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無反応

5月10日(月)

「じゃ、Bさん」と指名しましたが、反応がありません。10分ほど前に出席を取った時には「はい」という返事があったのに…。ずっと待っていても時間の無駄ですから、別の学生に答えてもらいました。

それから20分ほど後に、もう一度Bさんを指名しました。しかし、「……」でした。さらに30分後にまた指しましたが、zoomの画面上にはいるのに、答えが返ってきませんでした。

授業後、Bさんを残して話を聞きました。と言っても、一番下のレベルで、やっと形容詞を勉強したところですから、話せる内容はたかが知れています。Bさんは「マイクが悪いです」(形容詞の過去名は未習)と、自分の行動を正当化しようとしました。「どうしてチャットに書きませんでしたか」と突っ込んでみても、Bさんはそれに対して答えられる日本語を持ち合わせていませんでした。「明日は大丈夫ですね」と、引き下がるほかありませんでした。

Bさんは、自分ではできると思っていますが、実際にはそれほどではありません。宿題などを提出させると、かなり穴があるのがわかります。何となくはわかっているのですが、正確には身に付いていないのです。多少いい加減でもコミュニケーションが取れれば救いようはありますが、上述のようにそういうわけでもありません。ここを打破しない限り進級もおぼつかないのですが、本人は全く感じていません。

こういう学生は、オンラインに限らずいつでもどこにもいます。こういう学生は、進級できなかった場合、非常に駄々をこねます。オンラインだと、そのせいにしてさらに話がこじれるのではないかという気がしています。そうならないように、今から手を打っていかなければなりません。

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変わった?

5月8日(土)

朝、パソコンを立ち上げると、だいぶ前にKCPをおやめになったW先生からメールが届いていました。大学院に進学しようと思っている留学生の面倒を見ているそうです。KCPでの経験が、多少は役に立っているのでしょうか。文面からはお元気なご様子がうかがえ、いつもにこやかでやる気満々だったW先生のお姿が頭の中に浮かび上がってきました。同じ釜の飯を食った仲というよりは、同じ学生に悩まされた仲とでもいうべきW先生です。ずいぶんとお会いしていませんが、太い絆の連帯感がよみがえってきました。

W先生は、現校舎ができてからまだいらっしゃったことがないとのことですから、おやめになったのは震災の直後ぐらいだったのでしょうか。そのころと比べると、確かに教師の顔ぶれは変わりました。でも、毎日学校へ来ていると、その変化に気づかないんですよね。私自身はどれくらい変わったでしょうか。毎朝一番に出勤し、日本語を教え、理科を教え、養成講座を担当し、行事のたびに天気予報をし、…というあたりは、W先生がいらっしゃった頃と変わりありません。オンライン授業をするようになった点が変化といえば変化ですが、いろんな機材を使いこなしているわけではありませんから、進歩とは言えませんね。

緊急事態宣言が解除されたら旧交を温め合いたいと思いますが、いつのことになるやら。ついに1000人を超えてしまいましたからね。他県でも過去最多が目立っています。まずはこれからさらに大きくなりそうな波を乗り越えなければなりません。

ということで、W先生にお会いしていない間に一番大きく変わったのは、世の中そのものですね。

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EJUで横綱相撲

5月7日(金)

EJUまで1か月半ほど、受験講座理科では過去問を使った模擬テストをしました。始める前にマークシート方式の解答用紙の書き方から説明しました。みんな、今回が初めてのEJUですから、こちらにとっては常識でも、学生たちには新発見なのです。数年前に、この説明を怠ったために、理科2科目のうち1科目が白紙扱いにされてしまった学生がいました。そういう悲劇を繰り返さないために、最初にがっちりしつけるのです。

2科目を80分で解くには、わからない問題を考え続けるわけにはいきません。解ける問題を確実に正解に結び付け、点数を増やしていくことをまず考えるべきです。また、1番から順番に解いていく必要はありません。おしまいの方に易しい問題や得意分野の問題があったら、それを得点化しておいた方がよい結果につながることもあるでしょう。

