Monthly Archives: 12月 2022

穏やかな年の瀬

12月27日(火)

ほぼ1日中、パソコンの前に座って、養成講座の資料作りをしました。昨日のうちに大掃除を済ませてしまいましたから、比較的穏やかな仕事納めの日となりました。でも、ずっとパソコンの画面を見ていたせいでドライアイがひどくなり、朝から何回目薬を差したかわかりません。まぶたを閉じたり開けたりするたびに、バリバリっと音がしそうな気がします。

パソコン仕事以外としては、T大学の指定校推薦の学生としてSさんを選びましたから、それをSさんに伝えました。残念ながら、無条件というわけにはいきません。Sさんの志望理由は素晴らしいのですが、それを理解できるのは日本語学校の先生だけだろうという状況です。話す力が、志望理由に追い付いていません。ですから、年が明けたら特訓を受けてもらわなければなりません。指定校推薦入試とは、KCPの旗竿を背中に差して試験に臨むようなものです。Sさんの話し方が下手だということは、T大学の先生方にKCPの発話教育がなっとらんと思われてしまうことにほかなりません。それは困りますから、試験日までにどうにかしてもらいます。

年末に、何人かの卒業生や在校生の方からお歳暮(?)、クリスマスプレゼント(?)をいただきました。感謝の気持ちを贈り物に込めてくださったことは、非常にうれしく思います。教職員を代表して、御礼の言葉を申し上げます。ありがとうございました。ことに、10年以上も前の卒業生Lさんが、K大学を卒業して日本で活躍していることは、古い教職員間で大いに盛り上がりました。秀才肌の学生ではありませんでしたが、努力を積み重ねて就職先では屋台骨を支える人材となっているのでしょう。そんな楽しい想像を掻き立てさせてくれました。

さて、私は、年末年始は関西です。みなさん、よいお年をお迎えください。

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年末大掃除

12月26日(月)

今年の仕事納めは明日ですが、学校内の大掃除は1日早く済ませました。昨日は自分のうちの大掃除をしましたから、2日連続の大掃除となりました。でも、先週の土曜日に紙ごみの年内最終回収があり、それに合わせて机やら棚やらひっかきまわしましたから、じわじわと大掃除をしていたと言えないこともありません。

大掃除では、私はいつも給湯室担当です。給湯室と言えば、まず、シンクの排水口の掃除ですが、こちらは、先月、ゴミ受けにゴミがたまりすぎで水が流れにくくなってしまいましたから、掃除しているのです。そのため、ゴミ受けを塩素消毒する程度で済みました。次は、湯沸かしポットの湯あか取りが控えています。ポットにクエン酸を入れてお湯を沸かしてそのお湯を捨てると、ほのかにクエン酸のさわやかな香りがしました。そのお湯を捨てたシンクには、クエン酸の結晶が析出していました。粉っぽいクエン酸を加えたのに、シンクに現れたのは針状結晶と言ってもいいものでした。もちろん、冷蔵庫や食器棚の汚れも落としました。

それから、職員室内のこまごまとした文房具類の整理をしました。さび付いていて絶対に切れそうもないかったナイフの刃を交換したり、引き出し中に散らばっていた輪ゴムをひとまとめにしたり、使いっぱなしになっていた二穴パンチのごみを捨てたりしました。1年間誰も何もしなかったとは思いませんが、年に一度くらいはこういうことをしないと、引き出しの中がとんでもないことになってしまうでしょう。

今しがた、湯沸かしポットのお湯が沸きました。お毒見をしました。クエン酸の味はしませんでした。

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寒いですね

12月24日(土)

今朝の東京の最低気温は氷点下0.1度で、今シーズン初めての冬日を記録しました。しかし、全国に目を向けると、北日本のみならず、高知や徳島まで10cm以上の積雪だというではありませんか。名古屋や博多の雪はさほど珍しくありませんが、坂本龍馬や阿波踊りの踊り手が真っ白になっているのは、異様な雰囲気です。

確かに東京も寒いですが、こんな程度で文句を垂れていては、大雪で往生している地方の皆さんに申し訳ありません。しかも、この寒波も、地球温暖化の影響だというじゃありませんか。線状降水帯の雪バージョンのような気圧配置になってある特定の地域に雪が降り続き、その原因が温暖化ということで、何がどうつながっているのか、よくわかりません。

