Category Archives: 試験

シャープペンシル禁止

6月14日(金)

EJU本番前最後の授業日ですから、EJU受験の際の注意事項を学生たちに伝えました。受験票と一緒に注意事項も送られているはずですが、ろくに読みもせずにほったらかしにしているおそれが多分にありますから、各クラスで注意喚起をしてもらいました。

EJUを実施しているJASSOが公表している注意を読むと、試験会場外と連絡を取っての不正行為に非常に神経をとがらせていることがわかります。シャープペンシルも使ってはいけないというのは、小型の発信機と区別がつかないからでしょう。うっかりシャープペンシルを使って失格にでもされたら、今シーズンを棒に振ってしまうことにもなりかねません。一罰百戒の“一罰”として血祭りにあげられたらたまりません。

昔は、試験での不正行為と言えば、他人の答案用紙をのぞき込んだり、カンニングペーパーを見たりといった古典的手口でした。しかし、昨今は外部の人に答えを教えてもらうなど、大掛かりになりました。通信技術の発展の負の一面と言っていいでしょう。

そんな無理をしてまで進学しても、卒業できなければ意味がないでしょ。留学生の場合、日本語力で背伸びしても、進学先で苦しくなるだけです。分相応の所に進学するのが、その学生にとって一番幸せな結果をもたらします。“いい大学”に入りたかったら、日本語学校でもう1年日本語を鍛えてから挑戦すべきです。

泣いても笑ってもあと2日です。ここまで来たら、勉強するより体調を整えて、ベストコンディションで16日の試験に臨んでもらいたいです。

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朝の採点

6月12日(水)

今朝、出勤して最初に取り組んだ仕事は、昨日の日本語プラスの時間に学生に書かせたEJU記述の採点でした。昨日のうちにざっと目を通してだいたい何点ぐらいか見当をつけておきましたから、2度目はじっくり読んで添削しながら最終的に採点しました。今度の日曜日がEJUの本番ですから、急いで採点して午前の授業の時に、学生に返してもらおうと思ったわけです。

EJUの記述は、独創性はあまり要求されません。何と言っても論理構成が採点のポイントです。文法の間違いや誤字脱字もないに越したことはありませんが、それよりも話の筋が通っているかどうかです。問題文の指示に従って、自分の意見まで書けたら、毎回35点前後の平均点ぐらいはどうにかなるでしょう。

さて、採点してみると、初級のLさんは最後の段落が書ききれませんでしたが、言いたいことは十分にわかりました。自分の考えが書きかけでしたから、ちょっと厳しいかもしれませんが、35点。Sさんは制限時間の数分前には書き終わっていたようでした。文章全体の骨組みはできているのですが、1つ1つの文がひどすぎます。KCPの学生たちの例文や作文によって日々鍛えられている私が、添削という和文和訳をしながら読んでもピンとこなかったのですから、EJUの採点官にわかってもらえる可能性は低いでしょう。25点じゃ甘いかな。Tさんはさすが上級で、内容はよくわかりました。話の進め方が若干強引なので、45点。Cさんもまとまっていましたが、Tさんのよりいくらかわかりにくかったので、40点。

こんな調子で全員分採点し、午前の先生方にお渡しできました。多少なりとも学生たちの成績を伸ばすことに貢献できたら、うれしい限りです。

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時間との闘い

6月11日(火)

先週から、日本語プラスの理科は、EJUと同じ試験時間、80分で過去問2科目を解き、マークシートまできっちり塗る練習をしています。EJUの理科の問題は、時間さえあれば必ず解けます。1題1題は決して難しくないのですが、受験生は問題数で圧倒されてしまうのです。科目間の時間配分と、それを守るためのスピード感を実地に体験して、本番に備えてもらおうという趣旨です。

授業では計算のスピードを上げる方法を伝授しています。問題を解いている最中にそれを思い出せうるかどうか、思い出してその方法で答えを出すに至ったか、そういったことも確かめてもらいたいです。先週はこの点があまりうまくいかなかったようでした。まじめな学生たちですから、みんな真正面から計算してしまいます。そうすると、80分で2科目は厳しくなります。果たして、今週はどうだったのでしょう。

