Category Archives: 授業

ゲストがいらっしゃいました

1月16日(金)

最上級クラスにゲストが来ました。このクラスは日本人の高校生向けのテキストを使うなど、典型的な日本語学校の授業とはかなり違う授業をしていますから、見ても参考にならないことが多いのです。しかし、今回のゲストは、国の大学で専門的に日本語を勉強している現役の学生さんたちですから、他流試合に来たといったところでしょうか。ということは、こちらも負けるわけにはいきません。“なあんだ、KCPって、こんな程(低?)度か”なんて思われたらたまりません。

読解のテキスト音読は、いつもスラスラ読んでくれる学生を指名しました。その学生たちは期待に違わず、実に滑らかに読んでくれました。初見のテキストではありませんから、当然と言えば当然なんですがね。文章の内容について質問すると、こちらが狙った以上の答えが出てきました。こいつら、結構力をつけたなあと、私も感心させられました。ゲストにはその答えがどう聞こえたでしょうかねえ。

読解の次は、昨日発表された東洋大学の現代学生百人一首をネタに、ゲストも交えてグループ討論をしました。ゲストは現役の大学生ですから、クラスの学生とはだいたい同年代です。お互い意見が言いやすかったのではないでしょうか。少しは打ち解けたかなといった感じでした。

ゲストのみなさんは次の予定が迫っていましたから授業の途中で抜けましたが、また月曜日にもいらっしゃいます。その時には、Y先生がもっとしっかりした授業をしてくださることでしょう。超級は楽しいというよりも歯ごたえのある授業を目指しています。ゲストのみなさんには感じていただけたでしょうか。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

漢字のスリル

1月15日(木)

レベル5には漢字の授業がありますが、私は漢字を教えません。その日に教科書のどのページをやるか決まっていますから、学生にはがっちり予習して来いと言ってあります。予習していろいろ調べたけれどもわからなかったことを、授業の時に私に聞くことにしてあります。

学期の初めはこのやり方が浸透していないのと、こんなこと質問してもいいのだろうかという(教師の立場からすると)余計な心配と、その他種々雑多な感情がないまぜになって、手を挙げる学生がなかなかいません。しかし、誰かが口火を切ると、少しずつ学生の疑問点が表に出てきます。

学生たちがこの授業スタイルに慣れてきて、質問に対するハードルが低くなると、次から次へと質問が出てくるようになります。30分で終わらせる漢字の授業が1時間近くになることもあります。そんな時は、私の与太話を削って帳尻を合わせます。

逆に質問が足りないときは、こちらから逆質問します。昨日は、“逃がす”と“逃す”は何が違うかと聞きました。そして、こういうところまで調べるのが予習だよと、予習の観点を教えました。ちなみに、逃がす”と“逃す”、ちゃんと読めますか(これも学生に教えました)。

学生からの質問に答えることでその日に伝えなければならない事柄がすべて網羅されたならそれでいいのですが、そういう日もめったにありません。中国の漢字との字体の微妙な違いや、学生がよく間違えるポイントや、今勉強している他の科目との関連など、教師の視点からの注意事項を付け加えます。

このやり方はどんな質問が飛んでくるかわかりませんから、危険と言えば危険です。でも、そのスリルが楽しいんですよね。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

ゲーム正月

1月14日(水)

中級クラスの授業の最初に、ウオーミングアップと口慣らしを兼ねて、「休み中、何した?」というテーマで、隣の席の人と会話をさせました。新クラスになってまだ2日目なので、まだお互い顔もよく知らない程度の関係です。ですから、「はい、どうぞ」と始めた直後はあまり盛り上がっている感じはしませんでした。でも、3分ほどの間になじんできたのか、笑顔も見られるようになりました。

会話を終わらせ、「じゃあ、どんなことをしたか、何人かに聞いてみましょう」と最初に指名した学生は、「うちでゲームをしました」と答えました。パッとしない答えでしたから、次の学生を指名しました。その学生も「うちでゲームをしました」でした。一時帰国して実家でゲームをしていたそうです。

