5月9日(金)
今学期の最上級クラスの読解では、日本人の高校生の教材を読んでいます。そのまま読ませると難解すぎて内容が取れないでしょうから、補助教材を用意します。今回は上野千鶴子さんの文章ですから、上野さんの人となりを紹介した後、上野さんが2019年に東大の入学式で祝辞を述べている映像を見せました。当時、その内容がとても話題になった祝辞です。
15分近い映像でしたから、最後までついてきてくれるだろうかと心配しましたが、ごく一部の学生を除いて、興味深げに耳を傾けていました。字幕にも助けられたと思いますが、よくついてきてくれたと思います。ジェンダーによる差を、データに基づいて示し、それが不当であると訴えていましたが、学生たちにはそういう論の進め方が新鮮だったようです。
こうやって、上野千鶴子さんの発想、考え方を大づかみしたうえで、読解テキストに入りました。今回は学生たちに内容を解釈してもらおうと思い、読むポイントをまとめたシートを配り、グループで考えてもらいました。「三人寄れば文殊の知恵」と板書しましたが、これを知っている学生はいませんでした。文殊は知恵の神様だと言ったCさんは、神様ではありませんが、よく知ってるねと褒めてあげました。
小グループになると話しやすいようで、教室のあちこちから議論が聞こえてきました。しばらくしてから話し合いの内容を聞きましたが、まあ、順当なところでした。上野さんの考えも、おおむね理解できたようで、安心しました。来週の授業が、この読解の山場です。脱落者を出さないようにしなければ‥。
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