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kimbaraKCP校長ブログ

  KCP地球市民日本語学校校長・金原宏のブログです。

記事一覧

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  • 2015年02月28日(土)07時25分

腰痛の原因

2月19日(木)
 このところ、腰が不調です。立って歩いたり授業をしたりしているときには何ともないのですが、椅子に腰掛けようとしたりちょっと振り向いたりと、姿勢を変えようとすると、ピリッと電気が走ることがあります。
 腰痛との付き合いは30年近くになります。病院やらマッサージやらに通ったこともありましたが、あまりよくはなりませんでした。これが今の私にとっての定常状態なのかなって、あきらめ半分、悟り半分の気持ちです。
 人は眠っている間に成長ホルモンが分泌され、傷が治るのだそうです。睡眠不足に陥ると、体組織の修復力が低下し、老化が進行してしまいます。私なんか慢性の睡眠不足ですから、体を細かく見ていけばかなりの老化が観察されるんじゃないかと思っています。腰痛もその一症状に違いありません。
 腰痛がひどくなったということは、その他の部分にもダメージがあるかもしれないということです。消化器系や循環系などに外から観察できないガタが来ているとなると、それが表面化したときに体が一気に弱ってしまうおそれがあります。それがとても怖いです。昔は大酒を飲んで内臓に無理をかけてきましたから、なんだか他人事じゃすまないのです。
 先日、学生へのお願い事を訴えるための動画を撮りました。それを見たとき、左肩が下がり窮屈そうにしている自分の映像に愕然としました。ひどく年寄りじみた画になっているのです。左肩を意識して上げて臨んだ撮り直しの映像も、しゃべっているうちにだんだん左肩が下がっていきました。こんなひどい姿勢じゃ腰も痛くなりたくなるよなあ。
 さて、だんだん卒業式が近づいてきました。左肩下がりじゃない自然ないい姿勢で証書が渡せるように、今から何かしなきゃ…。

  • 2015年02月19日(木)21時54分

忘れられない

2月18日(水)
 明日が旧正月ということで、毎年のことですが、浮ついている学生が多かったです。Zさんは昨日から一時帰国。Jさんは昨日から「風邪」と言っていますが、なんだか臭いです。Cさんは進学クラスの授業をサボって速攻で帰宅。「明日漢字テストがありますから、しっかり復習しておいてください」と言っても、「今日は大晦日ですから勉強しません」と言い出す始末。
 何でそんなに自分の国を引きずるんだろうと思います。国を捨てろとかアイデンティティーを消せとか言っているのではありません。でも、KCPで勉強しているような留学生の場合、まず、日本の風習になじむことじゃないんでしょうか。自分の国らしさを発揮するのは、その後のことです。国にいたときと同じように年中行事を楽しもうとしている学生たちを見ると、所詮は腰掛なんだなって思いたくなります。
 日本がほしい留学生は、日本の社会にも貢献し、自分の国の発展にも寄与するような人材です。そういう人材なら国際的な大きな仕事もできるに違いありません。旧正月で飲んだくれて、明日遅刻したり欠席したりするような学生は、これからよほど根性を入れ替えない限り、国際貢献はおろか留学の成果を自分の国に持ち帰ることも難しいでしょう。
 教室の隅っこで私の話しにほとんど耳を貸さず、ずっとスマホをいじってたWさん。国の友達とお話しするのがそんなに楽しいですか。何も言わなかったのは、大晦日だから大目に見たからじゃないんですよ。こいつを鍛えたところで、どうせ努力しなくても入れる学校にしか進学しないんだろうなって、もう見捨てたからなんですよ。

  • 2015年02月18日(水)22時01分

もうギブアップ?