80分で2科目、40問弱を解かなければなりません。マークシートを塗りつぶす時間を含めて、1問2分ほどです。計算問題が多い物理に少し長めに時間をかけるとすると、化学にかけられる時間はおのずと限られてきます。また、ある問題を10分かけて正解を得たとしても、その時間で他の問題4~5問解いた方が、いい点数が取れるでしょう。5分かけても解けなかったら、スパッとあきらめることだって必要です。

ほとんどの学生が80分をフルに使いました。解答用紙を集めてから、正解+解説を配りました。毎期、正解の番号しか見ない学生が多い中、今学期はみんな解説まで読んでいましたから、希望が持てそうな気がします。

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666

6月6日(木)

令和6年6月6日、しかも大安。縁起がよさそうな日です。だからというわけではありませんが、来学期の新入生のプレースメントテストをしました。もちろん、学生たちは来日していません。オンラインでの試験です。パンデミックですべてがオンラインになってから、新入生のプレースメントテストは、来日前にオンラインで行うようになりました。パンデミックが収まってからも、来日前に済ませてしまった方が日程に余裕ができますから、プレースメントテストはオンラインでしています。

私は、午前中のテストで中級以上の日本語力と判定された新入生たちが、中級以上のどのレベルに当たるか判定するテストの試験監督をしました。試験監督といっても、パソコンを眺めて、所定の時刻に所定の問題を送り、所定の試験時間後に解答を提出させ、また新しい試験問題を送り、所定時間後に回収するという、腰かけたままできる楽な仕事でした。教室での試験では、受験生の間を歩き回らなければなりませんから、たとえ受験者が少なくてもずっと座っているわけにはいきません。しかも、みんな中級以上ですから、少しゆっくり目に話せば日本語も通じます。こんないい商売はありません。

画面上に映し出された受験生たちは、日本語がよくできると思って見るからでしょうか、みんな賢そうに見えました。受験生の背景の部屋は、きちんと整理整頓されていました。日本でもこういう生活を続けられれば、順調に力を付けて志望校に入れるんだろうなあと思いました。

試験は無事終わりました。「日本で会いましょうね」と言いながら画面に手を振ったら、みんな手を振り返してくれました。この学生たちに実際に会うのは、来月の入学式です。

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なくした

6月5日(水)

午前の授業が終わって数分経った頃、Kさんが職員室へ来ました。16日(日)に行われるEJUの受験票をなくしたので、再発行はできないかと言います。

「うちの中、どこを探してもないんですか」「はい、探しませんでした」。言っておきますが、ここでの“探しませんでした”は、“見つかりませんでした”という意味です。Kさんは何もせずに私のところへ来たわけではありません。“見つける”とか“見つかる”とかという単語が出てこないのが、Kさんのような中級の学生の姿です。

それはさておき、学校で団体申し込みをした分のEJUの受験票を配ったのは、わりと最近のことです。もうなくしちゃったのかよと言いたくなります。どうしてないのかと聞くと、Kさんは「捨てたと思います」と答えました。せめて「捨ててしまったと思います」ぐらい言えないのでしょうか。

とにかく早く受験票がない状況から脱したいという意識がビンビンと感じられました。EJUの仮受験票はオンラインで簡単に出すことができます。しかし、Kさんには明日まで待てと言いました。自分はとんでもないことをしでかしたんだと、少しでも反省してもらいたいのです。仮受験票はA4の紙1枚ですから、本物の受験票をいとも簡単になくしたKさんなら、そんな紙っぺらなどあっという間にどこかにやってしまうに違いありません。

受験票がないのに気づいたのが試験当日だったというよりはましかもしれません。でも、私とのやり取り日本語からしても、Kさんには多くは期待できませんね。

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漢字の不思議

5月31日(金)

今学期はあちこちのクラスに代講で入っています。だいたいどのクラスでも、漢字が正しく読めるのは、中国の学生ではなくアメリカの学生です。理由は非常に簡単で、中国の学生は漢字を“見た”だけで意味がわかってしまい、読み方を深く追求しない学生が多いのです。アメリカの学生は、生まれて初めて漢字を見るようなものですから、読み方も意味も必死に覚えようとします。それゆえ、漢字の読めない中国の学生と、漢字に強いアメリカの学生が生まれてしまいます。

