Category Archives: 試験

メモ魔歓迎

11月16日(土)

中間テストの聴解を採点しました。すべて記号(番号)で答える形式でしたから、採点そのものは楽でした。できると思っていた学生は高得点を取り、授業中からダメっぽかった学生はせいぜいぎりぎり合格点で、結果はおおむね予想通りでした。

高得点の学生とできない赤点の答案用紙を比べると、メモの量が全然違いました。100点だったSさんも95点だったCさんも90点だったGさんも、みんな細かい字で聞き取った情報をメモしていました。80点以上だった学生は、ほとんどが、母国語であったとしても、メモ欄を大いに活用していました。

一方、最低点だったLさんをはじめ、不合格になった学生は、メモ欄がほぼ白紙でした。何も聞き取れなかったのかもしれません。Jさんは、授業中の様子を見る限り、満点に近い成績だろうと思っていたのですが、80点に届きませんでした。メモ欄は真っ白でした。Jさんもきちんとメモを取っていれば、高得点組に名を連ねたのではないでしょうか。

授業で聴解をするときは、メモを取るようにと口を酸っぱくして注意しています。しかし、ボーッと聞いているだけの学生は、どのクラスにも必ずいます。聴解問題には何を聞き取るのかという指示がありますが、それすら理解できず、だから何をメモすればいいかわからないという可能性もあります。そうなると、どこから指導していけばいいかわからなくなります。

とはいえ、中には聴解の天才がいます。数年前の学生Kさんは、ずっと集中して問題を聞き、決してメモを取りませんでした。そして、問題が終わるや否や、自分の答えの番号をマークしました。最後に採点すると、正答率は、悪くて9割でした。爪の垢をもらっておくべきでした。いや、聴解ですから、煎じて飲むなら耳の垢の方が効き目があるでしょうか。

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漢字難しい?

11月14日(木)

中級間テストの試験監督に入った上級クラスの最初の科目は作文でした。といっても、今学期の上級の作文は選択授業ですから、学生によって試験内容が異なります。20人のクラスに3種類の試験問題が混在していたため、最初はあわただしかったです。

そのあわただしさが落ち着いた後も、昨今はスマホ中毒の学生が増えていますから、試験時間が終わるまで教室中を油断なく見回らなければなりません。悪気がなくても、手が無意識のうちにスマホに伸びているということがあるのです。机の上に右手しか出していない怪しい学生が1人いましたが、近づいてみると、左手は太ももと椅子の間に挟み込んでいました。指先が冷たかったのでしょうか。

Kさんの横を通過した時、Kさんに呼び止められました。「先生、消しゴムを貸してください」とねだられました。「消しゴムも持ってこないで試験を受けるとは何事だ」と説教したいところですが、試験中ですから、「揚げます」と言って、黙って消しゴムを手渡しました。こういうことも予期して、試験監督に入るときは、消しゴムを数個持って行きます。それが役に立ちました。“備えあれば憂いなし”というのとはちょっと違う感じがしますが、ペンケースに忍ばせておいた消しゴムがKさんの元へと巣立っていきました。

せっかく消しゴムをあげたのに、その後のKさんの答案は空欄が目立ちました。最後の科目、漢字・語彙に至っては、試験用紙の裏側が真っ白でした。帰ろうとするKさんを呼び止めて「裏側は?」と聞くと、「全然わかりません」と言い残して、結局帰ってしまいました。

Kさんの、漢字・語彙以外の中間テストの答案用紙を見ると、気の利いたことを書いているではありませんか、ひらがなで。また、Kさんはこなれた日本語を話します。でも、漢字がここまで書けない読めないとなると、進学にかなり分厚い暗雲が垂れ込めていると言わざるを得ません。

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野分のまたの日

11月11日(月)

朝、教室に入ると、Yさんの姿がありません。Yさんは昨日EJUを受けているはずです。若干不吉な予感がしました。同じくEJUを受けたはずのGさんも9時にはいませんでしたが、そのうちこっそり教室に入ってきました。明るい表情で授業を受けていましたから、こちらはまあまあだったのでしょうか。

Yさんは、後半の授業が始まった直後に来ました。授業には普通どおりに参加していました。しかし、授業が終わってみんなが帰った後、「先生、もうダメです」と声をかけてきました。数学も理科もうまくいかなかったようです。でも、6月の点数が使える成績でしたから、それで勝負をかけることになるでしょう。