2月17日(火)
 初級のOさんは昨日の中間テストを受けませんでした。話を聞いたY先生によると、どうやら今学期の進級をあきらめてしまったようです。白旗を揚げるのが早すぎます。
 私が見ている限り、Oさんは“楽しい勉強”に走ってしまっているようです。会話などおいしいところをつまみ食いして、形を覚えるなど面白みのない勉強は避けているように見受けられます。基礎工事抜きでスカイツリーを建てるようなもんです。
 もちろん、私たちも学生が楽しく日本語が上達できるように授業を考えています。でも、「読みますー読めます」とか「読む、読まない、読んだ、読まなかった」なんていうのは覚えるほかないし、「たら・ても」の作り方や考え方を自然に覚えるとなったら、かなりの時間を要するでしょう。その苦しい部分から逃げていたんじゃ、すぐに限界が来てしまいます。
 外国人力士、特に幕内まで上がってきているような人たちは、日本語学校に通っていないにもかかわらずみんな日本語が上手です。しかし、彼らは失礼な口の利き方をするたびに兄弟子に殴られながらうまくなったに違いありません。やっぱりどこかで痛い目、苦しい目にあっているのです。
 私も大学時代からドイツ語、フランス語、韓国語、中国語などの外国語を勉強しましたが、何一つ物にできませんでした。これはひとえに、単語を覚えるとか活用を身に付けるとか発音練習するとか、そういった地味な練習を怠ったからです。強制的に単語や活用を覚えさせられた英語だけが、唯一多少使い物になるだけです。
 明日はOさんのクラスに入ります。Oさんの気持ちを変えることができるでしょうか…。

  • 2015年02月17日(火)18時49分

今年のヒット曲

2月16日(月)
 卒業しない学生たちは中間テスト、卒業予定者は別メニューの1日でした。私のクラスの卒業予定の学生たちは、所定のメニューが終わったら卒業制作の練習に入りました。
 このクラスは自分たちで作った歌を歌うことになっています。世の中に出回っている曲だと著作権法に引っかかるおそれがあるため、Pさんが作曲したメロディーに、みんなで詞をつけました。私は文法や言葉の使い方がおかしいところを見てくれと言われて、2、3か所語句をいじっただけです.学生たちの手作りと言ってよい歌です。
 最初は各自が各パートをソロで歌うことになっていましたが、難しすぎるということで、数名ずつのグループに分かれて声を合わせることになりました。今日はその練習をしたというわけです。
 Pさんのギター伴奏に合わせて何回も歌いました。歌っていくうちに学生たちもこの曲のポイントがつかめたのでしょうか、だんだん自信が生まれてきたようです。はたで聞いていて、そんなことを感じました。聞けば聞くほどいい歌だなあと思えてきて、今も耳の奥底で心地よくリフレインしています。
 3人寄れば文殊の知恵といいますが、20人のクラスともなれば多様な才能が集まるものです。その学生たちが気合を入れて取り組んだら、どんな難問でも解けそうな気がします。そういう才能を磨くために来日した学生もいれば、自分と他人とを差別化するためにそれを光らせようとする学生もいます。そんなダイヤモンドをちらりと見ることができるとき、若い人たちの大きな可能性を感じさせられます。
 Pさん、そして今日のクラスの皆さん、私の中で今年1番のヒット曲は、皆さんが作って歌った歌ですよ。