温暖化のために大雪が降っているとすると、雪質はどうなのでしょう。パウダースノーではなく、水っぽい雪なのでしょうか。だとすると重い雪ですから、除雪にも時間や労力がかかりますし、建造物などへの被害も大規模になるでしょう。雪遊びなんかしたら、水浴びしたみたいになってしまうかもしれません。

今朝の職員室も寒かったですね。鉄筋コンクリートがキンキンに冷えている感じでした。思わず、エアコンの温度設定を最高にしてしまいました。それでも指先が冷えますから、マグカップにお湯を入れて、それを握りながら仕事をしています。来週からは、カイロを持ってこようかな。でも、ずいぶん長い間使っていませんから、もう温まらないかもしれませんが…。

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学期休み中の学生

12月23日(金)

朝、学校のパソコンのメールを見ると、Yさんからのメールが届いていました。大学出願に必要なKCPの書類を申し込むのを忘れてしまったとのことでしたから、午前中に学校へ来いと返信しました。Yさんは11時ごろ来ました。出願締め切りは1月7日だそうですから、十分に間に合います。今すぐほしいなんて言ったら殴り倒してやろうかと思っていましたが、暴力教師にならずに済みました。

書類を見直して自分で気づくあたり、さすが上級と言ってやりたいところです。でも、募集要項をもらったら、まず、KCPの書類が必要かどうか確かめろとも指導していますから、やっぱり減点かな。うかうかして年末年始休みに突入していたら、出願をあきらめなければならなかったかもしれません。

Yさんが書類の申し込みをしているころ、期末テストの追試を行っていました。TさんとSさんは受験のため、一昨日は期末テストを受けられませんでした。Tさんは前もって受験票を見せてくれましたが、Sさんは断りもなしに受験に行っていました。期末の前日も前々日も欠席でしたから電話を掛けたところ、受験行脚の最中だということがわかりました。追試の時に受験票を持って来いと言っておいたのに、追試の後に職員室に寄った時、Sさんは受験票など、受験したことを証明する書類は持って来ていませんでした。

うちへ帰ったら受験票の写真を送れと伝えましたが、まだ何も届いていません。受験の事実が確認できたら欠席した日も出席扱いにできますが、このままでは欠席のままです。出席率がよくないSさんにとって、期末直前の一連の欠席は大きな意味を持ちます。そういうことも説明したのに、何の反応もありません。下手をすると、大学に受かってもビザが出ないかも…。

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テスト採点

12月22日(木)

期末テストの採点をしました。読解は、テストの直前の授業で復習としてやった問題から出しました。さすがに手も足も出ない学生はいませんでしたが、90点以上もそんなに多くはありませんでした。授業でやったと言っても、「12行目の“それ”って何?」「お年寄りが買い物に行くこと」「買い物って、何を買うの?」「食料品や日用品」「それだけ?」「あ、衣類も」…などという授業中のやりとりを文章で表現しなければ点はもらえません。こうなると、成績下位グループは苦しいですねえ。解答欄は1行しかないのに、安全を見込んで本文を長々と抜き出し、やたらと小さい字でびっちり書いてくる学生もいます。老眼の私に読めない答えは、もちろん×。逆に、いつも大きい字を書くGさんは、1行に10字ぐらいしか書ないので、読みやすいけど説明不足で減点。

そんなわけですから、授業でやった問題を出しても、実力の差は答案用紙の上に歴然と現れます。教科書に線を引いてわかったつもりになっている学生は、じわじわと点を引かれ、いつの間にかやっと合格点レベルまで落ちてしまいます。教師の話や板書をノートに取っているNさんなどは、いい成績でしたね。

昨日の期末テストは、最下位のLさんでもどうにか合格点の60点を取りました。でも、合格点が取れたからそれでよしとしないで、クラス平均の80点よりはだいぶ悪いと思って、答えの書き表し方を勉強してほしいです。大学院や大学に進学したら、参考文献から読み取ったことをきちんと整理することが、研究や学問を進めていくうえで非常に重要なのです。

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敵は漢字だ

12月21日(水)

Pさんは理科系の大学進学を考えていました。受験講座も取りました。しかし、勉強したのは夏まででした。ネックになったのは、漢字でした。漢字の読み書きがどうしてもできませんでした。理科系の受験講座の資料なんて、図表や数式、反応式が多くを占め、大した量の漢字があるわけではありませんが、Pさんには大きな負担になっていたようです。