実際にやってみると、思ったより難しかったようです。80分をフルに使っても解けなかったり計算が終わらなかったりしていました。あれほど注意したのに全然違うところにマークした学生もいました。これで、時間配分も実感できたでしょうし、ミスも今のうちにしておけば本番で同じことはしないでしょう。そのための模擬テストです。

理科で満点を目指すOさんは、6問間違えたとか。満点を取るには、点数を増やす努力だけではいけません。ミスを減らす、なくすという発想も必要です。勘違いとか度忘れとか、そういうことも許されません。どんな攻められ方をされてもすべて受けて立ち、最後には勝つという、横綱相撲みたいな取り組みが求められます。容易なことではありません。そういうことを指摘すると、そこまでの覚悟はしていなかったようです。これまた、あと1か月余りで鍛え直さねばなりません。

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寝連休

5月6日(木)

この連休は、実に何もしませんでした。去年の連休はずっとオンライン授業でしたから毎日学校に通いましたが、今年はカレンダー通りの休みで、しかも旅行の予定を全面キャンセルしましたから、5日間完全オフでした。仕事をしようと思えばできたでしょうが、4月30日の夜に学校を出た瞬間から、今朝学校のシャッターを開けるまで、完全に忘れていました。

こういうご時世だからと、献血に協力しに池袋まで行ったのが、唯一の遠征です。あとは、自宅から歩いていける範囲をうろちょろしていました。でも、献血ルームはずいぶん混んでいましたねえ。みんな、行く場所もないしすることもないから、献血でもしてやろうかと思ったのでしょうか。

自宅近辺でくすぶっていましたから、お金も使いませんでした。5日間で1万円使ったかなあ。あ、そうだ、献血に行った日に本をまとめ買いしましたから、書籍代で1万円使いました。それを除いたら、たとえ1万円を超えていても、2万円は絶対に使っていません。旅行に出ていたら、交通費と宿泊代を含めると1日平均2万円ぐらい使っていたかもしれません。それがどう多く見積もっても3万円ですから…。日本国民がみんなこんなことをしていたら、景気が悪くなるはずです。だから菅さんは1日も早く緊急事態宣言をやめにしたいのです。

さて、連休明け。毎日、腰が痛くなるまで寝ていたので連休ボケが心配でしたが、zoomの画面に映った学生を見たら、スイッチが入ってしまいました。気が付いたら、いつもと同じように学生のいない教室で声を張り上げていました。

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鎧兜

4月30日(金)

去年は全然何もできなかった学校行事が、やっと復活しました。端午の節句です。毎年連休の直前に行っていましたが、去年はオンラインで細々と触れた程度でした。でも、今年は2年ぶりに五月人形を飾り、日本の伝統文化の一端を学ぶとともに、ちょっとしたゲームも楽しみました。

私たちにとっては、五月人形は珍しくも何ともありませんが、学生たちはしげしげと眺め、写真を撮っていました。教室で一通り説明を受けて来ても、いや、受けて来たからこそ、興味津々だったのでしょう。鎧兜姿の大将、桃太郎、菖蒲の花など、飾ってあるものすべてにスマホを向けていました。

ゲームは、桃太郎にちなんで鬼退治です。軍手を丸めて作ったボールを、厚紙で作った鬼に向かって投げ、鬼が倒れたら点がもらえるというものです。単純なゲームでしたが、思いのほか盛り上がりました。クラスメートの投げるボールにまさしく一喜一憂で、久しぶりに学生の歓声を聞きました。

おととしまでは、クラスみんなで柏餅を食べましたが、今年はもちろん中止。6階の講堂の半分で五月人形を見て、もう半分で柏餅を食べながら歓談という流れでしたが、幸いにも(?)学生数が減ったため、クラス完全入れ替え制でも時間にゆとりがありました。

その代わり忙しかったのがO先生たちで、この行事を海外でオンライン授業を受けている学生たちに中継するために大いに汗を流していました。モニターで見る限り、オンラインの学生たちも画面を通して端午の節句を味わっていたようです。

