Category Archives: 学生

無反応

5月10日(月)

「じゃ、Bさん」と指名しましたが、反応がありません。10分ほど前に出席を取った時には「はい」という返事があったのに…。ずっと待っていても時間の無駄ですから、別の学生に答えてもらいました。

それから20分ほど後に、もう一度Bさんを指名しました。しかし、「……」でした。さらに30分後にまた指しましたが、zoomの画面上にはいるのに、答えが返ってきませんでした。

授業後、Bさんを残して話を聞きました。と言っても、一番下のレベルで、やっと形容詞を勉強したところですから、話せる内容はたかが知れています。Bさんは「マイクが悪いです」(形容詞の過去名は未習)と、自分の行動を正当化しようとしました。「どうしてチャットに書きませんでしたか」と突っ込んでみても、Bさんはそれに対して答えられる日本語を持ち合わせていませんでした。「明日は大丈夫ですね」と、引き下がるほかありませんでした。

Bさんは、自分ではできると思っていますが、実際にはそれほどではありません。宿題などを提出させると、かなり穴があるのがわかります。何となくはわかっているのですが、正確には身に付いていないのです。多少いい加減でもコミュニケーションが取れれば救いようはありますが、上述のようにそういうわけでもありません。ここを打破しない限り進級もおぼつかないのですが、本人は全く感じていません。

こういう学生は、オンラインに限らずいつでもどこにもいます。こういう学生は、進級できなかった場合、非常に駄々をこねます。オンラインだと、そのせいにしてさらに話がこじれるのではないかという気がしています。そうならないように、今から手を打っていかなければなりません。

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EJUで横綱相撲

5月7日(金)

EJUまで1か月半ほど、受験講座理科では過去問を使った模擬テストをしました。始める前にマークシート方式の解答用紙の書き方から説明しました。みんな、今回が初めてのEJUですから、こちらにとっては常識でも、学生たちには新発見なのです。数年前に、この説明を怠ったために、理科2科目のうち1科目が白紙扱いにされてしまった学生がいました。そういう悲劇を繰り返さないために、最初にがっちりしつけるのです。

2科目を80分で解くには、わからない問題を考え続けるわけにはいきません。解ける問題を確実に正解に結び付け、点数を増やしていくことをまず考えるべきです。また、1番から順番に解いていく必要はありません。おしまいの方に易しい問題や得意分野の問題があったら、それを得点化しておいた方がよい結果につながることもあるでしょう。

実際にやってみると、思ったより難しかったようです。80分をフルに使っても解けなかったり計算が終わらなかったりしていました。あれほど注意したのに全然違うところにマークした学生もいました。これで、時間配分も実感できたでしょうし、ミスも今のうちにしておけば本番で同じことはしないでしょう。そのための模擬テストです。

理科で満点を目指すOさんは、6問間違えたとか。満点を取るには、点数を増やす努力だけではいけません。ミスを減らす、なくすという発想も必要です。勘違いとか度忘れとか、そういうことも許されません。どんな攻められ方をされてもすべて受けて立ち、最後には勝つという、横綱相撲みたいな取り組みが求められます。容易なことではありません。そういうことを指摘すると、そこまでの覚悟はしていなかったようです。これまた、あと1か月余りで鍛え直さねばなりません。

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鎧兜

4月30日(金)

去年は全然何もできなかった学校行事が、やっと復活しました。端午の節句です。毎年連休の直前に行っていましたが、去年はオンラインで細々と触れた程度でした。でも、今年は2年ぶりに五月人形を飾り、日本の伝統文化の一端を学ぶとともに、ちょっとしたゲームも楽しみました。

私たちにとっては、五月人形は珍しくも何ともありませんが、学生たちはしげしげと眺め、写真を撮っていました。教室で一通り説明を受けて来ても、いや、受けて来たからこそ、興味津々だったのでしょう。鎧兜姿の大将、桃太郎、菖蒲の花など、飾ってあるものすべてにスマホを向けていました。

