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KCP校長ブログ

  KCP地球市民日本語学校校長・金原宏のブログです。

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スピードアップ

10月21日(金)
 今学期に入ってから、受験講座の理科は、毎回、過去問をやっています。EJUの理科は、制限時間80分で物理、化学、生物の中から2科目を選んで解きます。単純に考えて、1科目40分です。しかし、物理は計算の時間が必要で、生物は問題文がけっこう長く、正誤問題が多いので、時間がかかります。ということは、化学の問題をいかに短い時間で解くかに、高得点があげられるかどうかがかかっていると言えます。
 今のところ、かろうじて80分というのが学生たちの実力です。これでは答えるだけで精一杯で、どこかでつまずいたら立ち直れなくなってしまいます。焦りが先に立って落ち着いて考えることもできないでしょう。ですから、物理は最大50分、生物は40分、化学は30分で解く訓練を積んでいます。今週は過去問シリーズが2週目に入り、学生たちはだいぶ慣れてきたようです。今日の生物は、速い学生は30分弱で解いていました。
 もちろん、スピードが上がっても正解が得られなければ意味がありません。学生たちには時間をかけていい問題と、時間をかけてはいけない問題を区別するように指導しています。時間をかけていい問題ってどんな問題かって? それはKCPに入学して、私に聞いてください。
 こういう訓練をしていても、土台は日本語力です。自習室で勉強していた最上級クラスのZさんは、「電荷をたくわえているコンデンサー」と「電荷がたくわえてあるコンデンサー」を混同して、何が何だかわからなくなり、私に助けを求めてきました。私も、最初は彼の疑問がどこにあるのかさっぱりわからず、的外れな解説を繰り返していました。何でこんな簡単なことがわからないのかと腹が立ってきたころ、ようやく、文法を取り違えているんだということに気づきました。そして、どうにかZさんに納得してもらえる説明ができました。
 ここ数年間の理科と数学の過去問は、すべて詳しい解説をつけた解答が作ってあります。しかし、その解説は日本人である私が「詳しい」と思っているだけで、外国人である学生たちから見て親切なものかどうかについては疑問の余地があります。解説を使うたびに少しずつ手を加え、疑問の余地を少しでも狭めていきます。

  • 2011年10月21日(金)22時23分

冷えてきましたね

10月20日(木)
 昨日も今日も、朝、起きると窓ガラスがうっすら曇っていました。外が冷え込んできた証拠です。心配になってくるのは、来週金曜日のバーベキューです。秋の日はつるべ落としと言いますが、特に日陰は急に冷えてきます。学生たちは学校へ来るのと同じ服装でバーベキューに行くかもしれませんが、バーベキューは屋外ですから、予想外の寒さに見舞われかねません。
 火を使って煮たり焼いたりしているうちは暑いくらいでしょう。食べている時も温かいものが出てきますから、問題はないでしょう。でも、後片付けのころは火も消えていますから熱源はありませんが、まだ日が高いでしょうから、心配には及ばないかもしれません。その後、バーベキュー会場近くでレクリエーションをすることになっていますが、このあたりからが要注意です。料理している時や食べているときに脱いだ上着を羽織らないと、日が傾いてきていますから、寒く感じるかもしれません。
 そうは言っても、学生たちはバーベキューを楽しみにしています。バーベキューでは、毎回、思わぬ学生が活躍します。普段はおとなしい学生が、水を得た魚のごとく料理を取り仕切り、クラスの学生や私たち教師を驚かせます。そういうことを通じて、新たな友人ができるものなのです。また、受験生にとっては、EJU前の最後の息抜きとなることでしょう。
 こういう行事は、「天気よければすべてよし」です。週間予報でも金曜日の天気はまだ出ていませんが、水曜日と木曜日はいいお天気で気温も高めようなので、それが金曜日まで続いてくれることを祈るばかりです。

  • 2011年10月20日(木)21時52分

海外旅行の日

10月19日(水)
 今日は、「遠(10)くへ行く(19)」の語呂合わせで、海外旅行の日だそうです。私はこのところ海外旅行とはトンと無縁になっており、寂しい限りです。
 仕事が絡まない純粋な海外旅行は、もう15年ほど前になるでしょうか。まだ日本語教師になる前です。中国を2週間ほど旅行しました。中国語が全くできませんでしたから、ツアーで行きました。北京空港に降り立った私たちツアー一行を迎えてくれたのは、現地の通訳兼ガイドのJさんでした。小柄で、まだ20代前半ではなかったかと思います。どことなくあどけなさの残る女性でした。
 このJさんが、旅行期間中ずっと私たちに付き添ってくれたのですが、実にすばらしいガイドさんでした。最初は頼りなさそうな感じがしたのですが、相手に言うべきことは言ってこちらの望みをどんどんかなえてくれるJさんのおかげで、安心して旅行を楽しむことができました。ツアー2日目には、メンバーから全幅の信頼を寄せられていました。何より、日本語が完璧でした。こちらの言うことは100%理解し、Jさんの言うことは100%理解できました。冗談やダジャレも通じました。日本についてよく知っていて、最新の話題にも乗ってきました。きっと留学か何かで日本に住んでいたことがあると思い、私はJさんに「日本にどのぐらいいたことがあるんですか」と聞きました。すると、「いいえ、日本へは行ったことがないんです」と答えるではありませんか。心の底から驚くと同時に、こういう人を育てる仕事をしたいと思うようになりました。
 これが、私が日本語教師になったきっかけです。だから、私は日本で日本語の先生なんかしてちゃいけないんですよね。
 中国の女性は、結婚しても子供を産んでも仕事を続ける人が多いですから、Jさんも今もベテランのガイドとして働いていることでしょう。是非また、Jさんのガイドで中国のいろいろなところを回ってみたいです。

