたほうがいいですか」
 「確かにLさんの受けようとしている大学はEJUが要りませんが、もし、そこがだめだったときのことを考えて、保険のつもりで受けておきなさい」
 こんなやり取りをしたLさん、授業後にダッシュでK書店へ行き、最後の1通の願書をゲットしたと、私にちょっぴり得意顔で報告してくれました。その後、願書を書いて、郵便局で受験料を振り込み、無事に出願を済ませたようです。でもね、そもそも締切日まで願書を買っていないってことが、受験生にあるまじき態度なんですよ。
 それより困ってしまったのがKさんです。3時近くになって、私のところへ来ました。
 「先生、願書を買っておいたんですが、出願用紙をなくしてしまったみたいなんです。うちの中を全部探したんですが、見つかりませんでした。どうしたらいいですか」
 「もう、迷っている暇はありません。今すぐ買いに行ってください。K書店は売切れみたいですから、Mデパートの上にあるJ書店か、Tデパートの隣にあるK書店の支店へ行きなさい」
 こんな形でLさんの話が役に立つとは思いませんでした。しかし、その後、Kさんからは全く連絡がありませんから、Kさんが願書を手に入れ、出願できたかどうかはわかりません。
 LさんにしてもKさんにしても、願書をそろえたり書いたりする時間はあったはずだし、今週に入ってからは、連日教室で注意を喚起しています。それでもぎりぎりまで動かないというのは、自殺行為に等しいです。Lさんはかろうじて間に合いましたから、ビルの屋上で最後の一歩を踏みとどまったようなものです。しかし、6月を受けていないKさんは、今日の出願が間に合わなければ来年春の進学は絶望的になり、踏みとどまれずに“死んで”しまったようなものです。
 アリとキリギリスじゃありませんが、もう少し計画的に動いてもらいたいところです。これからの自分の人生を作り上げるために留学しているのですから、自分でその設計図を破り捨てるようなまねはしないでくれと言いたいです。それとも、私たちは学生の面倒を精一杯見ているつもりですが、まだ見足りないのでしょうか。

  • 2011年07月29日(金)21時03分

お変わりなく

7月28日(木)
 「金原先生、お久しぶりでーす!」
 選択授業の資料を取りに職員室に入るや否や、甲高い声をかけられてびっくりしました。去年の春にKCPを卒業して関西の大学に進学したAさんが、夏休みを利用して遊びに来てくれました。積もる話もあったのですが、とりあえず授業へ。
 授業後、Aさんから大学の様子などを聞きました。KCPにいたとき同様、フルスロットルで学生生活を送っているようです。Aさんの国からの留学生は少ないので、自身の明るい性格とも相まって、キャンパス内の人気者になっているのでしょう。Aさんは周りの人をひきつける不思議な魅力を持っています。国では「いいとこのお嬢様」ですから、大らかな性格なのです。
 Aさんはお土産に大学の名前が入ったキャンディーを持ってきてくれました。今はどこの大学も、東京で言えばA大学もW大学もC大学もT大学もK大学も、工夫を凝らしたオリジナルグッズを売り出しています。私が大学生だった30年ほど前はせいぜいノートぐらいでしたから、ずいぶん変わったものです。学生の獲得と愛校心の高揚がその主たる目的なのでしょう。少子化の現在、大学も「学問の府」などと言ってふんぞり返っているわけにはいきません。
 Aさんが連絡したのでしょうか、Sさん、Jさん、Wさんなどが集まり、職員室はミニ同窓会の雰囲気を呈してきました。フェイスブックなどを通してしょっちゅう連絡を取り合っていることでしょうが、顔を合わせて、肌を触れ合って旧交を温めるのは、若い人たちにとってもまた格別のものがあるように思えました。にぎやか過ぎて仕事にならないのが難点ですが、卒業生からパワーをもらって、こちらまで元気になります。