「みんなもゲームしていたんですか」と」クラス全体に聞くと、うなずく学生があちこちにいました。学生の母国は日本ほど気合を入れて新年を祝う風習はないでしょうが、日本にいたにせよ帰国したにせよ、休み中ゲーム三昧だったという学生が少なくないというのは驚きでした。

こんなのは私のクラスだけかと思って他のクラスの先生にお聞きしたら、「私のクラスもゲームの学生が多かったです」とのことでした。ということは、KCPの学生の相当数がゲームに打ち込んでいたのでしょうか。せっかく異国で暮らしているのに、どこでもできるゲームで時間をつぶしてしまうなんてもったいないと私は思ってしまうのですが、学生は違うのでしょうかね。深く突っ込んでみたかったですが、授業も進めなければなりませんから、「じゃ、漢字の教科書を開いてください」と話題を切り替えました。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

初日の風景

1月13日(火)

始業日を迎え、先生方は新しいクラスの学生との顔合わせを楽しみにしているようでもあり、未知との遭遇に一抹の不安を抱いているようでもあり、一種独特の雰囲気が職員室を包んでいました。先学期の先生から情報を得ようとしたり、要注意の学生の申し送りをしたり、あちこちで情報交換も行われていました。

私はそんな学期初日の空気の埒外にいました。なぜなら、私が担当するクラスは、全員先学期からの持ち上がりだったからです。今学期の火曜日は最上級クラス担当です。このクラス、先学期の最上級クラスから1名卒業生が抜けただけで、メンバーは変わっていません。だから、自分から自分への申し送りしかないのです。

教室に入ると、先学期と同じ位置に同じ学生が座り、全く変わり映えがしませんでした。学生も教師も顔なじみですが、今学期はまだ行き先が決まっていない学生を志望校に押し込むことが、クラス担任としての最大の仕事です。責任を持って骨を拾うつもりです。

午後は教科書販売に立ち会いました。先学期レベル1で教えた学生が進級したクラスの先生に率いられて教科書を買いに来ると、みんな懐かしそうに「先生!」と声をかけてくれたり手を振ってくれたりしました。レベル2の教科書を渡すときに「Aさん、この教科書、難しいんじゃないの? あそこに易しい教科書、あるよ」とレベル1の教科書を指さすと、「大丈夫です」「難しくないです」「いいえ、いいえこの教科書です」とかという反応が返ってきました。ポカンとしたまんまの学生がいなかったということは、私の言葉の意味をとらえ、きちんと返答できたということであり、レベル1の最終会話テスト合格と言ってもいいでしょう。レベル2でもしっかり力をつけてもらいたいです。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

しばしの別れ

12月17日(水)

「えーっ、これ、便利!」 教科書巻末の文型一覧表を発見したSさんが叫ぶと、学生全員がその一覧表のページを開いて、ああだこうだ言い始めました。期末テスト2日前にしてやっと気がつくというのは遅すぎる感じがしますが、その表を使って2日間集中的に勉強すれば、今学期その教科書で勉強したことがしっかり身に付くでしょう。それが来学期以降の土台になります。

一番下のレベルと言っても侮ることはできません。その気になれば既習事項を組み合わせてかなり複雑なことも表現できます。こちらも、そういうことを念頭に、意識的に長い文を作らせたり、時事ネタをちょっと扱って社会性を持たせたりと、難しいことができるようになったんだよというメッセージを送っています。

レベル1はこれから先の日本語学習の基礎作りですが、同時に高い到達点も指し示してあげたいです。上も見るんだよと訴え続けてきました。伸びる素養にある学生をしっかり伸ばしてあげることも、教師の大きな役割です。私のように上級にも顔を突っ込んでいる教師なら、なおのことそういう仕事をしていけなければなりません。

初級クラスの最後の日には、「次は、レベル1のクラスじゃなくて、中級か上級の教室で会いたいですね」とあいさつします。実際に中級上級のクラスで再びまみえるケースはそんなに多くはありませんが、でも、絶対にゼロではありません。来年の夏ぐらいに、目の前にいる学生のうちの数名が、成長した姿でまた一緒に勉強するのです。今から、楽しみです。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

押し詰まってきました

12月15日(月)

今週末が期末テストですが、そこへ向けてレベル1は厳しい戦いが続いています。中間テスト付近から“○○形”が続々と登場してきましたが、遂にラスボス・条件形が現れました。