  • 2011年10月19日(水)19時56分

実験が好き?

10月18日(火)
 留学試験(EJU)まであと1か月を切り、受験講座は追い込みにかかっています。私が担当している理科は、毎回EJUの過去問を解いています。でも、過去問やその解説ばかりだと学生たちもきついでしょうから、今日はちょっと実験をしました。
 前回、ある問題の答えを理論的に説明しようとしたのですが、学生たちにどうしても納得してもらえませんでした。そこで、今日は実験事実を目の前に示して、その事実を理論付けする形で理解を進めようと考えました。
 実験を始めようとすると、学生たちは教卓の近くに寄って来ました。学生たちにとっては意外な実験結果に驚嘆の声をあげ、学生に実験をやらせてみると(ちょっと体を使う実験でしたので、私のような年寄りではなく、若い学生がするのが適当なのです)、喜々として体を動かしていました。理論をこねくり回す抽象的な話よりも、実験結果という具体的な事実のほうが学生たちには興味深いのでしょう。実験結果を裏付ける形で理論を学べばそれだけ記憶に残ります。こちらとしては、そうやって学生が理論を印象付けてもらえれば言うことはありません。
 大学に入ったら、実験結果をどのように説明するかの連続です。具体的事実から抽象的理論を抽出する過程を学ぶのが大学だとも言えるのではないでしょうか。実験だからといって喜んでいる暇などありません。事実から理論を抽出するという仕事は、理科系に限らず文科系でも同じです。帰納的により広範な事実を包括する理論を生み出すことをしていきます。
 しかし、実験に時間を使ってしまって、肝心の過去問に時間があまり取れませんでした。解説が尻切れトンボになり、問題のやりっぱなしになるのではないかと心配しています。限られた時間をいかに有効に使うかという永遠の課題を、別の角度から突きつけられたような気がします。

  • 2011年10月18日(火)18時01分

指定校推薦の面接

10月17日(月)
 午前の授業後、T大学の指定校推薦の学校内面接をしました。定員1名に対し、志願者3名。
 最初のZさんは、事前に書いてもらった志望理由などの資料はすばらしかったのですが、話をさせると文法的な未熟さが目立ちました。T大学は、指定校推薦とはいえ、けっこう厳しい面接をするので、ちょっと難しいかなという感じでした。
 次のHさんは、Zさんより上手に話せましたが、準備不足が否めませんでした。この推薦にかける意欲がもう一つでした。
 最後のLさんは、途中で言葉に詰まってしまう場面もありましたが、考え方もしっかりしていたし、それを何とか表現できました。ということで、最終的にLさんを推薦することにしました。
 推薦する学生を決めてそれで終わりというわけにはいきません。T大学に提出する書類を作らねばなりません。出席や成績はデータを引き写せばいいのですが、推薦理由は私自身が自分の言葉で書かなければなりません。Lさんのいいところはどこか、入学から今までのLさんの足跡をいろいろと思い起こしてみました。国籍を問わず友人が多いこと、学校行事ではいつも積極的に動くこと、ボランティアクラブで活躍していること、KCPの奨学金をもらったこと…。やはり、推薦に値する学生は、普段からあれこれいろいろなことをしているものなのです。自分のことしか考えないのではなく、みんなのために動ける学生が、そういう経験を通して何かを得て、それが面接などの場で表に出てくるわけです。
 Lさんはこれでいいとして、ZさんとHさんは大学選びが振り出しに戻ってしまいました。この2人のフォローもしっかりしていかなければなりません。そこまでしっかり面倒を見て初めて、学校としての責任を果たしたことになります。

  • 2011年10月17日(月)21時18分

指定校推薦は誰?