この先感染拡大がどうなるか見通せませんが、こうして少しずつ平常を取り戻していきたいです。

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目指せ花丸

4月28日(水)

私が担当している初級クラスは、「いっしょにテニスをしませんか」「ええ、しましょう」などという、「~ませんか」「~ましょう」がようやく終わったところです。そこで、これを使った会話スクリプトを作る宿題を出しました。この文法項目の理解確認もそうですですが、表記の正確さや会話を広げる力も見ようと思いました。

提出された作品を見ると、学期が始まって3週間足らずなのに、ずいぶん差がついています。国で勉強した貯金が利いている人もいるでしょうが、このモダリティー表現あたりで底を尽く例もよくあります。ですから、この会話スクリプトの出来は、学生の地力を表しているとも言えます。

Bさんは、私が板書した見本の会話をほぼそのまま書いてきました。呼びかけの名前を変えたのが、Bさんの良心でしょう。表記も不正確で、これからが心配です。また、消しゴムを使わずにぐしゃぐしゃと間違いを消してあるのも、いやな予感をさせられます。落ちていかないように引っ張らなければなりません。

Gさんは辞書で調べた難しい言葉を使おうとして自滅しました。場面を工夫しているのは褒めてあげてもいいですが、工夫することにばかり気持ちが向かってしまい、かえってわかりにくくなってしまいました。

一方、Jさんは、今までに習った文法と単語を上手に組み合わせてスクリプトを作り上げました。私の見本会話の要点をつかみ、それを応用してJさんのオリジナリティーを出しています。しかも、字がきれいです。花丸をあげてしまいました。Lさんも、無理なく「~ませんか」「~ましょう」を使っていました。

ここで浮かび上がった各学生の勉強の進み具合を参考にして、来週からの授業を考えていきます。

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これから

4月27日(火)

午前中は、初級の進学コースの授業をしました。本来の担当のO先生が日本語教師養成講座の講義をするため、代講のお鉢が回ってきたという次第です。ここのメンバーは、ごく一部が先学期2、3回入ったクラスの学生だったというだけで、ほとんどが初顔合わせです。でも、この学生たちが今年度来年度のKCPの屋台骨を支えるのかと思うと、じっくり観察したくもなります。

観察した結果は、う~ん、まだまだですねえ。鍛えがいがある、伸びしろがあると言えばその通りですが、先が長いこともまた事実です。読解も聴解も、問題作成者がにんまりしてしまうような引っ掛かり方をしてくれます。素直な一本道の問題しか理解できないとなると、大学入試もそうですが、日本で社会生活が送れるのか心配になってきます。だって、簡単にだまされちゃうんですよ。

それが終わって一息ついていたら、Zさんが物理の問題を持って来ました。先週の受験講座で配った問題がわからないと言います。Zさんの志望校を考えると、こちらもこれからバリバリ鍛えていかねばなりません。

その受験講座、来日できずに国で受講している学生がいます。そういう学生にも力を付けさせるべく、あれこれ工夫しています。孤独な戦いにならないようにというのもその一つです。私の目の前で聞いている学生たちを紹介したり、常に気にかけているという姿勢を示したりしています。

受験講座のあとは、新入生への大学進学のガイダンス授業。今までの学生の失敗談を語っているような気がしてきました。でも、同じ失敗は繰り返してほしくないですから、熱を込めてしまいます。

感染者数が増え続けています。まさか、今年も中止などということにはならないでしょうね。

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朝のご同業

4月26日(月)

最近は私が家を出る時間帯でも東の空が明るくなっています。街灯が消えるほどではありませんが、朝らしさが感じられます。今朝はちょっと冷え込んだようですが、駅までシャカシャカ歩いているうちに寒さは感じなくなりました。私が乗る一番電車は、いつもと変わらぬ顔ぶれが普段と同じ席を占め、何事もないかのような1日の始まりでした。

3度目の緊急事態宣言が発せられましたが、早朝の電車は先週までと変わることがありませんでした。私もごく当たり前に電車に乗っていたのですから、他のみなさんもリモートではどうにもならない仕事を抱えているのでしょう。ネットのニュースなどによると、緊急事態宣言が出た街は、どこも大して人出が減っていないようです。