ゲームは、桃太郎にちなんで鬼退治です。軍手を丸めて作ったボールを、厚紙で作った鬼に向かって投げ、鬼が倒れたら点がもらえるというものです。単純なゲームでしたが、思いのほか盛り上がりました。クラスメートの投げるボールにまさしく一喜一憂で、久しぶりに学生の歓声を聞きました。

おととしまでは、クラスみんなで柏餅を食べましたが、今年はもちろん中止。6階の講堂の半分で五月人形を見て、もう半分で柏餅を食べながら歓談という流れでしたが、幸いにも(?)学生数が減ったため、クラス完全入れ替え制でも時間にゆとりがありました。

その代わり忙しかったのがO先生たちで、この行事を海外でオンライン授業を受けている学生たちに中継するために大いに汗を流していました。モニターで見る限り、オンラインの学生たちも画面を通して端午の節句を味わっていたようです。

この先感染拡大がどうなるか見通せませんが、こうして少しずつ平常を取り戻していきたいです。

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目指せ花丸

4月28日(水)

私が担当している初級クラスは、「いっしょにテニスをしませんか」「ええ、しましょう」などという、「~ませんか」「~ましょう」がようやく終わったところです。そこで、これを使った会話スクリプトを作る宿題を出しました。この文法項目の理解確認もそうですですが、表記の正確さや会話を広げる力も見ようと思いました。

提出された作品を見ると、学期が始まって3週間足らずなのに、ずいぶん差がついています。国で勉強した貯金が利いている人もいるでしょうが、このモダリティー表現あたりで底を尽く例もよくあります。ですから、この会話スクリプトの出来は、学生の地力を表しているとも言えます。

Bさんは、私が板書した見本の会話をほぼそのまま書いてきました。呼びかけの名前を変えたのが、Bさんの良心でしょう。表記も不正確で、これからが心配です。また、消しゴムを使わずにぐしゃぐしゃと間違いを消してあるのも、いやな予感をさせられます。落ちていかないように引っ張らなければなりません。

Gさんは辞書で調べた難しい言葉を使おうとして自滅しました。場面を工夫しているのは褒めてあげてもいいですが、工夫することにばかり気持ちが向かってしまい、かえってわかりにくくなってしまいました。

一方、Jさんは、今までに習った文法と単語を上手に組み合わせてスクリプトを作り上げました。私の見本会話の要点をつかみ、それを応用してJさんのオリジナリティーを出しています。しかも、字がきれいです。花丸をあげてしまいました。Lさんも、無理なく「~ませんか」「~ましょう」を使っていました。

ここで浮かび上がった各学生の勉強の進み具合を参考にして、来週からの授業を考えていきます。

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これから

4月27日(火)

午前中は、初級の進学コースの授業をしました。本来の担当のO先生が日本語教師養成講座の講義をするため、代講のお鉢が回ってきたという次第です。ここのメンバーは、ごく一部が先学期2、3回入ったクラスの学生だったというだけで、ほとんどが初顔合わせです。でも、この学生たちが今年度来年度のKCPの屋台骨を支えるのかと思うと、じっくり観察したくもなります。

観察した結果は、う~ん、まだまだですねえ。鍛えがいがある、伸びしろがあると言えばその通りですが、先が長いこともまた事実です。読解も聴解も、問題作成者がにんまりしてしまうような引っ掛かり方をしてくれます。素直な一本道の問題しか理解できないとなると、大学入試もそうですが、日本で社会生活が送れるのか心配になってきます。だって、簡単にだまされちゃうんですよ。

それが終わって一息ついていたら、Zさんが物理の問題を持って来ました。先週の受験講座で配った問題がわからないと言います。Zさんの志望校を考えると、こちらもこれからバリバリ鍛えていかねばなりません。

その受験講座、来日できずに国で受講している学生がいます。そういう学生にも力を付けさせるべく、あれこれ工夫しています。孤独な戦いにならないようにというのもその一つです。私の目の前で聞いている学生たちを紹介したり、常に気にかけているという姿勢を示したりしています。

受験講座のあとは、新入生への大学進学のガイダンス授業。今までの学生の失敗談を語っているような気がしてきました。でも、同じ失敗は繰り返してほしくないですから、熱を込めてしまいます。