10月14日(金)
 新学期最初の週が終わりました。各クラスとも、それなりに落ち着いた状態になりつつあり、また、受験講座も順調にスタートしました。来週からは特別講座や各レベルの選択授業も始まります。EJU、JLPT、各大学の入学試験などに向けて、学校全体が勉強するムードになっていってくれればと思っています。
 大学の指定校推薦の学内選考の応募締め切りが今日でした。予想されたメンバーが出してきました。志望理由にはもっともらしいことが書いてあり、担任の先生の手が入った形跡もありますが、面接でそれを自分の言葉でいえるかが決め手です。
 あるところからもらったデータによると、推薦入学のある大学では、大体、推薦入学の学生のEJUの平均点が一般入試合格の学生のを下回っています。一般入試不合格の平均点すら下回っているケースもあります。大学が学生確保のために多少成績の劣る学生を入れていると疑われかねないデータです。日本人の推薦入学では、大学の授業についていけない学生が大量に入っていると聞いています。大学に入ってから中学レベルの補習を行っている大学もあります。でも、私は、留学生の場合は事情が違うと思っていません。
 推薦入学は、大学と日本語学校の間の信頼関係で成り立っています。この日本語学校の卒業生なら、4年間まじめに勉強して、しかるべき成績で卒業する――そう信じてもらっているからこそ、現時点で多少テストの点数が低くても合格できるわけです。入学させた学生が成績不振や大学生活になじめないなどの理由でどんどん退学していったら、入管に目をつけられることでしょう。そんなことにはならない、伸び代のある学生を取ろうとしているはずです。ですから、送り込むほうとしては、一般入試では受かりそうもないからなどという消極的理由ではなく、テストの点には表れない何物かを持った学生を推薦しなければ、大学からの信頼に応えたことにはなりません。
 誰を推薦するにしても、KCPとしては在学中にしっかり鍛えて、4年で大学を卒業できるだけの基礎力をつけさせなければなりません。さて、どうなるでしょうか。

  • 2011年10月14日(金)22時09分

放射能に関する研修会

10月13日(木)
 「放射能と健康影響について」という研修会に参加してきました。会場最寄り駅から会場まで、参加者が列を成して歩き、1000名以上が入れるホールが満席でした。それだけ現時点では関心の強いテーマなのです。
 話を聞いてみると、各地で計測され発表されている放射線量は、いろいろな仮定の上に立って出された数値であることがわかりました。信用できるのは、数値の最初の1桁か、せいぜい2桁までで、それ以下は誤差に埋もれてしまいます。倍になったり半分になったりしたら変化があったと思っていいですが、5割増し程度だったらあまり変わってないと考えてもいいようです。また、国やその他の機関が出している基準も、かなり余裕を見込んでいる数値だということもわかりました。
 雨が降ると測定値が上がるのは、空気中のラドンが雨とともに落下するからで、ラドンは原発とは全く無関係だから、雨の日の測定値が高くても心配はいらないとのことでした。いずれにしても、測定値が多少上下したからといって一喜一憂するのはよくありません。
 ちょっと恐ろしい話も。放射線の人体に対する影響は、広島と長崎の原爆被爆者の追跡調査によってかなり詳細にわかってるということです。白血病がどのような割合で発生し、癌がいつどのような形で発生するかなどがきっちり調べられているのです。「言葉は悪いですが、壮大な人体実験でした」と講師の先生がおっしゃっていました。
 ちょっと笑える話も。放射線汚染が心配でミネラルウォーターを飲んでいる人がいますが、それは逆効果なのだそうです。東京の水道水は取水から送水まで厳重に管理されていて、放射線汚染という面からは全く心配無用です。一方、ミネラルウォーターにはウランやトリウムなど放射性物質も含まれているため、かえって内部被曝を受けるのだとか。高いお金を出して高い放射線を飲んでいるなんて、まるでマンガですね。
 参加者は、講師の先生のジョークにも笑わないほど真剣に聞いていました。現時点の東京は、放射線に関しては心配いらないようです。国際委員会で基準作りのリーダーも務めてきた講師の話を聞いて、参加者はみんな安心するとともに、いざという時の備えに考えを回していました。

  • 2011年10月13日(木)18時45分

繊細さを求めて

10月12日(水)
 誰かに物を渡そうとして差し出したとき、それをソフトに受け取っていく人と奪うように受け取っていく人がいます。学生か教師か、年齢性別国籍に関わらず、やさしく受け取る人と怒っているかのごとく取っていく人とがいます。ソフトに受け取る人は、私が物を差し出すと、それに手を触れ、一呼吸にも満たないごくわずかな時間を置いてから、自分のほうに引き寄せます。奪うように感じる人は、私が差し出したものに手を触れると同時に引き寄せようとします。その人に悪気がないことは百も承知していますが、心に何かざらついたものが残ります。ほんのちょっとした力加減なのでしょうが、渡した側の印象はずいぶん違います。
 私はこういうことを感じますから、相手にざらついた感じを与えないように、何かを受け取るときは手先に神経を集中し、“一呼吸”に気をつけながら、そのものを引き寄せます。街頭で配っているティッシュを受け取るときも、そういうことを考えながらもらいます。
 奪うように受け取っていく人の中には、社会経験も豊富で細やかな気配りなどお手の物のように思える人もいます。何であの人があんなに乱暴に受け取るのだろうかと不思議に感じることもよくあります。そうは言えども、職業的な訓練も影響していることは確かです。飛行機や列車の客室乗務員は、間違ってもそんなことはありませんね。飲食店を始め、アルバイトの店員さんは、その訓練が行き届いていないように感じることもあります。でも、そもそも、そんなことを感じること自体が、心が狭いのかもしれません。たかが物の受け取り方だけでやさしいとか乱暴とか、くだくだ申し述べるようなことではありませんよね。
 ところが、ロボットの世界ではこういう研究をしている人がいるのだそうです。微妙なタイミングや動きをきちっと制御して、人の最高レベルの動作をロボットで実現することを目指しています。単に物をつかんだだけで喜んでいた段階から、卵のような壊れやすいものがつかめるようになり、人に不快感を与えないようにという高度なレベルに進歩しているようです。
 KCPにも将来ロボットの研究をしたいといっている学生がいます。頭のいいロボットでもいいですが、感覚的に人間に近いロボットにも挑戦してもらいたいですね。