  • 2015年02月16日(月)20時34分

寝台特急と卒業生

2月14日(土)
 北陸新幹線開業までちょうど1か月となった今日、新幹線の切符が発売されました。1番列車は25秒で売り切れになったそうです。でも、その前日で廃止となる寝台特急北斗星やトワイライトエクスプレスの最終列車は、発売と同時に売り切れだったそうですから、日本人は去りゆくものへの愛着のほうが強いのかもしれません。まあ、北陸新幹線はこれから何回でも乗れますが、廃止される列車はもう乗りたくても乗れませんからね。
 KCPの卒業式はその3日前の3月11日です。長い期間KCPで勉強した学生はそれだけ愛着があり、少しでも長く触れ合っていたいという気持ちがうかがえます。その一方で、進学が決まり1年足らずでKCPを出る学生の中には、1日でも早く離れたいという感じが見て取れる学生もいます。
 Oさんはそんな学生で、月曜日が中間テストなのにもかかわらず、家族で旧正月を迎えるために一時帰国してしまいました。もう授業を聞く必要がないといわんばかりの態度で、クラスの先生方も手を焼いています。あっという間に合格を決めちゃったんですから優秀であることは確かですが、陰でOさんを支えてきた人たちに泥をかけるようなことをしていては、まともな大学生活は送れないでしょう。日本で就職するつもりかもしれませんが、就職試験は通らないと思いますよ。
 毎年Oさんのような学生はいます。この期に及んでどう指導したところで「へっ」と思われるのが関の山です。でも、いつかどこかで「KCPの先生がいっていたことの意味がやっとわかった」って思わせたいです。私は、その時限爆弾を仕掛けるつもりで、そういう学生に接しています。爆発率は低いでしょうが…。

  • 2015年02月14日(土)15時38分

4年後の進路指導

2月13日(金)
 J大学に進学したSさんが顔を見せに来てくれました。明日、帰国するので、お別れの挨拶を兼ねてです。日本で就職しようと思っていましたが、就職先が決まらず、帰国となったのです。
 Sさんは物怖じせず何でも積極的に取り組む学生でした。大学では自分が好きで選んだ専門の勉強に打ち込み、学問的な意味でも学生生活を存分に楽しみました。しかし、そういうSさんを評価する企業はありませんでした。
 Sさんは選んだ専門が悪かったと言っています。無難に経営学科にでも入っておけばよかったとも。学問的興味を抑えても就職の有利さを優先したほうが、結局は“勝者”になれるのでしょうか。考えさせられました。
 つい昨日、2つの大学に受かったKさんからどちらにしようかという相談を受けました。H大学はKさんが入りたかった学部に受かり、R大学にはやりたい研究をしているY教授がいます。就職を考えると、R大学のほうが幅広く勉強できるし、知名度もあるし、きっと有利でしょう。しかしY教授の研究室に入れなかったら、Kさんが抱いている夢は叶えられません。
 SさんだったらR大学を薦めるのかなあ。直接聞いてはみませんでしたが、「好きな勉強だけじゃ生きていけないよ」って言いそうな気がします。Sさんの同期には優秀なのに就職できなかった学生がほかにもいます。就職まで見通した進路指導は、私たちにも難しいものがあります。
 Sさんは、内心はそうじゃないかもしれませんが、笑顔で去っていきました。Sさんに幸あれと祈らずにはいられませんでした。

  • 2015年02月13日(金)19時52分

何を求める?

2月12日(木)
 朝、授業前にCさんが面接練習をしていました。専門学校の面接試験があるのです。Cさんは、きちんとお辞儀をするとか丁寧な言葉づかいで自分の考えを述べるとかという訓練を受けてきませんでした。ここへ来て、必要に迫られ、にわかにそういう練習を始めたのです。しかし、なかなか上手にできません。
 Cさんにそういう練習をさせるのは、専門学校がそういう態度を求めるからです。専門学校がそれを求めるのは、就職先となる企業がそれを求めるからでしょう。企業は、社内外の人間関係がスムーズにいくようにするには「、丁寧な言葉遣いなどが必要だと思っているのでしょう。
 専門学校の面接官は、私と同年輩かもう少し年下ではないかと思います。その人たちも私同様に、学生時代は野生児だったに違いありません。就職するときに敬語やら礼儀作法やらを叩き込まれ、さらに就職してから実地で訓練を積んで、今、面接官として若者を審査する立場にいるのです。
 企業がそういうのを求めなくなったら、ありのままのCさんでも合格できるのです。しかし、現実は違いますし、これからも礼儀作法の再生産は続くでしょう。野生児だった若者も、年を重ねるにつれて自分が無意味だと思ったことへの意味を感じ取り、次世代の若者に試験という形で伝えていくのです。
 夕方、I大学を受けた学生たちが戻ってきて、口々にひどい面接だったと言います。面接官が能面のようで、手応えがまるで感じられなかったとのことです。公平を期するために感情を表に出さないようにしていたのかもしれませんが、学生たちの思いを受け止めない面接は、礼儀にもとると思います。この人たちは、入試かどこかで話を聞く態度を鍛えられてこなかったんでしょうか。

