Category Archives: 試験

落ち着いた雰囲気

4月1日(土)

午前中、電気設備の定期点検のため停電でした。停電でもできる仕事、パソコンやコピー機などを使わない仕事ということで、昨年11月のEJU理科の模範解答を作りました。これなら紙と鉛筆でできます。

学期中は授業が最優先ですし、1月期はギリギリのところでの進路指導もあります。ですから、EJUの問題を解くための時間はなかなか作れませんでした。学期が終わったらすぐに新学期の準備ですから、やっぱり時間が取れません。停電でパソコン仕事ができないとなるで、出勤する教職員も少なく、だから鍵もありません。というわけで、停電のおかげで、やっとまとまった時間が取れたというわけなのです。

解いてみると、いくつかオヤッという感じの問題がありました。今までとは傾向の違う問題で、ちょっとした頭の体操になりました。聞いている事柄は同じなのですが、角度を変えて問うているので、新鮮に感じられました。毎回こういう問題がバンバン出てくると、解くにしても教えるにしても、甲斐が出てきます。

残念ながら、“問題のための問題”みたいな問題もありました。毎度のことですが、知識の有無を調べてどうするのだろうと思ってしまいます。また、厳密には成り立たないんじゃないかなという問題もありました。日本人の高校生が受ける共通テストで同じ問題が出たら、騒ぎになったかもしれません。

人が少ないので仕事がはかどりました。新学期は、6月18日のEJU本番に向けての理科の授業をしていきます。Hさん、Jさん、Pさん、バリバリ鍛えていきますよ。覚悟していてください。

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前途多難

3月22日(水)

上級クラスは、実力テストを行いました。今学期、主力メンバーが卒業で抜けてしまったので、来学期のクラス編成の参考資料にします。

問題は、来学期上級クラスに新たに加わる予定の学生も受験しますから、やさしめのものから上級の中でも上位の学生の実力が判定できそうな問題まで、難易度の幅を広く取りました。また、文章力を見るために、簡単な作文問題も入れておきました。

Sさんは早々に問題を解き終え、スマホをいじり始めたので、スマホを指さして注意。すると、かばんの中から授業には全く無関係の本を取り出して読もうとしたので、「あなたはテストの受け方を知らないんですか」と小声で注意。本はしまったものの、どこからか買い物のレシートを出して広げようとしたので、さらに注意。すると、「もう終わりました」と言うので、明らかに問題の指示とは違う答え方をしているところを「これはどうなんだ」と指すと、渋々答えを見直し始めました。

授業後、そのSさんの答案を採点すると、私が指したところは、結局問題の指示通りには答えられていませんでした。他の問題も、“できない学生ではない”という程度の出来でした。でも、Sさん自身は、おそらく、あんなのちょろいと思っているのでしょう。こんなあたりに、Sさんが今シーズンの受験が全滅だった原因があるように思えました。そこを改めない限り、Sさんが心の底から笑える日は来ないでしょう。

やはり結果が思わしくなかったKさんは、作文問題がまるっきりでした。Nさんは実力不足。受験を何となく先延ばしにしたJさんは、その気持ちがわかるような成績でした。

こうした学生たちをどう指導していけばいいのでしょうかね、これから1年…。

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戦いは続く

3月6日(月)

SさんがH大学を受けるための、KCPの書類を申請してきました。これから出願できる大学があるのかと驚きながら確認すると、試験日に書類を持っていけば受けさせてくれるそうです。しかし、H大学のページを見ても、そのようなことは書いてありませんでした。出願は、先月のうちに締め切られています。

考えられることは、H大学は受験生が集まっていないということです。留学生の募集にここまで躍起になっているということは、きっと日本人の募集もうまくいっていないのでしょう。ネットの情報によると、今年は多くの私大が受験生を減らしたそうですから、H大学が学生募集で苦戦していたとしても不思議なことではありません。

Sさんは、いわゆる一流大学、有名大学を受験し続けて、敗れ去ってきました。受験勉強のためと称して学校をよく休んだり、出てきても教師の目を盗んで問題集をやったりしていました。EJUの点数だけならどこかの大学に受かってもおかしくないのですが、結果を見る限り、EJU以外の評価が足を引っ張ったようです。