  • 2011年10月12日(水)19時47分

今年最後の学期が始まりました

10月11日(火)
 新学期が始まりました。2011年最後の学期です。毎年、10月期が始まると、1年の終わりを感じます。そして、時の過ぎ行く早さもひしひしと感じさせられます。今学期は、課外授業のバーベキュー、EJU、中間テスト、JLPTと立て続けに行事やら試験やらがあり、あっという間に期末テストの日を迎え、年末となるのでしょう。
 進学のほうも忙しくなってきました。ZさんがN大学に受かり、CさんがG大学に落ちたという噂を聞き、LさんのR大学とW大学への出願書類をチェックし、LさんのT専門学校の面接練習をし、その傍らでAさんがA大学とN大学の出願書類を書いていて、こんな調子で年末までいくのでしょう。
 専門学校と大学の留学生担当の方もお見えになりました。どこも学生の確保は最重要課題のようで、「○○のような専門を考えている学生はいらっしゃいませんか」と聞かれました。オープンキャンパスや授業見学などの案内もいただきました。
 学生定員を確保しようと思ったら、定員の3倍の志願者がいないといけないという話を聞いたことがあります。それ以下だったら志願者ほぼ全員合格させなければならず、実質的に「選抜」できないのだそうです。3倍の志願者を集めるには、そのまた3倍の学生をオープンキャンパスなどのイベントで集めなければならず、それだけの学生を集めるにはさらにその3倍の学生に声をかける必要があるのだとか。だから、専門学校・大学の担当者も足を棒にして学校回りを続けるのです。
 留学生の場合、昨今の円高の影響もあり、大学で3万5千円、専門学校で1~2万円という受験料もバカにはなりません。ましていわんや年に100万円かそれ以上の授業料は、絶対に無駄金にはしたくありません。学生は、よく、「○○大学/専門学校はいい学校ですか」と聞いてきます。もちろん、学生もも自分なりに手を尽くして情報は得ています。それとは違う角度からの情報で、自分の情報に確度を持たせたいのです。だから、専門学校や大学の方は、私たちにそういう学生の背中を押させるような情報を与えるべきなのです。でも、今日の2校の方からは、そういう情報をいただけませんでした。
 いずれにしても、今日から新学期です。今学期の終わりには多くの学生の進路が決まっていることを祈らずにはいられません。

  • 2011年10月11日(火)18時15分

入学式挨拶

 皆さん、ご入学おめでとうございます。このように多くの国から多くの学生がKCPに入学してくれたことをうれしく思います。
 皆さんもご承知のとおり、昨今の日本を取り巻く環境は非常に厳しいものがあります。震災の直後に発生した原発事故は世界を震撼させ、海外から来日する外国人数は激減しています。また、円高によって輸出は不振を極め、バブル崩壊後の経済の停滞と相まって、GDPでは中国に抜かれて世界第3位に転落してしまいました。少子高齢化が進み、社会の活力が失われ、人口は数年前から減少し始めています。私自身、若くてもこのような国に留学するかどうかわかりません。
 しかし、皆さんは日本に留学しようとしています。八方ふさがりとも言える日本で何かを得ようとしています。確かに留学生の数は減りましたが、真に学ぼうとする若者たちが留学に来るようになったと思っています。日本で何を学ぶか、そしてそれを将来の自分自身の人生においてどのように生かしていくか、このような目的意識の明確な人たちが残ったのではないでしょうか。日本へ行けば何とかなるという安易な気持ちではなく、挑戦的な気概を持った若者たちが、今、ここに集っているのだと信じています。私はそういう皆さんに敬意を表すると同時に、その志を大事に育てていこうと思っています。
 皆さんが抱いている留学の志、勉学に対する志、何かを成し遂げようとする志、それはとても尊いものです。改めて申すまでもなく、現代は世界のどこを見ても激しい競争社会です。この世界を生き抜くには、そして名を成そうとするには、堅固な志が必要不可欠です。あやふやな気持ちでいると、周りに引きずられて右往左往しているうちに人生が終わってしまった、などということにもなりかねません。
 皆さんが、将来、同年代の人たちや皆さんよりも下の世代から尊敬されるような人物になりたかったら、今、抱いている志を、志のままにしておくのではなく、何らかの形にするための努力を怠ることなく続けていってください。志を形にするまでの生き方が皆さんを人間的に成長させ、ひとかどの人物へと押し上げます。そして、志が形になったとき、みなさんは人生という山の高みに立ち、仰ぎ見られる存在となるのです。
 私たちKCPの教職員一同は、皆さんがその尊い志を形にしていくためのお手伝いをします。学校全体で支えていきます。皆さんと一緒に、皆さんの理想とする留学生活を作り上げていきたいと思っています。
 本日は、ご入学、本当におめでとうございます。