作り方の説明の日本語は、みんなすぐに理解します。しかし、それに従って条件形が作れるようになるかというと、全くそんなことはありません。クラス全体に聞くと、できる学生につられてみんななんとなく言えたような気になります。しかし、ひとりひとりに聞くと、“あるきます―あるければ”“さがします―さがすれば”などというのが至る所から芽を出します。今のうちにこの芽を摘み取らねばと思いますが、なかなかうまくいきません。

こういうのは、1日で決着がつかなければ、長期戦に持ち込んでじわじわ浸透させていくのがいいのですが、なにせすぐ期末テストですから、悠長に構えているわけにはいきません。あの手この手で言わせてみようとしますが、そうたやすくうまくいくものではありません。結局、ほかにもやることがありますから、うちでも練習しろという方向に逃げてしまいました。

今使っている教科書は、会話が中心です。会話だと、勢いで目標としている文法項目が使えているように聞こえてしまうことがよくあります。しかし、筆記試験ではそうはいきません。正確さが要求されます。口頭では視覚的に何も残りませんが、筆記では厳然たる証拠が、学生にも教師にも突きつけられます。両者、それを見て青くなるという次第です。

このクラスに入るのは、あと水曜日だけです。その日に何とか仕上げなければ…と思っています。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

歓声に包まれて

12月12日(金)

8時過ぎに私が新百合ヶ丘の駅に着くと、すでに数名の学生がいました。その後も三々五々、学生が集まってきました。外は寒いと言って、駅のコンビニに逃げ込む学生もいました。8時半ごろ、第一陣の学生がK先生に率いられて出発しました。私はコンビニの中の学生に声をかけて、第二陣として、国際交流授業の行われる神奈川県立麻生高校に向かいました。

控室に充てられた部屋は進路相談室みたいな教室で、大学の資料や赤本がたくさん並べられていました。それ以外のスペースは生徒が1人きりで集中できるブースになっていました。大机が並んでいるKCPの図書室とはだいぶ雰囲気が違いました。欠席者がいたので人数調整をし、高校の各クラスから迎えに来てくれた代表の生徒に連れられて、KCPの学生たちは教室へ。

麻生高校の校長先生をはじめ、幹部の方にご挨拶を済ませた後は、引率の教師は暇を持て余すことになります。授業の様子をチラ見するのも兼ねて、校舎内を見学させてもらいました。クラスごとに趣向を凝らしたイベントを企画してくださったようで、どの教室からも歓声が上がり、笑顔がうかがえました。また、社会科教室には付近で見つかった土器などが展示されていたり、理科室からは動物の骨格標本が顔をのぞかせていたりなど、随所に高校らしさを感じました。職員室前の掲示板には指定校推薦の一覧が張り出されていました。これはKCPと同じですね。

残念ながら、私は午後から学校で用事があるため、中座せざるを得ませんでした。でも、あの様子だったら、参加した学生は十分満足できたのではないでしょうか。楽しかった話をうんとして、欠席した学生をうらやましがらせてやろうではありませんか。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

頭痛の原因

11月27日(木)

火曜日の選択授業・小論文で学生が書いた小論文をチェックしました。今週は文章読解型小論文に挑戦しました。1000字ほどのまとまった文章を読んだ上で、与えられた課題について書いてもらいました。今までは「こういう意見・考え方についてどう思いますか」というパターンが多かったのですが、今週は課題文から筆者の意見を読み取るところから始まりました。

初回ですから、読解に関しては多少助けてあげました。学生たちには理解しづらいだろうなというところには、解説を加えました。そして、書くべき課題についても、こういう構成で書くといいと説明しました。

さて、ふたを開けてみると、約半数の学生が的外れな小論文を書いていました。「なぜ○○が必要なのですか」という問いなのですが、「筆者の意見に賛成だ」「○○に反対だ」と書き出していました。1000字の文章どころか、わずか1行の指示文すら読み取れていませんでした。“課題は「なぜ」だから、賛成/反対で答えちゃいけないよ”と注意したにもかかわらず、堂々と賛成/反対で書き始めた学生が半数もいたのです。しかも、上級の学生たちだよ。激しい頭痛と吐き気に襲われました。