  • 2015年02月12日(木)21時56分

学生に教えられ

2月10日(火)
 授業後1階に下りたら、Wさんとばったり会いました。「先生、行ってきます」とにこやかに挨拶してくれました。Wさんはこれから北海道の大学を受けに行くのです。さんざん面接練習をした側としては、明日の面接本番が気になるところです。あらゆる角度からの質問を想定して十分に練習もしたし、Wさん自身もその練習で答えられなかった質問について真剣に考えて自分なりの答えを見つけたことだし、自信を持って臨んでもらいたいです。
 さて、Wさんは学校を出てどこへ行ったでしょうか。いったん帰宅して荷物を持って、Wさんは成田へ行き、LCCで千歳へ飛んだのです。私の感覚だったら羽田に向かうところですが、外国人である学生たちにとっては成田は案外身近な空港なのでしょうか。私も年に数回は飛行機を利用しますが、全て羽田です。LCCの値段は魅力的ではありますが、成田まで行くのがなんとなく億劫なのです。
 でも、私のうちの最寄り駅から日暮里まで5分、日暮里からスカイライナーに乗れば最短36分で成田空港。LCCのカウンターはターミナルビルの端っこのほうだそうですが、スカイライナーの待ち時間を考慮しても出発の2時間前にうちを出れば間に合いそうです。時間だけで考えれば羽田と大差ないのです。スカイライナーの特急料金を入れると電車代は3倍以上かかりますが。
 成田やLCCに対する偏見を捨てなきゃとWさんに教えられた感じがしていたら、いまどき東京駅近辺からは成田空港まで1000円を切るバスがバンバン出ているんだそうですね。今度の旅行のときには考えてみようかな。

  • 2015年02月10日(火)21時12分

もうすぐ会話タスク

2月9日(月)
 初級は、今週、会話タスクがあります。これは会話の中間テストです。学生たちはペアになって、与えられた場面で会話を作り発表します。もちろん、ただ作ればいいというのではなく、今学期習った文型を使うという条件がつきます。今日は、その練習をしました。
 はっきり言って、今日のは全然だめでしたね。文法も使えていないし、セリフも棒読みだし、本番でこんなのだったらせいぜいC評価でしょうか。クラスで一番成績のいいDさんにしてこんな程度でしたから、他の学生は推して知るべしです。ペーパーテストだけができても、KCPでは高く評価されません。コミュニケーションの原点は話すことですから、勉強したことが口から出るようになって初めて定着したと言えるのです。
 Dさんには励ましの意味もこめて、間違えた文法をみんなでシェアしました。こういうときにこの文法を使うんだよという見本として取り上げました。他の学生もできるわけではありませんから、Dさんを笑う人など誰もいません。みんな、こちらの話に真剣に耳を傾け、本番に備えていました。
 習った文型がすぐに使える環境にあると一番いいのですが、なかなかそうはいきません。学生たちは日本語に囲まれて生活しているはずなのですが、実際に日本語を使うチャンスは意外なほど少ないのです。もう少し正確に言うと、日本語を使わずとも何とかなっちゃう環境に生きている学生が大半なのです。先輩後輩の関係をはじめとする同国人のコミュニティーに助けてもらっているようです。アルバイトをしたところで、上手になるのはある特定の表現だけですからね。
 本番にはどんな会話を作ってくるのでしょうか。私は本番は見られませんから、担当なさった先生から報告を聞くことにします。

  • 2015年02月09日(月)22時16分
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