Sさんが実力だと信じていた力は、砂上の楼閣だったのです。最後の頼みの綱だったN大学では、受験生が集中したせいか、かなりハードな面接試験を課せられたらしく、あえなく沈んでしまいました。そういう訓練をしてきませんでしたから、当然の結果でもあります。

N大学の入試の直前には面接練習をしました。しかし、Sさんの答えには“一流・有名大学に落ちたから次善・三善の策としてとりあえずN大学に入っておく”というにおいがプンプンしました。4年間N大学に浸りきるんだという心意気が感じられませんでした。

さて、学生募集に困っていると思われるH大学は、Sさんをどう評価するでしょう。Sさんには、上述のように、出席率が悪いというハンデがあります。今週金曜日は卒業式ですが、Sさんの背水の陣は、まだまだ続きそうです。心休まる日は、しばらく来ません。

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最後の試験

2月24日(金)

9字7分前ぐらいに6階の試験会場に入ると、3名の学生が談笑しているだけでした。20名余りの学生がこの教室で卒業認定試験を受けることになっているのですが、どうしたのでしょう。定期試験の日は早めに登校して教室で勉強する学生が多いものなのですが、自信たっぷりなのでしょうか、それとも「卒業」をあきらめてしまったのでしょうか。

…などと気をもんでるうちに学生が集まりだし、9時3分過ぎぐらいには欠席2名となりました。卒業認定試験は学生にとってKCPで受ける最後の試験なのですが、始業時刻直前に駆け込むという日常が繰り返されました。

KCPは、卒業認定試験に合格しないと、卒業式でもらう証書が「卒業」証書ではなく、「修了」証書になります。修了証書になったところで大学合格が取り消されるわけではありませんが、送り出す側としては有終の美を飾ってほしいと思っています。この学校で最後まで全力で日本語を勉強したという証が、卒業証書なのですから。

欠席した2名のうちの1名、Kさんは、最近授業に対するやる気が感じられず、認定試験は逃げるんじゃないかなと思っていたら、案の定でした。お昼過ぎに、「体調不良で欠席しました」というメールが届きました。完全な無断欠席でなかったことで良しとしなければならないでしょう。

もちろん、試験の成績も吟味します。Tさん、Dさん、Wさん、Sさん、Rさんあたりはきちんと勉強して受けた形跡があります。Yさんは、苦手科目には手を付けなかったのかな。どの科目も早々に提出したJさんは、他の学生が大苦戦した会話の問題でほぼ満点でしたが、ほかの科目は散々でした。

上級担当教師は卒業認定試験が終わると一山越えた感じになりますが、まだ合格が決まっていない学生への指導が待っています。Gさん、Lさん、あんたたちが片付かない限り、私に安らぎの日は来ません。頑張るだけでは意味がありません。結果を出してください。

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始動

2月18日(土)

この週末や来月に入ってから受験する学生がいる一方で、今週の月曜日から6月のEJUの出願が始まっています。2024年度の入試が動き始めました。

受験講座を受けている学生たちは意識高い系ですから、6月に向けて準備もしていますし、だからこそ、心配もしています。6月の成績を使って出願して、早々とどこかに合格しておけと発破をかけていますから。

去年の4月に入学したときは何が何でも東大に入る、東大以外は大学じゃないとまで言っていたPさんは、穏やかな表情でEJUの目標点を語っています。自分の実力を冷静に見極められるようになり、自分の実力の相場を知り、それを少しでも高めるにはどうしたらいいかと考えられるようになりました。大人になったというのか、人間的に丸くなったというのか、この1年で大きく変わりました。20歳前の1年は“長い”と感じさせられます。Pさん自身も自分の成長を感じていて、1年前の話をすると恥ずかしがります。

現在一番危ないのは、昨年10月に入学した初級の学生たちです。「6月はまだ日本語が下手ですから、EJUは受けません」と言っている学生が少なくないのですが、それが困るのです。たとえ低くてもEJUの点数がないと出願すらできない大学が結構あります。そういう大学の受験のチャンスを、自らの手で摘み取ってしまうわけですから。中には後期とか3期とか言って、11月の成績でも出願できる入試制度を設けている大学もあります。でも、そういう大学は早い入試ほど入りやすいのです。6月に受けたという実績が必要なのです。