それに耐えながら「筆者の意見に賛成だ」の続きを読みました。予想通り、「なぜ」の答えは現れませんでした。入試の採点官だったら思い切り0点をつけるところですが、どこか1つでも評価できるところはないかと、目を最大変に見開いて探しました。無駄な努力でした。

すでに小論文入試を受けた学生たちもこんなのを書いたのでしょうか。だとしたら、受かるわけがありません。

賛成/反対組には、コメントで“なぜ”に答えていないと訴えました。そして、書き直しを命じることにしようかと考えています。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

心配事

11月20日(木)

木曜日の上級選択授業・身近な科学は、毎回授業の最後にその日の授業内容に関するクイズを出します。それにどんな答えを書くかで、その学生がどれくらい真面目に話を聞いていたか見当がつきます。スマホでこっそり調べればわかってしまう問題のときもありますが、大体はスマホで調べた結果をそのまま書くと“こいつ、やったな”と気が付いてしまうものです。

チャイムが鳴って、みんなクイズの答えを出して教室を出て行きましたが、Lさんが黙々と答えを書いていました。Lさんは毎回話をしっかり聞き、クイズにもきちんと答えてくれます。自分のとったメモを見返しながら真摯に答えようとしますから、みんなよりいくらか遅くなることもあります。

せかすことなく教卓周りの片づけをしていると、3分遅れぐらいで出しました。“さようなら”と言って帰っていくのかと思いきや、「先生、日本で一番地震が少ないところはどこですか」と質問。先々週の身近な科学で取り上げた地震についての質問でした。

「難しい質問だなあ…。山口には大きな電波望遠鏡のアンテナがあるんだ。地震が起きるとアンテナの位置が微妙に狂って正確な観測ができなくなるから、地震が少ないところを選んだって聞いたことがあるけど」「本当ですか? 山口ですね」「いや、地震保険の値段を調べてみたら。地震が起きる確率が低いところは安いはずだから」「地震保険ですか。調べてみます」…

Lさんはいずれ日本に住みたいのですが、地震のない国出身ですから、地震は怖いです。先々週の私の話を聞いて、夢が潰えそうになっています。日本はどこで大地震が発生してもおかしくないと言っちゃいましたから。

その後、話が弾んで、フォッサマグナや活断層と原発についてまで、30分ぐらい話し込んでしまいました。どれもLさんにとってはネガティブな話ばかりでしたが…。

先々週のクイズにはグーグル先生かチャット君にお伺いを立てたと思われる答えも散見されましたが、授業をきっかけに関心を深めた学生もいるとわかると、やっぱりうれしいものです。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

束になってかかってこられてます

11月14日(金)

昨日の中間テストの採点が、一向にはかどっておりません。火曜日に行った選択授業小論文の採点も、半分ほど残っています。計画では昨日までで小論文の採点は終わっているはずだったんですがねえ。机の上にはテストの束が4つ、小論文の原稿用紙が20枚ほど、デスクトップの中には会話テストの録画が1クラス分、採点を待っています。

私の場合、自分で教材を作らねばならない授業が多く、そちらを優先せざるを得ないため、中間テストの採点を先送りにしているという図式です。それでも、レベル1のクラスの採点は、すぐに手を付けないと各方面にご迷惑をおかけしかねませんから、何とかしたいと思っています。

さらに、来週月曜日にはレベル1の漢字テストがあり、宿題プリントを回収することになっています。レベル1は、勉強(授業)内容は難しくないのですが、細かいところまで目配りをしておかないと、変な癖がついてしまわないとも限りません。

それから、受験シーズンですから、その関係の面接練習や志望理由書のチェックや進路相談などといった仕事が飛び込んできます。こちらへいらっしゃった学校さんのお話もしっかりお聞きして、有益な情報へと昇華させて、KCPの学生が他校の受験生との競り合いに勝てるようにしていきます。

そんなこんなで、やること満載のまま、週末を迎えてしまいました。来週いっぱいぐらいまで、授業やら採点やらの締め切りをかろうじてかわす綱渡りの日々が続きそうです。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