  • 2011年07月28日(木)21時01分

禁煙社会

7月27日(水)
 このところ、来週8月1日(月)のスピーチコンテストの準備で忙しいです。スピーチコンテストに限らず、すべての学校行事で問題になるのが「喫煙」です。いつ、どこで吸わせるか、どのようにマナーを守らせるか、後始末をどうするかなど、考えなくてはならないことが山ほどあります。自由に吸わせると、喫煙所に入りびたりの学生が出てきかねません。そこまでいかなくても、煙草をすいにスピーチコンテストに来ているのかと言いたくなるような学生は必ずいます。全面禁煙にすればいいと思われるかもしれませんが、隠れて吸われないようにするにはどうしたらいいかという別の問題が発生します。その、喫煙にかける情熱を学問に振り向けてくれれば、日本語など、あっという間に上達してしまうのに…。
 KCPの筋向いのビルはどうやら屋内全面禁煙のようで、ベランダに出て煙草を吸っている人をよく見かけます。このクソ暑いのに何でわざわざ外に出てまで煙草を吸うんだろう、と思いながら見ています。私は煙草を吸う人には冷たいので、「気の毒に」とは思いません。「アホちゃうか」心の中でつぶやいています。喫煙タイムは仕事をサボっている時間に過ぎず、それが会社に与える損失はいかほどなのだろうかと、いらぬことに気を回したりもしています。
 私の家の最寄り駅、M駅は構内全面禁煙なのですが、その「構内全面禁煙」の標識のまん前で煙草を吸っている人がいます。そういう人は、たいてい、吸殻をポイ捨てします。副煙流で空気を汚し、吸殻でホームを汚しているのです。煙草の後始末にかかる費用が運賃に載せられているのなら、これほど理不尽なことはありません。横紙破りの人に思いっきり注意してやりたいと思っているのですが、そんなことをして、朝っぱらからケンカになって不愉快な気持ちになったらこっちが損だと思い、いまだに実行していません。
 一昔前までは、日本もけっこう自由に煙草が吸えました。煙草を吸う人を中心に社会ができていました。しかし、今は全然そんなことはありません。煙草を吸わないことを前提に社会が組み立てられ、煙草は過去の遺物となりつつあります。私たちが行事のたびにたばこ対策に頭を悩ませたり、喫煙者のためだけに喫煙所を設けたり、吸殻拾いが駅のお掃除の人の負担になったり、肉体的なことも含めて、喫煙は百害あって一利なしだと思うのですが、いかがでしょうか。

  • 2011年07月27日(水)19時36分

応援が…

7月26日(火)
 昨日の先生からの引継ぎによると、今日の私のクラスは、スピーチコンテストの応援のフォーメーションを決めることになっていました。しかし、話はほとんど進展しませんでした。リーダーのAさんは一生懸命働いてくれているのに、他の学生がなかなか乗ってきません。どこか冷めている感じで、他人事のような態度で傍観しています。一人一人は真面目な学生で、作文の清書なども嫌がらずに黙々とこなすし、授業中に変なことをする学生もいません。でも、スピーチコンテストの応援には力が入らないのです。
 一つには、このクラスには受験生が多いということがあると思います。すべての受験生が自分の目の前のことしか考えないとまでは言いませんが、志望校への進学という確固たる目標があればこそ、他のことよりもそちらを優先してしまいがちなのは無理からぬことでしょう。KCPも体質が変わってきて、大学や大学院への進学を考える学生が増えてきました。学校としてもそういう方向に力を入れていることもまた事実です。また、学生の気質も、「みんなで」よりは「気のあった仲間で」または「一人で」へと、変化してきているように思えます。
 ということは、スピーチコンテストのあり方や、教師側の盛り上げ方もまた、変えていかなければなりません。学生側の変化に教師側がついていけない状態、そんな気がします。スピーチコンテストが始まってもいないときから反省点を挙げるのも変な話ですが、学校行事全般に関わることですから、この先、大いに考えねばならないことだと思います。

  • 2011年07月26日(火)21時36分

結果が出た

7月25日(月)
 6月の留学試験(EJU)の結果が出ました。その結果を基に、面接も始まりました。
 Gさんは、数学の点数がついていませんでした。おそらく、解答用紙のコース1かコース2かを選ぶ欄のマークをし忘れたのでしょう。Gさんは真面目で慎重な学生で、普段はそんな不注意なことは絶対にしません。緊張がなせる業だったのでしょう。でも、Gさんは、受験スケジュールの大幅な変更を余儀なくされました。
 Zさんは理科系志望の学生で、私が面接担当なのですが、私に点数も言いたくないほど悪かったそうです。出願しようとしていたA大学のカットラインすら取れず、今は何も考えられないと相当落ち込んでいました。4月の時点では力をつけたなと思っていたのですが、その後、中だるみ状態に陥ってしまったのが敗因です。私たちも、そういうZさんを引っ張り上げることができなかったことに悔いが残ります。
 Yさんも思ったほど点が取れず、ちょっと悩んでいます。D大学に入りたいのですが、各科目10点ほどの上積みが必要な成績でした。苦手科目を克服するにはどうしたらいいか、それが話の中心になりました。弱点を補強することも大切ですが、入試では得意分野を徹底的に磨くことも有力な戦術になりえます。それらを総合的に考えて作戦を立てることが、勝利につながります。
 明日からも面接が続きます。Zさんのように落ち込んでいる人もいれば、誰か一人ぐらいは予想外の高得点ににんまりしている人もいるでしょう。どの学生にも最後に笑ってもらうためにはどうすればいいか、それが私たちに課せられた宿題です。