  • 2011年10月07日(金)17時19分

スティーブ・ジョブズ氏が亡くなりました

10月6日(木)
 アップルのスティーブ・ジョブズ氏が亡くなりました。56歳、私よりは上ですが、天に召されるにはあまりに早い年齢です。引退から間をおかずの死は、病魔とぎりぎりまで闘っていたことを意味します。
 今では当たり前になっているマウスでクリックという操作法を編み出したのは、アップルでした。その後は、アップルが先駆的な技術やデザインを提案して、それがいつしか標準になっていくという形で、コンピューターの発展を引っ張ってきました。天の配剤は実に巧みなものだと感心させられます。
 何でこんなことを言うのかというと、私はジョブズ氏の死を聞いて、司馬遼太郎の『竜馬が行く』の最後の場面を思い出したからです。司馬遼太郎は、天は日本が竜馬を必要とした時に竜馬を遣わし、その役目を終えるや天に召したと述べています。ジョブズ氏のおかげで、21世紀の我々は、子供からお年寄りまで、気軽にコンピューターに触れられ、世界を広げられるようになったのです。コンピューターのみならず、電話の使い方や音楽の聞き方も、一昔前とは大きく変わりました。
 これほど世界に大きな影響を与えたジョブズ氏は、功成り名を遂げたという感じで死の瞬間を迎えたのでしょうか。それともiPhone5が出せなかったことを気に掛けつつ、後ろ髪を引かれる思いで天国への階段を上っていったのでしょうか。自分と同年代といってもいい人の死の報に接し、ちょっぴりしんみりしています。

  • 2011年10月06日(木)21時18分

みかんがおいしい

10月5日(水)
 今日は朝からしとしと雨が降り、気温がほとんど上がりませんでした。日中でも15℃ほどでした。新入生のオリエンテーションをしましたが、マレーシアから来た学生はいきなりの寒さに少し不安そうな顔をしていました。マレーシアは気温が20℃を割ることは1年を通じてほとんどないので、15℃以下ともなると、初めて体験するに近い気温なのかもしれません。
 気温が下がると、何といってもみかんです。先月の末ごろから濃い緑色をしたみかんが出回り始めました。私はかんきつ類の酸っぱさが大好きので、この出始めのみかんは絶対見逃せません。今シーズンは9月の3連休のころに「初みかん」をいただきました。今月に入り、値段も手ごろになってきたので、毎晩寝る前に3個ずつ食べています。毎年、秋口から年末までみかんを食べ続け、八朔が出てき始めたらそちらに乗り換えます。
 子供のころは、静岡の親戚から夏みかんを送ってもらいました。甘夏ではありません。虫も寄り付かないほど甘くない夏みかんです。両親をはじめ家族はだれも手を付けず、私だけが喜んで食べていました。お前の舌はどうかしていると父からよく言われたものでした。いやいや食べているわけでも、義理に駆られているわけでもなく、好きで好きでたまらなかったのです。三つ子の魂百までというやつで、今でも、店先でなるべく青くて酸っぱそうなみかんを選んで買っています。
 みかんは風邪の予防にいいとよく言われます。確かに、私は冬場にあまり風邪を引きません。馬鹿は風邪を引かないとも言いますから、そっちのほうが強いのかもしれませんが…。まあ、とにかく、普通の人の倍ぐらいはみかんを食べていますから、多少はその効き目もあると思います。みかんシーズンの直前に夏風邪をもらってしまい、それが完全に抜け切れていません。みかんでそれを早く退治してしまいたいです。マレーシアの学生も、厚着をするだけではなく、みかんを食べて初めての日本の冬を乗り切ってもらいたいですね。

  • 2011年10月05日(水)20時02分

フェイスブックの威力

10月4日(火)
 久しぶりに卒業生のYさんとSさんが遊びに来ました。Yさんは前期の成績がほとんどAだったと報告してくれました。入学して間もないころは、なかなか日本人の友達ができないと言っていましたが、今日は日本人の友達を連れてきました。Sさんも友達を連れてきてくれました。大学の創立記念日で、お休みだったそうです。2人とも、大学で自分なりの足場を築きつつあるようです。
 最近はフェイスブックという文明の利器があるので、2人はKCPに顔を出していなくてもけっこういろんなことを知っていました。私のところにも毎日のように「友達リクエスト」が来ます。数年前の卒業生だったりすることもあり、知り合いを6人たどれば世界中の人とつながれるという触れ込みもまんざらウソでもなさそうな気がしてきます。私は人脈が広いほうだとは思っていませんが、フェイスブック上は何百人もの友達がいることになっています。
 昨年あたりから、企業がフェイスブックで採用情報を流し始め、来年あたりはそれが主流になりそうだという記事を新聞で読みました。私が就職活動をしたころは、理科系だったということもあり、人と人とのつながりが物を言っていたものです。それがエントリーシートになり、就活サイトになり、そしてフェイスブックにまでたどり着いたようです。
 KCPにも、ここから直接就職したいという学生が入ってきます。そういう学生の夢の実現をお手伝いするのも私たちの大事な仕事ですが、フェイスブックが就活の主要なツールとなれば、学生たちのほうが上手に使いこなしてくれるのではないでしょうか。もしかすると、フェイスブックが日本の就活を大きく変えるきっかけになるかもしてない、なんていうことを考えています。