話す・聞くにかけては、Pさんはクラスでもトップを争っています。いや、2つぐらい上のクラスに入っても、決して負けることはないでしょう。本人も自信を持っているようで、それが態度に現れます。目を合わせて堂々とやり取りをします。教科書を読ませたときのおどおどした顔つきと、とても同一人物とは思えません。

そのPさんのクラスに、期末テストの試験監督として入りました。最初は作文。課題文はグラフが多いので、何とかなるでしょう。…などと思いながら教室内をうろちょろしていたら、Pさんが真っ先に提出しました。原稿用紙に名前が書いてあることを確認し、既定の文字数以上になっているか見ようとしたら、原稿用紙の大半がひらがなではありませんか。「日本」などという表記が、ちらっと目に入った程度でした。

次は読解、文法。やはり、一番に提出ですが、今度は空欄が目立ちます。読解の問題テキストは授業でがっちりやっているんですが、ふりがながないと皆目わからないようでした。文法も同様で、選択肢の問題はどうにかなったものの、短文作成などは沈没でした。

最後の漢字・語彙は言うに及ばず。明らかに勉強していません。捨てていると言ったほうがより正確です。

入学試験においてもきっとこんな感じでしょう。EJUは漢字が読めずに問題が理解できず、大学の独自試験に小論文などあろうものならお手上げに違いありません。面接の評価が素晴らしかったとしても、合格には至らないのではないかと思います。

漢字さえ勉強すればと思いますが、その漢字の勉強がPさんにとっては苦痛以外の何物でもないのです。こういう学生に勉強させてくれる大学、ないのでしょうか。

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大差

12月20日(火)

K先生がお休みだったので、最上級クラスの代講をしました。最上級クラスともなれば、長期間在籍している学生も多いですし、学校内のイベントでもけっこう活躍していますから、有名人が多いです。私の場合は、それに加えて受験講座で接点がある学生もいます。そんなわけで、コンスタントに授業に入っていたわけではありませんが、ほとんど何となく顔と名前が一致する学生たちでした。

さすがに最上級クラスで、誰を指名しても読解のテキストなどがスラスラ読めます。「声高」とか「喧騒」とか、特殊な読み方をする単語や見慣れない漢語は読み間違えたり立ち止まったりしましたが、それ以外はつっかえることはありませんでした。そうそう、意外に「種明かし」が読めず、意味もわかりませんでした。

私が担当している、上級でも下の方のクラス(の下の方の学生)は、うっかりするとカタカナ語でも間違えて読みますから、それとは大違いです。おそらく、文章を見ている範囲が違うのでしょう。私のクラスの学生は、極論すれば、テキストの文字を1つずつ拾い読みしています。だから、どこが単語の切れ目、意味の切れ目なのかわからずに読んでいます。それに対し、最上級クラスの学生は、少なくとも内容把握をしながら読んでいます。だから、次にどんな単語が現れるかある程度は予測がつき、その予測範囲内の単語が出てきたら、スムーズに読めるというわけです。

この両方のクラスの学生は何が違うのかと言えば、理解語彙の数です。読んでわかる、聞いてわかる単語の数の差が、読み方のスムーズさの差になって現れ、同時に読解力の差にもなっています。文章も、2~3行まとめて目を走らせていることでしょう。こうなると、私なんかの読み方とあまり変わりません。

どうやって鍛えれば、私のクラスの学生たちは、最上級クラスの学生たちに近づくのでしょうか。

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せつない(?)恋心

12月19日(月)

Jさんはアメリカから来たレベル1の学生です。

「クリスマスは国へ帰りますか」「いいえ、帰りません」

「じゃ、クリスマスは寂しいですね。1人でメリークリスマスですか」「いいえ、彼女と一緒です」

「あ、いいですねえ。楽しいクリスマスですね」「はい」

と、笑顔を見せました。

Jさんの彼女もレベル1で、英語が話せないそうです。「Jさんも彼女も日本語を話しますか」と聞くと「はい」という答えが返ってきました。2人の共通言語は日本語ですから、そうなっても不思議はありません。