KCPも去年の4月と今年の年初の緊急事態宣言の際はオンラインにしましたか、今回は、少なくとも今週は、このままいきます。登校しだすと、学生たちの方がオンラインじゃない方がいいという意見が強いのです。それは私たちのオンライン授業が拙いからかもしれませんが、やっぱり言葉の授業はオンラインより対面の方が、実感が伴うのでしょう。

そうは言っても、外出する人を7割減らさないと感染拡大は抑えられないとされています。それに背を向けるようで非常に心苦しいのですが、仕事の性格上やむを得ません。学生たちにしたって、万難を排して日本まで来たのですから、オンラインでは得られない手ごたえをつかみたいことでしょう。

朝の電車で乗り合わせている皆さんも、同様なのでしょうか。

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iPS細胞の次

4月23日(金)

ただいま、中級の読解で使う文章を書いています。中級なら市販の読解の教科書もたくさんあるのですが、あれこれ自由に手を加えるとなると、著作権がこちらにある自作の文章が一番です。自分が書いた原稿だったら、学生の反応を見て手直しもすぐにできます。

文章の中に、それを使うまでに勉強した語彙や文法を練り込むこともできます。もちろん、無理に使おうとして不自然な文章になってしまったら逆効果です、使えるところには積極的に使うという気持ちで書き進めています。また、語彙も、これはぜひ覚えてほしいとか、初級で勉強した単語だけどこういう意味用法もあるんだとか、慣用句やコロケーションとか、そういうことを考えながら選んでいます。

肝心の内容は、理科系の話題でというリクエストがありますから、それに応えています。京都大学の山中伸弥教授がノーベル賞を取って間もないころ、iPS細胞について書きました。論理的な文章を読んで理解できるようになるという目的で、書き進めました。好評なようで、最近はその後のiPS細胞ということで、授業中に講演もしています。大学や大学院に進学したら、文献を読んだり話を聞いたりして理解を深めていくことの連続です。これはその練習です。

今回も、科学技術関係の論理的な文章を書くことになっています。iPS細胞は現在の技術の解説が中心でしたから、今度は技術の発展を時系列で見たお話にしようと思っています。そこに学生が「へー」と思えるような何かを加味して、学生を引き付けるような読解教材に仕上げたいです。

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やりにくい

4月22日(木)

レベル1は、今、「行きます、来ます、帰ります」の、往来動詞とか移動動詞とか呼ばれる一群を扱っています。このうち、「行きます」は「学校へ行きます」「スーパーへ行きます」「沖縄へ行きます」など、いくらでも文も作れますし、オンラインで参加している学生たちも実感を伴う発話ができます。

しかし、オンラインの場合、「来ます」は、「学校へ来ます」「日本へ来ます」など、定番の文が全く役に立ちません。うちで勉強していますから、自分の国にいますから、身近な「来ます」がないのです。仮定の世界を作ってそこで「来ます」を使う練習も考えましたが、学生たちはそれこそやっと移動動詞程度のレベルですから、込み入った設定が理解できないおそれが強いです。

「帰ります」も同様で、国の自分のうちにいますから、「うちへ帰ります」「国へ帰ります」が使えません。zoomの背景をディズニーランドにして…などとも考えましたが、うまくいくかどうか全く自信がありませんでした。学生たちの母語を使ってもいいのならいくらでも手があるでしょうが、KCPは直接法を旨としていますし、何よりクラスは多国籍ですから、授業中に媒介言語は事実上使えません。

日本語の「来ます」「帰ります」の特殊性も関わっています。話者の現在地とか本拠地とかが意味に関わっていますから、オンラインだと商売しづらいのです。逃げと言えば実にその通りなのですが、学生たちが来日し、生の日本語に接した時点で、実地に意味を把握するのが最も確実な方法だと思います。

こういう点からも、早く収まってほしいのですが、「宣言」に向かってまっしぐらですよね。

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