  • 2011年07月25日(月)19時59分

就職するには

7月22日(金)
 KCPからC大学に進学し、現在4年生で、N社に就職が内定したHさんが、就活応援講座で自分の体験を話してくれました。N社は大学生の人気企業ランキングでも上位を占める東証一部上場企業で、日本人学生でもそう簡単に内定はもらえません。講演には20名あまりの学生が集まりました。
 まず感心したのは、このKCPでの講演のためだけに資料を用意し、パワーポイントまで作ってきてくれたことです。そのパワーポイントも、Hさんの考えが要領よくまとめられているだけでなく、聞く人の理解を助ける画像などが随所に織り込まれていて、学生たちが引き付けられているのがよくわかりました。これだけのものが用意できる能力を持っていれば、どこの企業に入っても立派にやっていける、N社から内定がもらえるだけの人物に成長したと感じさせられました。
 それから、堂々とした話しっぷりです。約30分間話していましたが、全く臆するところなく、滑らかな日本語で、聞き手の反応を見ながらことばを替えて説明したり笑いを取ったり、聞き手の心をつかんで放さない話術には、感心させられました。この勢いで面接に臨んだのなら、日本人を押しのけて内定を勝ち取ったのもうなずけます。
 Hさんは、入学してから今まで、のほほんと学生生活を送っていたわけではなく、かなり精力的に活動し、自分を高める努力をしてきました。留学生会の会長など、リーダーシップが求められる仕事も進んで引き受けていました。日本語能力試験1級も、かなりの高得点で合格しています。学生生活をエンジョイするだけではなく、青春の貴重な時間を自分の将来のために有効に使っていたことがよくわかりました。
 聞いていた学生の中には、刺激が強すぎた人もいたようです。ちょっぴり意気消沈している顔も見受けられました。でも、同じKCPの卒業生で、それだけのことをやり遂げた人がいるのですから、自分にもできないことはないと思ってもらいたいところです。学生たちには、Hさんを新たな目標としてより一層勉学に励んでもらいたいところです。

  • 2011年07月22日(金)19時26分

できない問題こそ

7月21日(木)
 毎週、宿題を出すんだけど、やってくる学生が少ないんだなあ。わかる問題の時はやってくるんだけど、わからない問題は解こうとしないんだよ。伸びる学生はわからない問題もがんばって解こうとするんだけど、だめな学生は取り組むことすらしない。毎週必ず提出してくるLさんはぐんぐん力をつけてきているから、やればやるだけ実力がつくはずなんだけど、ほかの学生はそれがわかんないのかなあ。どうしたもんかねえ。
 …受験講座・数学のS先生が嘆いておいででした。受験勉強の場合は、得意分野だけ伸ばしていけばいいというものではありません。苦手を克服していかなければ、壁は越えられません。当然、志望校への合格も見えてきません。
 Lさんは数学以外の物理と化学も、宿題を必ずやって来ました。宿題の答えを見ながら、間違えたところをもう一度やり直していけば、確実に自分のものにできるものです。しかし、多くの学生は問題がわからないという時点で捨ててしまいます。答えをもらったらそれで安心してしまい、間違えた問題やわからなかった問題をやり直そうとしません。
 今学期の理科は、演習方式を取っています。毎回、次回の問題を渡して予習してきてもらうことにしています。しかし、毎回予習してくるのは、上述のLさん、Hさん、Sさん、Cさん、Mさん、Yさんといったあたりでしょうか。渡しておいた問題も持ってこずに教室に顔だけ出す学生は、問題の解説を聞けば自動的に自分の実力になるとでも思っているのでしょうか。
 私が学生のころから、「水と学生は低きにつく」と言われていました。とかく学生は楽をしたがるものですが、自分の将来をかけてきているはずの留学でそれではいただけません。これから11月の留学試験、大学の2次試験まで胸突き八丁が続きます。教師だって呻吟しながら問題を作ったり解説を考えたりしているのです。学生の皆さんにもそれに応えてもらいたいと切に思っています。

  • 2011年07月21日(木)19時27分

大学の説明会

7月20日(水)
 昼休みに、M大学の先生をお呼びして、大学の説明会を開きました。留学生を積極的に受け入れている学部を中心とした説明で、参加した学生たちは真剣に聞いていました。その学部は最近できた学部で、今までの学問体系とは違った新しい切り口で社会や文化などを研究していることを盛んに訴えていました。同時に、就職にも力を入れていることも強調していました。
 留学生30万人計画に乗って留学生を増やすことを考えている大学は多いです。そういう大学間の競争が激しくなったので、わざわざ日本語学校に出向いてまで説明会を開いているわけです。そして、学問をした先にある就職というところで、他大学に差をつける必要に迫られているのでしょう。留学生も、自分の将来をかけて来日している以上、就職を視野に入れて大学選びをするようになってきています。もちろん、「有名な大学」「いい大学」などと言って大学選びをする学生もまだ少なからずいます。でも、考え方が少ししっかりしている学生は、日本での就職を見越して大学や学部選びをするようになってきました。これが大学選びの本来の姿なのかどうかは若干疑問の残るところですが、せっかく身に付けた学問を実践する場が与えられなかったら、学問の意義も薄れてしまいかねません。
 今週は、KCPを卒業して大学に入り、今年日本のある有名企業への就職の内定を勝ち取った先輩の講演会が予定されています。今日の大学側の話と合わせ鏡にすると、大学における留学生の現状が立体的に見えてくるのではないかと期待しています。KCPの在学生たちにも、この就職内定までの話を聞いて、今後の留学生活をより有意義にしていってもらいたいと思っています。

  • 2011年07月20日(水)20時30分
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