そこに加わってきたZさんも、数学で解けなかった問題があったという、あまり景気のよくない話をしてくれました。「理科はほぼ完璧だと思いますが、これでS大学に行けますか」「S大学は独自試験を重視するから、そっちの数学や理科ができれば可能性はあると思うよ」などという、進学相談もどきをしました。

職員室に戻り、メールをチェックすると、Bさんから志望校について相談したいというメールが来ていました。日本語プラスの授業後なら時間があると返信すると、すぐにそれでお願いしますと返事が来ました。

Bさんも、思ったほど点が取れないのではないかという心配をしていました。Bさんの志望学部は特殊ですから、出願できる大学が限られています。さらに成績が伸びなかったとなると、さらに可能性が狭まります。過去のデータを基に、最悪の場合、この辺の大学でどうかというアドバイスをしました。

うわさによると、理科系志望のWさんは、数学コース1を答えてしまったとのことです。これはもう絶望的です。幸いにも6月の成績が使えそうですから、最悪のパターンには陥らずに済みそうですが、Wさんはさぞかし気落ちしていることでしょう。今度会ったら慰めてあげることにします。

今シーズンの進学指導は、難問山積のようです。

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暗雲

10月22日(火)

先週の金曜日に行った中級クラスのテストを採点しました。明日が返却日ですから、もう先延ばしにすることはできません。覚悟を決めて採点を始めると、とんでもないことになっていました。

問題1は記号で答える穴埋め問題。最後の空欄に入りそうな言葉が2つありました。1つは記号Bであり、もう1つはFでした。多くの学生がBと答えましたが、正解はFでした。間違えた学生は、Bの言葉を見るや“これだ”と思ってBと書き、C以下は読まずに次の問題に進んでしまったのかもしれません。この問題、図らずして、ひっかけ問題になってしまったようです。

次は空欄を自分の言葉で埋める問題。こちらは接続の形がめちゃくちゃで点を落とした学生が多かったです。また、もうちょっと違った場面を思い浮かべてもらえたら正しい文が書けたのにという答えも目立ちました。学生たちの頭は意外と固いのでしょうかね。

最後の問題は統計資料を見てそれを説明する問題。資料の言わんとしているところを読み取り、それを文にします。まず、根本的にこの読み取りができない学生がいました。ただ単にグラフの数字を羅列しただけで、全く説明になっていませんでした。次に、読み取りはどうにかできたものの、それをうまく表現できないグループがあります。部分点をあげて少しでも救ってあげようとしましたが、救いきれませんでした。そして、読み取りも表現もできた学生たちです。こちらは採点していて気持ちがいいですね。

最後の組に大学や大学院に進学しようと考えている学生が集まっていれば理想的なのですが、残念な結果に終わってしまいました。このテストの成績もさることながら、こんなこともできないようでは、その学生たちの先行きに巨大な暗雲が垂れ込めてしまいます。今学期中にこの暗雲を吹き飛ばせるでしょうか。なんだか不安になってきました。

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1・3・5位

10月16日(水)

JPETは、JLPTに比べると知名度も低く、受験者数もはるかに小規模ですが、国際的な外国語学習評価基準であるCEFRにのっとって受験者の実力を判定してくれます。そのJPETの2024年上半期の成績優秀者上位5名のうち、3名をKCPの学生が占めました。その賞状と記念品が届いたので、午前の授業の終了間際に、その3名が在籍している最上級クラスの教室にお邪魔して、表彰しました。

3名とも、最上級クラスの中でもトップを争う学生ですから、そのぐらいの成績を挙げて当然と言えばその通りです。でも、小規模とはいえ受験者は100人や200人ではありませんから、その中での1位とか3位とか5位とか言えば、偏差値を出すとすると80や85まで行ってしまうのではないでしょうか。またCEFRでも最上級レベルに評価されますから、その辺を歩いているバカ高校生はもちろんのこと、普通の高校生をも上回る日本語力かもしれません。クラスの先生方も、そう思ってるに違いありません。