先日、進学の授業で経費支弁書を書く練習をしたら、ある中国の学生が、「●×△(自分の名前)は私の子どもですから、学費は全部私が払います」と言いながら、“~私の児(の簡体字)ですから~”と書いていました。その学生の頭の中では、児(の簡体字)の訓読み(?)は“こども”なのです。意味的には確かにそうですが、そんな書類を見たら、普通の日本人は“???”となってしまうでしょう。

JLPTやEJUの読解問題となったら、中国の学生はアメリカの学生より強いです。漢字の蓄積量が違いますから。文章の音読はできなくても、意味はつかんでしまいます。しかし、マークシートでなくなると、途端にこのアドバンテージを利用できなくなってしまう学生が少なくないのです。頭の中の理解を日本語でうまく表現できなかったり、表現できても“私の児”みたいな表記をしたりといったように、悲惨な解答欄が出来上がってしまいます。

もちろん、本当に優秀な学生もいますよ、先日この稿で取り上げたSさんもその1人です。日本語力が目に見えて伸びてきています。周りの学生はこういう同級生をどう見ているのでしょう。ぜひ見習ってほしいんですが…。

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さてどうしましょう

5月28日(火)

EJUまで残り20日を切りました。火曜日のお昼の日本語プラス大学進学準備の時間を使い、EJUの記述の模擬テストをしました。授業で意見文を扱っているレベルもありますが、EJUの記述は30分で400~500字と、スピードを要求されます。課題に対する意見は持っていても、それを30分という決められた試験時間内に書ききれるかが、勝負の分かれ目です。学生たちには、まず、その時間の短さ、焦る気持ちを抑えて自分の主張を書き連ねる力の必要性を実感してもらいたいところです。

最初にEJUの記述の概要と採点基準と文章構成の見本を示しました。そして所定の原稿用紙を配り、課題に取り組んでもらいました。書いている最中の学生たちを見て回りましたが、筆の進みが滞っている学生が多かったです。やっぱり、書き慣れていないという点が大きいようでした。

30分経ち、原稿用紙を回収しました。書き終えたと思える原稿用紙が1/3ぐらいで、あとは書きかけか、そこにも至らないほどの短さでした。中級入口あたりの学生までにとっては、荷が重かったようです。

職員室に戻って学生たちの答案を読んでみると、問題文に指示された構成ができていない学生が目立ちました。私が書き終えたと思っていた学生も、その内容を見ると尻切れになっていて、高い点数はあげられませんでした。上級のごく一部の学生だけが、どうにか意見が伝わって来そうな文章でした。

そもそも、学生たちは問題文をよく読んでいないようです。課題文が2つあり、どちらかを選ぶのですが、2つ目を選んだ学生は1人しかいませんでした。最初に目に入った課題に取り組み、苦戦していたようです。2つ目の方が楽に書けそうだったんですがね。

午後は、来週のこの時間にどのようにフィードバックしようか考えていました。単純に添削しただけじゃ意味がありませんしね。

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睡魔

5月24日(金)

Mさんは、私なんかが普通の日本人としゃべるのと同じ調子で話しかけても会話が成り立ちます。語彙も豊富で、十分に超級の力があります。来年、゛いい大学”に入ろうと、英語の外部試験を受け始めています。日本語プラスで総合科目の勉強もしています。

毎週金曜日は、6月のEJUに備えて、EJU日本語の過去問を解く授業をしています。先週は川越旅行でお休みでしたが、今週からは本番直前の6月14日まで、追い込み態勢でガンガンやっていきます。

Mさんも、もちろんこのクラスの一員です。先々週は翌日TOEICを受けるからと欠席しましたが、今週は最前列で試験に臨みました。私が見ていた読解の時間は、問題文をかなりのスピードで読み、次々にマークシートを塗りつぶしていました。

ところが、試験終了後、「先生…」と、いくらか沈んだ声をかけてきました。聴解の問題の最中に寝てしまったというのです。今回に限らず、テストの最中に眠くなることがよくあるそうです。「どうしたらいいですか」と聞かれましたが、確実に効く解決方法はありません。コーヒーをがぶ飲みせよというのも、シャープペンシルの先で腕を突っつけというのも、万能ではありません。カフェインには利尿作用がありますから、目が覚める代わりにトイレに行きたくなるかもしれません。本気で眠くなったら、シャープペンシルで突っつく前に寝落ちしてしまうでしょう。