  • 2011年10月04日(火)20時01分

風邪に負けるな

10月3日(月)
 今朝、出勤してから、いつものように職員室の窓を開けたら、何だか薄ら寒くなってしまい、あわてて窓を閉めました。10月になるや急に秋が深まった感じで、週末は大急ぎでたんすの中身を入れ替えました。今年は夏から秋への転換がいつになく速い感じがします。
 今日から衣替えで、クールビズからスーツ姿に替わりました。夏物のスーツを着たのですが、朝、マンションの外に出た瞬間は、ちょっと寒いくらいでした。今朝の最低気温は15.9度で、冬の最高気温とそう変わりません。駅のホームにはマフラーをした女の人が立っていましたが、そちらのほうが正解なのかもしれません。
 朝、受験講座を受講しているCさんから電話が来て、風邪で休むという連絡がありました。電話口から病原菌が飛んできそうなくらいのひどいせきをしていました。1日の気温差が大きいと、風邪を引きやすくなります。明日も受験講座がありますが、どんなに遅くとも11日の始業日には間に合わせてもらいたいです。私も2週間ぐらい前からの風邪を引きずっていて、のどの薬が手放せません。だからあまり大きな口はたたけないのですが、学校は休んでいませんからね。
 私は風邪を引くとすぐにのどをやられますから、のどの薬を飲み始めます。この薬、飲んでいる本人にはよくわからないのですが、墨汁のにおいがするようで、飲み始めると周りの先生方から、「金原先生、またあの薬ですね」と言われます。この薬を飲めば、ぎりぎりのラインで何とか持ちこたえ、学校を休むことなく、言い換えれば仕事に穴を開けることなく、風邪を治してしまえます。学生たちも病気になると、国から持って来た薬を飲み続けて治そうとします。でも、それで帰ってこじらせてしまい、何日も学校を休む羽目に陥る学生が多いです。言葉が通じないと病院には行きづらいかもしれませんが、KCPのホームページには外国語が通じる病院も載っていますから、そういうところを利用して一刻も早く治してもらいたいです。
 風邪は万病の元と言われます。でも、留学生にとっては、風邪で学校を休んだために休み癖がついたり、勉強が追いつかなくなったりして、留学生活ががたがたになる諸悪の根源にもなりえます。用心に越したことはありません。

  • 2011年10月03日(月)21時15分

9月も終わり

9月30日(金)
 明日から10月です。受験シーズンが本格始動し、留学生の大学入試もこれからの2か月ぐらいがピークとなります。明日、N大学とG大学を受験する学生の面接練習を、昨日と今日でしました。
 N大学を受けるZさんは、少し前かがみでどこか自信がなさそう。声もあまり大きくなく、表情も硬く、いかにも何も聞いてくれるなという感じがしました。Zさんは、もともとよくしゃべるタイプの学生ではありません。いい物を持っているのですが、それをうまく表現できないきらいがあります。長い間付き合えばZさんの人柄が伝わってくるのですが、入試の面接のような短時間で自己表現しなければならないとなると、非常に不利です。
 G大学を受けるCさんは、とても早口で何か焦っているような感じがしました。「銀行でカードを作ろうとしたとき」が「ギンコデカドヲツクロトシタトキ」と聞こえてしまいます。たまにのばす音が抜けるのならともかく、ほとんどいつもそうだとなると、日本語が下手なんじゃないかと思われてもしかたありません。また、「いろいろ勉強したいです」「いろいろなことをするつもりです」「日本にはいろいろいいところがあります」」など、何でも「いろいろ」で片付けてしまうので、Cさんの個性が伝わりません。話を早くまとめたがっている感じがしました。
 面接日が間近なので、あれもこれも注意したところで消化不良に陥ってしまいますから、最重要ポイントに絞って注意しました。今日は、先日W大学を受けたLさんが合格したという知らせを受けました。ZさんからもCさんからも、そういう知らせを聞きたいものです。