去年は1位と2位の学生を出しましたから、KCPは2年連続で最高位に近い成績の学生を輩出していることになります。今年のJPET受験者募集の際に、去年の話をして、「今年もぜひ上位を独占してもらいたい」と発破をかけました。3名は、その期待に見事に答えてくれました。非常にうれしく、また、誇らしいことです。

この3名に、日本語で太刀打ちできる留学生はほとんどいないと言っていいでしょう。ですから、自信をもって自分の目指す道を突き進んでいってもらいたいと思っています。

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経験者は強い

10月15日(火)

日本語プラスが始まりました。午後から、11月のEJUに向けた授業をしました。

まずは記述。初めて記述に挑戦する学生もいましたから、記述の全受験生平均は33点だから、最低でも35点は取れなどという目標点数と、文章構成を説明しました。制限時間30分で400~500字の文章を書くのですが、やはり経験者は早いですね。書き上げてあまりに暇そうにしていましたから、間違いがないかどうか、もう一度読み直せと指示を出したほどです。

次は理科。こちらも2科目で80分という制限時間内でどんどん答えていかなければなりません。各問は決して難しくないのですが、1問2分程度で答えを出さなければならないところに難しさがあります。5分かけても答えが出せなかったらとりあえず後回しにしろという指示を出して、問題を解かせました。60分ほどで初挑戦組の1名がギブアップしました。知識が足りなかったと言っていましたが、問題文の日本語の読解ができなかったというのが最大の要因ではないかと思います。

さて、記述を採点してみると、やはり上級の学生は50点に近い成績でした。中級になると、35点がやっとぐらい。初挑戦組は400字に達しないというか、結論に至らなかった学生もいました。来週は、そういうあたりをフィードバックして、書くスピードを上げるようにしていきます。

理科も、経験者組が圧勝でした。ケアレスミスを犯さなければ、本番でも高得点が期待できます。経験者組は「国立」と言っていますが、十分可能性があります。

本番まで1か月足らずの短期決戦です。こちらも油断なく身構えて行かねばなりません。

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前日の面接練習

10月11日(金)

Sさんは明日が入試の面接です。慎重な性格のSさんは、すでに何回も面接練習を重ねてきました。本番前日も、先学期の担任のA先生に面接練習をお願いしていました。

午後から11月のEJUに備えた授業があったのですが、午前中のクラス授業の終了後、「先生、明日、入試の面接なので、5時からA先生と面接練習をしますから、1時半からのEJUの授業は欠席します」と言ってきました。要するに、面接練習の準備をしたいからEJUの授業を休むということです。上述の「慎重」は、これぐらいなのです。普通じゃありません。

外はすっかり暗くなった6時近くになって、A先生に伴われたスーツ姿のSさんが職員室に現れました。明日の服装で面接練習をしたそうです。ここまで来ると、もう「頑張れ」というほかありません。技術的なアドバイスではなく、精神的なエールです。

最後の面接練習も、だいぶ熱が上がったようです。A先生によると、質問によっては話が止まらなくなって、A先生が止めに入ったそうです。最初の頃は、言葉が全然出て来なくて、こちらがSさんに言いたいことを話させて、それを面接の答えになるように作り上げたりしました。それを思えば、話が止まらなくなるなんて夢のような話です。大きく進歩したものです。

Sさんは、自分は日本語ができないと思って、志望校を決める前の4月期あたりから入試の面接を意識して、自分の考えを話す練習をしてきました。確かに私たちも手を貸しましたが、自分で上り詰めたようなものです。明日は今までの練習の成果を出し切って、ぜひとも合格をつかんでもらいたいです。

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採点

9月27日(金)

昨日の期末テストの読解を採点しました。一番熱心に授業に参加しているJさんが一番いい成績だったという、実にまっとうな結果となりました。授業中もスマホを握りしめている学生たちは、軒並み沈みました。教科書の文章に集中しなければならないのに、右手の指先にばかり神経が行ってしまっていたら、頭の中には何も残りませんよ。

全体的なことを言うと、学生たちは質問文をよく読んでいないんだなということがわかりました。“当時”とはいつのことですかと聞いているのに、“大学生の私”などと答えてしまった学生が1人や2人ではありませんでした。せめて“私が大学生の時”と答えてくれたら、部分点はあげられたのですが…。授業では“筆者が大学生だった時”と教えたような気がするんですが、耳よりも指先に精神を集中していたら、そんなことは覚えちゃいませんよね。