でも、今は多種多様な、私など想像もつかないようなアプリが出回っていますから、そういうのをフル活用して意思疎通を図っているのかもしれません。Jさんがスマホに英語で気持ちを打ち込むと、それを彼女の国の言葉に翻訳して、メールか何かで送り、それを読んだ彼女がその逆をしてJさんに思いを伝える――というようなやり取りを繰り返すのでしょうか。残念ながら、Jさんの日本語力ではどんな“会話”を交わしているのかわかりませんでした。

上級クラスの語彙の授業で“せつない”を扱いました。辞書の説明をそのまま伝えても、例文を考えて状況や心情を想像させても、“せつない”の根幹をなす部分を伝えるのは難しいです。Jさんたちはどうなのでしょう。自分の言葉で愛を語っても通じないことにもどかしさやせつなさを感じているのでしょうか。見つめあうだけで心が満たされるのでしょうか。それともアプリか何かを介した語らいで幸せを感じているのでしょうか。

いずれにしても、2人で楽しく幸せなクリスマスが過ごせるよう祈るばかりです。

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クリスマスは家族と

12月17日(土)

学期末が近づくと、アメリカの大学のプログラムでKCPに留学している学生の会話テストがあります。私も毎学期試験官として数名の学生のお相手をします。昨日はMさんとJさんのテストを受け持ちました。

私の場合、ごく普通の会話をしながら学生の力を見ていきます。発音やイントネーションはもちろんのこと、こちらの言葉をきちんと聞き取って理解してしかるべき応答ができるか、今までに習った文法や単語をどれだけ正確に適切に使えるか、そして何より、会話が弾んでいるかが大事な点です。

昨日の2人に共通していたことは、21日の期末テストが終わったらすぐ帰国して、クリスマスは家族と一緒に迎えるという点です。クリスマスはどうするかと聞いたら、喜々としてクリスマスの計画を話してくれました。Jさんは、日本で買いそろえた家族へのクリスマスプレゼントまで詳しく教えてくれました。

もちろん、2人とも1月11日の始業日までに日本へ戻ってきます。去年は、そんなに簡単に国の出入りができませんでした。日本にいる学生たちは、オンラインクリスマスが精一杯でした。今年は緩和のおかげで、航空券はきっと高いのでしょうが、家族とおいしい料理を食べたり、プレゼントの交換をしたりすることができるようになりました。もちろん、感染状況に関しては油断できませんが、だいぶ以前の状態に戻ってきたのではないかと感じさせられました。

2人とも、クリスマスのおかげで会話が弾み、テストは高評価です。特にMさんはミスがほとんどありませんでした。Mさんの町もJさんの町もホワイトクリスマスのようですから、美しい景色とやさしい家族に癒されてきてください。

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受かっても頭が痛い

12月16日(金)

RさんはT大学の大学院に受かりました。はっきり言って、日本語がよくできる学生ではありませんから、担当教師一同、合格を危ぶんでいました。もし落ちていたら、地獄の日々を歩む羽目に陥っていたかもしれません。きっと、研究計画書が素晴らしかったのでしょう。

さて、そのRさんのクラスでディクテーションをしましたが、Rさんはペンが動きません。他の学生は、間違いはあっても何か書いていましたが、Rさんは番号しか書けませんでした。続いて内容把握の聴解問題をしましたが、こちらもさっぱりでした。

T大学の大学院は、決していい加減な大学院ではありません。きちんとした学生選抜をしているはずです。でも、Rさんの聴解のできなさ加減を見ていると、進学後、授業についていけるだろうか、教授をはじめ研究室の人たちとディスカッションができるのだろうかと、心配にならずにはいられません。

今までのRさんを見ると、選択肢の問題はどうにか点を取ります。しかし、聞いたことを文字にするとか読んだ内容を要約するとかとなると、神通力が薄れてしまいます。だから、大学院でやっていけるだろうかと懸念を抱いてしまうのです。大学院で必要な日本語力は、どう考えても4択問題の解き方ではありませんから。

そうはいっても、合格した限りは最低2年間、講義を聞いたりレポートを書いたり、周りの方たちと議論を戦わせたり、研究計画によってはフィールドワークをしたりしていきます。卒業式まで残り3か月ほどですが、少しでもそういった研究生活にたえられる日本語力をつけていってもらいたいです。

落ちたらもちろん、受かっても心配、因果な商売です。

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