感染者数が増え続けています。まさか、今年も中止などということにはならないでしょうね。

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朝のご同業

4月26日(月)

最近は私が家を出る時間帯でも東の空が明るくなっています。街灯が消えるほどではありませんが、朝らしさが感じられます。今朝はちょっと冷え込んだようですが、駅までシャカシャカ歩いているうちに寒さは感じなくなりました。私が乗る一番電車は、いつもと変わらぬ顔ぶれが普段と同じ席を占め、何事もないかのような1日の始まりでした。

3度目の緊急事態宣言が発せられましたが、早朝の電車は先週までと変わることがありませんでした。私もごく当たり前に電車に乗っていたのですから、他のみなさんもリモートではどうにもならない仕事を抱えているのでしょう。ネットのニュースなどによると、緊急事態宣言が出た街は、どこも大して人出が減っていないようです。

KCPも去年の4月と今年の年初の緊急事態宣言の際はオンラインにしましたか、今回は、少なくとも今週は、このままいきます。登校しだすと、学生たちの方がオンラインじゃない方がいいという意見が強いのです。それは私たちのオンライン授業が拙いからかもしれませんが、やっぱり言葉の授業はオンラインより対面の方が、実感が伴うのでしょう。

そうは言っても、外出する人を7割減らさないと感染拡大は抑えられないとされています。それに背を向けるようで非常に心苦しいのですが、仕事の性格上やむを得ません。学生たちにしたって、万難を排して日本まで来たのですから、オンラインでは得られない手ごたえをつかみたいことでしょう。

朝の電車で乗り合わせている皆さんも、同様なのでしょうか。

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やりにくい

4月22日(木)

レベル1は、今、「行きます、来ます、帰ります」の、往来動詞とか移動動詞とか呼ばれる一群を扱っています。このうち、「行きます」は「学校へ行きます」「スーパーへ行きます」「沖縄へ行きます」など、いくらでも文も作れますし、オンラインで参加している学生たちも実感を伴う発話ができます。

しかし、オンラインの場合、「来ます」は、「学校へ来ます」「日本へ来ます」など、定番の文が全く役に立ちません。うちで勉強していますから、自分の国にいますから、身近な「来ます」がないのです。仮定の世界を作ってそこで「来ます」を使う練習も考えましたが、学生たちはそれこそやっと移動動詞程度のレベルですから、込み入った設定が理解できないおそれが強いです。

「帰ります」も同様で、国の自分のうちにいますから、「うちへ帰ります」「国へ帰ります」が使えません。zoomの背景をディズニーランドにして…などとも考えましたが、うまくいくかどうか全く自信がありませんでした。学生たちの母語を使ってもいいのならいくらでも手があるでしょうが、KCPは直接法を旨としていますし、何よりクラスは多国籍ですから、授業中に媒介言語は事実上使えません。

日本語の「来ます」「帰ります」の特殊性も関わっています。話者の現在地とか本拠地とかが意味に関わっていますから、オンラインだと商売しづらいのです。逃げと言えば実にその通りなのですが、学生たちが来日し、生の日本語に接した時点で、実地に意味を把握するのが最も確実な方法だと思います。

こういう点からも、早く収まってほしいのですが、「宣言」に向かってまっしぐらですよね。

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3Dを伝える

4月21日(水)

今学期の受験講座理科は、先学期以前に入学した学生は対面、今学期入学で来日できないでいる学生はオンラインと、2方式併用で進めています。先学期は全面オンラインでしたから、ある意味では楽でした。目の前にいる学生と、画面の向こうにいる学生と、差を付けずに教えていくのには、独特の難しさがあります。

まず、アクションで何か説明するときには、zoomの画面内に収まるように動きを抑えなければなりません。画面を見ている学生にもわかる動作が求められます。

「メタンは、炭素原子を中心に、こことこことこことここに水素原子があります」と、左手のこぶしで炭素原子を表し、右手のこぶしで水素原子の位置4か所を次々と示します。私の目の前で見ている学生は、炭素原子と水素原子の立体的な位置関係がこれでわかります。しかし、国でパソコンの中の私を見ている学生はどうなのでしょう。大画面のモニターだったとしても、立体感はどこまで伝わったかなあ。