  • 2011年09月30日(金)20時00分

今日はスーツで

9月29日(木)
 今日は大切なお客様にお会いするので、本当に久しぶりに、スーツにネクタイといういでたちで出勤しました。「先生、今日はどうしたんですか」「先生、今日はかっこいいですねえ」などと、受験講座に来ていた学生から声をかけられました。ひと夏を半袖シャツにノーネクタイで過ごすと、学生の目にはスーツにネクタイという私の姿が異様に映ったのでしょうか。
 でも、朝は20℃をちょっと切っていますから、スーツを着てちょうどいい気温ですね。日中、お客様のお相手をしているときはちょっと暑く感じましたが、ちょうどそのころが東京の最高気温で、25.7℃でした。25℃を超えると、半袖が懐かしいですね。天気予報によると明日は29℃になるそうですから、半袖シャツに今年最後のご奉公をしてもらいましょう。
 今日のお客様は、KCPに学生を送ってくださる学校の方々でした。KCPの取り組みをご説明し、1人でも多くの学生を送ってくださるようお願いしました。その説明を聞いていて、震災以降、KCPもずいぶん変わったなと思いました。震災以前はあぐらをかいて商売していたつもりはありませんが、学生に選ばれる学校を目指して、学生のニーズをさらに細かく反映するようになったと思います。
 私がお客様のお相手をしているとき、受験講座の学生たちはEJUの模擬試験を受けていました。採点してみると、CさんやSさん、Lさんあたりはだいぶ伸びているようですが、伸び悩みの学生も見受けられました。EJUまであと1か月半ほどで、彼らをどこまで引っ張り上げられるか、志望校に手が届くところまで持っていけるか、そこが教師の腕の見せ所です。また、それは今日のお客様たちが最も注目しているところでもあるでしょう。
 それから今日は、日本語教師養成講座の修了式もありました。今期の受講生は優秀な方々で、まさに乾いた土に水がしみこむように、知識も技術も吸収していきました。その優秀な方々が、10月からKCPで実際に教壇に立ちます。今日のお客様方に、この次は、こういう若い芽がどんどん伸びてきているところも見ていただきたいと思いました。

  • 2011年09月29日(木)19時59分

万理一空

9月28日(水)
 大相撲9月場所で関脇で好成績を収めた琴奨菊(ことしょうぎく)が、大関に昇進しました。相撲協会からの伝達の使者に対して、「万理一空(ばんりいっくう)の境地を求めて日々精進します」と答えたそうです。万理一空とは、私も初めて聞く言葉でした。
 大関や横綱昇進の際に四字熟語で決意を述べることは、1993年に貴乃花が大関昇進を伝える使者に対して「不撓不屈(ふとうふくつ)の精神」と言ったのが始まりのようです。それまで、一般庶民にとって不撓不屈という言葉は、書物の中で目にすることはあっても、実際に口から発せられる場面を目にすることは滅多になかったので、非常に新鮮に感じられました。しばらくは流行語となり、いろいろな場面で不撓不屈が使われたものです。
 その後、不惜身命、一意専心、堅忍不抜、勇往邁進、力戦奮闘、精神一到といった言葉が使われ、そのたびに話題になりました。ここに挙げたことばも辞書には載っていてもなかなか使うことのない言葉ですが、今回の万理一空は、広辞苑も網羅していません。目標を見失わず努力することの大切さを説いた宮本武蔵の兵法書からの引用だそうです。
 大関以上は、負けるとニュースになります。また、相撲界の代表としていろいろな場に出て行かねばなりません。それゆえ、並みの覚悟では務まらない地位ではありません。さらに、琴奨菊には現時点で唯一の日本人大関という別な角度からのプレッシャーも加わります。だからこそ、目標を見失わずに努力するという決意を表したのでしょう。
 このところ相撲界は不祥事が続き、明るいニュースがありませんでした。観客数が減り、国民から見放された観さえありました。琴奨菊の万理一空は、久々によい意味で国民の注目を浴びる言葉ではないでしょうか。この万理一空が日本中で使われるようになれば、相撲人気も回復してくるような気がします。そして、琴奨菊には、万理一空の言葉どおり、努力を重ねて横綱に昇進してもらいたいです。そのあかつきにはどんな言葉で決意を表明するのでしょうか。

  • 2011年09月28日(水)20時59分

それは辞書ですか

9月27日(火)
 期末テストがありました。午前中は中級のクラスに試験監督に入りました。最初の科目は作文。中級以上は、作文は辞書を使ってもいいことになっているので、テーマを発表すると、みんな辞書を片手に書き始めました。ところが、Aさんだけ何か本を見ているではありませんか。教科書やノートなどは見てはいけないことになっているので、注意しようと駆け寄ると、Aさんは紙の辞書を使っていたのでした。韓国語、中国語、英語などと違って、Aさんの国の言葉と日本語との間には電子辞書がなく、Aさんにとって辞書といえば紙の辞書なのです。私も紙の辞書の愛用者のつもりだったのですが、いつの間にか辞書といえば電子辞書だと思うようになっていたのに、我ながら驚きました。
 さて、おととい、「もったいない」を“mottainai”という世界語にしてくれたノーベル平和賞受賞者のワンガリ・マータイさんが亡くなりました。マータイさんは2005年に来日した時、彼女をインタビューした新聞記者から「もったいない」を知ったそうです。そして、リデュース、リユース、リサイクル、リスペクトの概念を包含している単語として、「もったいない」を使うようになりました。
 マータイさんに「もったいない」を教えた記者は、単なる“wasteful”ではなく、日本人が「もったいない」に込めている精神も説明したのだと思います。だからこそ、マータイさんの心が動き、「もったいない」を使うようになったのです。この部分は、紙の辞書がどんなにすばらしくても、電子辞書がいかに発達しても簡単には成し遂げられない、人間にしかできない仕事でしょう。日本人の教師から日本語を習う利点はまさにここですし、辞書や文法書に書かれていないことを学んでこそ、語学留学の意義があるのです。
 マータイさんはケニアの出身ですから、母語はスワヒリ語かケニアの現地語でしょう。スワヒリ語なら英語との間には電子辞書もあるでしょうが、ケニアの現地語だとすると、紙の辞書すら満足に揃っていないかもしれません。Aさんも、本当の母語はAさんの国の公用語ではなく現地語だとしたら、言語の海の万里の波濤を越えて日本語にたどり着いたという感じがします。制限時間一杯までかかって書き上げたAさんの作文が、他の学生の作文より光って見えました。