しかし、これがなかなか伝わらないんですよね。毎年、6月を受けずに後悔する学生がいます。6月の受験をかたくなに拒否した学生に限って、「先生、どうしよう」ということになるのです。そんな学生は「自己責任」と突き放すのが今の日本のやり方なのでしょうが、結局世話を焼いてしまうんですよ、私たちは。

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突然の席替え

2月17日(金)

教室に入ると、いつも最前列の入り口近くに陣取っているFさんが、最後列の窓際の席にいるではありませんか。対角線の視点から終点に動いた形です。Fさんは昨日が入学試験でした。面白くない結果になってしまったのでしょうか。マスクの外に出ている眼だけでは、表情が十分に読み取れません。

授業を始める準備をしていると、Rさんが来ました。Rさんは、今まで毎日、今Fさんがいる席に座っていました。自分の指定席に向かって踏み出そうとしましたが、Fさんの姿を認め、窓際の反対側に向かいました。すると、いつもその席だったSさんが…という具合に、次々と玉突きが起こり、今までとはまるっきり違う席順となりました。雰囲気もガラッと変わりました。

入試がかかわっていなければ、授業の最初の緊張をほぐす話題としてFさんに席を変えた理由を聞くところですが、さすがにそれはできません。どことなくぎこちない感じで授業を始めました。学生たちもFさんがおとといまでとは正反対の位置にいることに気づいていますが、誰もそれに触れません。仲のいいWさんも、気づかぬふりをしているようでした。

でも、指名すれば普通に答えるし、わからないことは質問するし、Fさんは落ち込んでいるふうでも受かれているふうでもありませんでした。10:30の休憩時間になると、大半の学生がラウンジかコンビニへ行きました。教室に残ったFさんに、少しこわごわと、昨日の試験はどうだったかと聞きました。

「小論文は時間内に書き終わりませんでした。面接で小論文の内容について聞かれましたから、そこで詳しく話しました。ちょっと話が長くなりすぎたかもしれません。それ以外はうまく答えられたと思います」とのことでした。ショックに打ちひしがれているわけではないようで、少しホッとしました。「じゃあ、あとは合格を祈り続けるだけだね」と、明るく声を掛けました。そんなやり取りをしているうちに学生たちが戻ってきましたから、席を変えた理由は聞きそびれてしまいました。

Fさんの合格発表は来週の金曜日です。授業中に合格メールが届いてガッツポーズ…という図を思い描いています。

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苦すぎるチョコレート

2月14日(火)

世の中はバレンタインデーでしたが、KCPは中間テストでした。私が担当している上級クラスには漢字が弱い学生が多いですから、漢字を直接読んだり書いたりする問題は出さないことにしました。その代わり、漢語や漢字を使った慣用表現の意味を問う問題を出しました。例えば、「非常においしい」だったら「とてもおいしい」、「手を貸す」ときたら「手伝う」と答えるという具合です。上級ですから、もう少し難しくしました。こういう出題形式なら漢字が苦手でもどうにかしてくれるだろうと思いました。しかも、昨日の授業で、ダメ押しのつもりで、こういう問題を出すと、答え方まで説明しておきました。

午後、さっそく採点してみると、惨敗でした。部分点まであげたのに、大半の学生が半分以下の点数でした。これが足を引っ張り、赤点続出となってしまいました。出題者としては大失敗でした。

同時に、「漢字」という授業名にすると、学生は漢字しか見ないんだと痛感させられました。「語彙を増やす」というのはレベルの目標として挙げていたのですが、学生たちには伝わっていなかったんですね。意味を問うた語句は日常生活でも使われており、奇をてらったものではありません。学生たちが進学先で机を並べる日本人の学生はみんな知っていそうなものばかりです。

さて、明日からこの落とし前をつけなければなりません。教科書の新しいページに進むのではなく、今学期歩んできた道を振り返ることが先決のようです。文法テストも同様の傾向が見られますから。

学生から、特別苦いチョコレートを贈られた気分です。

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就職面接

2月13日(月)

KCPの卒業生のPさんは、現在ある団体の非常勤職員をしています。このたび、正職員への登用試験を受けることになり、その面接練習に付き合いました。Pさんは在学中からも、何事に対しても熱心で全力に取り組み、アルファベットの国出身ですが最上級クラスまで上り詰めました。Pさんがいることにより、そのクラスは非常に活気を帯びていました。