比較的よくできたのは、本文から言葉を選んでくる穴埋め問題でした。これだって、できない学生はとんでもないところから言葉を引っ張ってきたり、5文字分ぐらいのスペースしかない解答欄に無理やり本文1行を押し込もうとしたり(その1行の中のキーワードを答えてほしかった)と、やりたい放題をしてくれました。かなり好意的に採点しましたが、それでも点をあげられない答えがザクザク出てきました。

こんなふうに学生に対して愚痴をこぼしたくもなりますが、こちらにも改めるべき点がなかったかと反省もしています。各段落の、文章全体の肝をつかませるにはどうしたらいいか、これは永遠の課題です。また、Jさんの授業の受け方を、次の学期の学生たちにいかに伝えるか、そして実践してもらうかということもそうでしょう。

今度は、新学期までの期間が短いです。その間に態勢を立て直さねばなりません。

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年に1回に

9月21日(土)

次の学期はEJUがありますから、ちょっと遅くなってしまいましたが、今年6月の過去問を仕入れて理科3科目の模範解答を作っておかねばと思い、過去問を出版している凡人社のサイトを見たら、発売された形跡がありません。EJUを実施しているJASSOのページを見ると、2024年度から過去問は年1回の出版になったと出ているではありませんか。今度の11月の分と合わせて、来年3月に出版予定だと書いてありました。

6月のEJUは、出願者数が国内外計26,088人、受験者数は22,688人でした。このうち過去問を買う人はどのぐらいでしょう。国内受験者は大半が日本語学校生でしょうから、個人で買う人はそんなにたくさんいるとは思えません。こう考えると、EJU過去問の販売部数は2,000冊とかというレベルではないでしょうか。この部数だと赤字かもしれません。また、EJUの対策本や練習問題集もあまり出ていません。紀伊国屋で探しても、顔なじみの本しかありません。作っても慈善事業になってしまうのでしょうね。

JLPTは、今年の7月のデータがまだ発表されていませんから去年の12月のデータで言うと、N1の受験者が45,000人強、N2は67.000人強です。こちらは、EJUの数倍の受験者がいて、ビジネスパーソンが個人で受験することも十分考えられます。ですから、過去問も対策本も問題集も、EJUとは比べ物にならないくらい種類が豊富です。こちらは事業的にペイするのでしょう。

国は外国人留学生を増やそうとしています。しかし、足元がこれだと、その努力が実るかどうか怪しいのではないでしょうか。

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不合格

9月20日(金)

授業後、Sさんが先週のテストの再試を受けました。先週は残念ながら合格点には届きませんでしたから、もう一度よく勉強して再挑戦したというわけです。

このテストには、友達同士の会話のスクリプトを作るという問題がありました。この問題には、勉強した表現や語彙を使うことはもちろん、“友達同士の会話”らしい文末表現で答えてもらおうという出題意図がありました。授業でも練習したのですが、この問題で点が取れたか取れなかったかで、成績に大差がつきました。

この問題をほぼノーミスで答えられたJさんは、満点に近い成績で、クラスで一番でした。しかし、Jさんは例外で、多くの学生がこの問題で沈みました。配点が大きかったこともあり、少なからぬ学生がこの問題で失点を重ねたせいで不合格になりました。Sさんもその1人でした。

Sさんの答案は、先週よりはいい点でしたが、合格点にはわずかに届きませんでした。先週と同じく、会話のスクリプトを作る問題ができませんでした。Sさんはまじめな学生ですから、教科書に載っている事柄は確実に覚えます。しかし、会話の文末表現は今学期だけでなく、先学期も先々学期も、会話の時間に練習しているのですが、教科書に出ているわけではありませんから、Sさんはスルーしてしまったのでしょう。

そして、Sさんがテストの答えとして書いた会話スクリプトは、Sさんのしゃべり方そのものなのです。まるでSさんが答案用紙に乗り移って私に話しかけてきたかのようでした。今は、ろくな会話をしなくても生活できてしまいます。ですから、Sさんのように非常にぎこちない会話しかできなくても生活に不便を覚えないのです。

Sさん、あなたは努力を惜しまない学生ですから、進級させてあげたいです。でも、その努力の方向を考え直さないと、ごく近い将来、身動きが取れなくなってしまいますよ。

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