それから、zoomでパワーポイントを画面共有して話を進めていても、こちらの学生には私の顔つきやらちょっとした体の動きやら、1枚1枚のスライドのプラスされた情報も伝わります。そんなことでオンライン参加の学生に差をつけてしまうことは不本意です。かといって、仏頂面で身じろぎもせずに授業をするのも不可能です。同じ教室に学生がいるのに、私がいすに腰掛けパソコンだけを見つめて授業を進めるというのも不自然です。

今のところ、対面の学生もオンラインの学生も満足そうな顔をしています。細心の注意を払いながら、ためになる授業を作っていきます。

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捲土重来期待

4月19日(月)

今学期、私が受け持っているクラスは、入国できずに国で勉強している学生たちのオンラインクラスです。ですから、テストもオンラインです。

オンラインのテストは、紙のテストと違って、コンピューターが自動採点してくれます。選択問題の採点は手間がほとんどゼロになりました。しかし、筆答問題はそうはいきません。

初級クラスでは、音と表記を一致させるため、漢字を使わせません。例えば、「何の」と漢字で書いてしまうと、その学生がちゃんと「なんの」と読んでいるかどうかわかりません。「なあの」「なの」などと発音していても、漢字表記だと、それが表面化しません。

紙の試験用紙に手書きだと、学生側も意識しますから、すべてかな書きします。しかし、オンラインだとキーボード入力ですから、そこまで注意が回らないことがよくあります。また、ついうっかり漢字変換してしまったり、コンピューターが気を利かせすぎて自動的に漢字表記になってしまったりなどするため、たとえ注意しても、漢字の答えが多くなってしまいます。

Mさんは、授業中活発に答えるし、反応もいいし、きっと成績もいいだろうと思っていましたが、漢字に引っかかって、大きく沈んでしまいました。XさんやBさんもそのタイプだと思います。提出時刻を見ると、みんな制限時間を大きく余して出しているんですね。「漢字は×」という注意書きも読まず、答案を見返すこともなく提出ボタンをクリックしてしまったのでしょう。

なんだか注意力テストになってしまったようですが、Mさんをはじめ、今回悪かったできうる組の学生たちは、次回のテストではきっと軌道修正してくるでしょう。それ以後が本当の実力が現れるテストでしょう。

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勝負時

4月16日(金)

金曜日は、先学期から受験講座を受けている学生の化学と物理です。先学期の受験講座理科はずっとオンライン授業でしたから、やっと初めて顔を合わせることができました。オンラインでは、お互いにマスクを取って素顔を見せ合っていましたが、同じ教室で空間を共用するとなると、人数が少なくてもマスク着用は必須です。

オンラインだと、1人1人の顔の映像は小さくても顔全体が見えました。しかし、対面となると顔の大半がマスクで覆われています。学生がわかったかどうかつかみにくいのではと危惧していましたが、よくわかりました。全身が見えますから、体全体から発せられる動揺やら納得やらが伝わってきました。

また、目は心の窓という通り、マスクの外に出ている目だけで学生の気持ちがかなりつかめました。その目を見ながら学生の興味の方向を捕らえて説明を補ったり飛ばしたりしましたから、先学期よりメリハリのある授業ができたんじゃないかと思います。もっとも、先学期より脱線が多くなりましたから、進度の方はわかりませんが…。

オンラインよりも学生への問いかけが増えました。しかし、私からの問いに答える学生の日本語がいただけません。理科系は、入試に口頭試問を設けている大学も多いですが、それにたえられるだけの日本語にするには、先が長い旅になりそうです。学生から質問も活発に出てきました。濃厚なやり取りができました。

せっかく順調な船出ができたのに、第4波の波音が近づいています。オンラインになるとしても、対面授業のうちに学生との間に強固な絆を築いておきたいです。来週、再来週ぐらいが勝負でしょうが。

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