緊張感が足りないのかなあと思います。Mさんがどのくらいプレッシャーに強いかわかりませんが、1問たりとも間違えられないという精神的負荷を感じるくらいがちょうどいいのかもしれません。平常心を保つのと緊張感に欠けるのとは、別問題です。

MさんはKCPの希望の星ですから、ぜひとも眠気との戦いに勝ってもらいたいです。

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EJUのもっと先

5月21日(火)

毎週火曜日は、日本語プラスで大学進学のガイダンスのような授業をしています。このところ大学の留学生入試の仕組みを説明してきました。先々週は志望理由書、先週は面接、そして今週は各大学の独自試験の日本語について話しました。

留学入試の日本語試験は各大学でまちまちです。JLPTの言語知識(文法と文字語彙)のような問題を出すところ、日本人の高校生でもハードに感じるだろうと思われる読解をさせるところ、聴解までやるところなど、千差万別です。超級では来学期あたりからこういう問題を授業に取り入れていくというのが例年のパターンですが、私が担当している日本語プラスの学生たちは中級が主力です。そういう問題に触れるのも初めてだったかもしれませんし、予告なしだったこともあり、面食らっているようでした。

小論文のパターンも紹介しました。長文を読んで意見をまとめるのは手に負えないでしょうから、軽めの過去問を紹介しました。それでもすぐに書ける代物ではないと感じているようでした。社会問題について意見を書く問題でしたから、その社会問題についてある程度の知識がないと書きようがありません。そして、今年の入試で取り上げられそうなテーマもいくつか挙げました。能登半島地震は知っていると言っていましたが、どこまで深く知っているのでしょう。そこから防災とか過疎化とか、更なる問題と関連付けて文章が書けるでしょうか。

少なくとも、日本や世界の動きに敏感であってほしいものです。円安だと仕送りを円にした時増えるからうれしいなんていう程度では、どこの大学も拾ってくれないでしょう。これをきっかけに、今から目を外に向けてもらえれば、学生たちの将来は明るくなるでしょう。

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実力の偏り

4月19日(金)

今学期の日本語プラスEJUは、6月の本番を目指して実力をつけていくことに集中します。そのため、プレースメントテストを行い、その結果を見てクラス分けをします。受講希望者が最上級クラスからレベル3まで広がっているということもあります。しかし、レベルで機械的に分けると、下のレベルなのにテクニックで点を稼いでしまう学生や、その逆に上のレベルなのに要領が悪くて点が取れない学生などがいて、学生の実力を引き上げられないおそれがあります。そんな意味からも、プレースメントテストで様子を見ていきます。

さて、そのプレースメントテスト。最初にやった聴解・聴読解の時点で怪しい雰囲気が。几帳面にメモを取る学生がいる一方で、ボーッとしている学生もいました。全くメモを取らないのに成績がよかった学生は、数年前に卒業したKさんだけです。Kさんは聴解の天才だったかもしれません。問題にじっと耳を傾け、正解が流れるや迷わずチェックを入れました。それでいて間違いがほとんどないのです。どうしてそんなによくできるのかと聞いてみましたが、笑ってごまかされてしまいました。

残念ながら、目の前の学生たちは、Kさんの足もとにも及ばないようでした。メモを取らない学生は、メモを取る必要がないのではなく、メモを取る能力がなかったのです。解答用紙を見たら、1つの解答欄に2つも3つもマークしてありました。どの選択肢も正しいように聞こえてしまったのだとしたら、重症です。

読解は時間切れが数名。Sさんは最後の7問が空白でしたが、答えた問題で間違えたのは1つだけでした。速読の訓練をすれば、大いに期待できます。一方、Dさんは、読解の解答欄は真っ白でした。Nさんは最後まで答えましたが、正解は数えるほど。2人とも、漢字が読めなくて正解が選べなかったのでしょうか。

採点してみると、予想通り受講生間にかなりの差がありました。しかも、聴解ができない学生、読解ができない学生、入り乱れています。どんなクラスを設定すればいいか決めるのは、大仕事になりそうです。

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