  • 2011年09月27日(火)19時31分

二兎を追う?

9月26日(月)
 今日で今学期の授業は終わりです。各クラスでは今学期の総まとめが行われました。学期の最終日の先生は、学生からその学期のありとあらゆる科目・分野から質問が飛んで来ないとも限りませんから、かなりの覚悟が必要です。私も、今日は文法やら語彙やら、いろいろと聞かれました。
 でも、受験生たちは私立大学の出願が迫っていますから、そちらの心配もしなければなりません。二兎を追わなければならないのです。Oさんは、授業後、M大学に出す志望理由書の下書きを持ってきました。志望理由書の書き方は指導したのですが、やっぱり1回では身につかないものですね。ネタとしてはいい物を持っていますが、それを生かしきれていません。過去の経験を志望理由につなげようという気持ちはわかりますが、昔話が志望理由書の半分を占めていてはいけません。
 WさんはT大学に出す学習計画書を見てもらっていました。こちらも、だいぶ先生の直しが入ったようです。CさんはA大学の願書を書いていました。気の早いCさんは、出願前なのに面接練習を申し込んできました。
 こうして、自分の気持ちをことばとして紡ぎ出す作業を通して、思いが形になってくるのではないでしょうか。また、受験勉強は自分の潜在能力を顕在能力にする作業だとも思います。「未知の力」「将来の可能性」だけでは大学に入れません。それを志望理由書に書いたり、面接で述べたり、入学試験の答案用紙の上に答えたりすることで、表に出さなければ誰にも認められず、大学には入れません。入学試験を否定する説は世の中にあふれていますが、受験勉強は自分の力を表現する訓練だとも思います。持てる力の出し方を覚えた人に、大学で勉強する権利が与えられると言ってもいいでしょう。
 さて、期末テストです。確かに二兎を追うのですが、学校の授業も何らかの形で受験につながっているものです。期末テストの勉強は決して受験勉強にとっても無駄にはならないのです。

  • 2011年09月26日(月)19時07分

野分のまたの日

9月22日(木)
 今朝は典型的な「台風一過」「野分のまたの日」でした。空気が澄み切ってきれいに晴れ上がった青空に、くっきりと富士山が浮かび上がっていたそうです。私は、残念ながら、その富士山を直接目にすることはできず、ネットでその様子を知りました。だから、「そうです」なのです。
 今回の台風は、きれいな空気とともに秋を連れて来てくれたようで、最高気温は29.5℃まで上がりましたが、蒸し暑さは感じませんでした。それどころか、一雨降った夕方以降は肌寒さすら感じました。週間天気予報によると、これから先は30度を越える日はなさそうです。まるで計ったように「暑さ寒さも彼岸まで」ですね。
 今日の私のクラスは文法のテストがありました。授業後、採点してみると、Nさんがトップでした。Nさんは昨日の宿題もミスが少なく、この3か月で一番伸びた学生かもしれません。始業日のころは、クラスの半分よりも下だったと思いますが、今はトップを争うまでになりました。授業中の発言も質問も、クラスメートのだれもが注目せずにはいられない内容です。日本での就職を考えていますが、このままの勢いで実力を伸ばしていけば、決して夢のままではないでしょう。期末テストもすばらしい成績だったら、一足早く実りの秋を迎えたと言ってもいいと思います。
 それに対して、選択授業で進学組に入っているYさんは、実力がほとんど伸びなかったのではないでしょうか。先学期までは大学で自動車のエンジンの勉強をすると言ってたのに、今は専門学校と言ってみたり、大学で経済と言ってみたり。6月の留学試験が思わしくなかったことは確かですが、それだけでこんなにぶれてしまう学生も珍しいです。今日も、ゆうべ台風で家に帰ったのが遅かったから昼の12時まで寝ていたとかで、学校へ来たのが1時過ぎ。受験シーズンを目の前にして、急に進路を見失ってしまった感じがします。
 梅雨明けとほぼ同時に始まった今学期ですが、秋の到来とともに終わりを告げようとしています。NさんもYさんも、「終わりよければすべてよし」といいますから、次の学期につながる形で今学期を終えてもらいたいです。

  • 2011年09月22日(木)22時46分
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