そんなPさんですから、就職先でも頭角を現すことは十分想像できました。周囲で働いている人たちからも、強い信頼感を得ているようです。それゆえ、こういうチャンスが巡ってくるのは当然のことであり、このチャンスを生かしてぜひワンランク上を目指してもらいたいと思っています。

大学入試の面接練習は数えきれないほどしてきましたが、就職の面接はとんと記憶にありません。以前の会社は、そういう面接をするほど偉くなる前に辞めてしまいましたから、各方面の面接に関するうわさからどんな質問がなされるのか想像してみました。私が面接官なら、私が経営者なら、こんなことを聞いてみたい、こんなことで評価したいという質問を、Pさんにぶつけてみました。

Pさんは、さすがに社会経験があるだけあって、大学受験の若造とはだいぶ違いました。落ち着いてもいましたし、何かを丸暗記というのではなく、自分の言葉で語ってもいました。私が指摘したのは、自分を売り込む力が弱いという、その一点でした。Pさんはいつの間にか日本人っぽく自己主張が穏やかになりすぎていました。

その点を指摘し、明日の面接に送り出しました。

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雪が降りました

2月10日(金)

「東京地方は大雪」と言われ、大雪警報まで出された割には、何事もなくという感じでした、新宿近辺は。ネットに出ている画像によると、練馬あたりでも真っ白ですね。O先生のご自宅のあたりは、雪だるまが作れそうなくらいです。羽田発着便に数十便の欠航が出ましたから、それなりに大雪だったのでしょう。

今朝は遅刻が多かったですね。私のクラスは、9時3分前の時点で学生が3人しかいませんでした。始業チャイムと同時に駆け込んできたのが数名で、そのあと堂々の遅刻が駆け込みと同数ぐらい。他のクラスも似たり寄ったりだったようです。電車の遅延証明を持ってきた学生はいませんでしたから、外の寒さに打ち震えて歩みが遅くなってしまったのでしょうか。私の出勤時間帯には3度程度あった気温が、学生たちが登校してきたころには0度台を上下していました。雪がちらつき始めるとともに、気温はガタッと下がったのです。

授業後に面接練習をする予定だったCさんは、寒さで体がおかしくなったと断って、帰ってしまいました。Cさんに限らず、学生たちはどうも虚弱体質でいけません。ラウンジでおしくらまんじゅうもどきをして体を温めているグループもありました。去年の今頃なら「密!」と言って解散命令例を出したことでしょう。でも、もうすぐマスク規制も緩和されるとのことです。大目に見てあげました。

あした京都で受験のTさんは、無事現地に着いたでしょうか。東海道新幹線は定刻で動いていたようです。あさって茨城遠征予定のLさんは、冬晴れの中の移動ですね。吉報をお待ちしております。

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テスト問題作成

2月8日(水)

来週の火曜日が中間テストですから、そろそろ問題作りに頭を痛めねばなりません。頭を痛めて作ったテストでいい点を取ってくれれば、作ったかいも授業をしてきたかいもあるというものです。しかし、赤点続出となると、気落ちした上にその後処理もしなければならず、骨身にこたえます。

そこで、今回は、読解の問題を学生に作ってもらいました。「はい、作ってください」と声をかけただけでは作れるわけがありませんから、まず、問題作りのポイントを説明しました。

「T先生や私が読解の授業でみなさんにした質問を思い出してください」「指示詞が何を指すかは、よく使う手ですよ」「空欄に言葉を入れる問題は、前後を読めばわかる問題にしてください。知識を聞くクイズじゃありませんよ」「漢字の読み書きは、読解の問題じゃありません」「選択肢は、微妙すぎるのはやめてください」…

こちらの手の内を明かすようなことも入っていますが、このクラスの学生は多くが今学期までですから、まあ、いいでしょう。それに、学生に教えても使いこなせないだろうなという大技は、しまったままです。

問題作りのポイントがわかるということは、読解のポイントが見えてくるということでもあります。これを通して読解力が上がることも期待しています。また、問題を作るためには、テキストをじっくり読まなければなりませんから、内容の理解が深まるはずです。学生たちは声も出さずに真剣に取り組んでいました。優秀作品は、テスト問題に採用します。来週のテストは期待が持てそうです。

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