Category Archives: 勉強

メール送信

10月2日(水)

今学期の新入生のプレースメントテストはもうだいぶ前に終わり、先週はプレースメントテストの結果で中級以上に判定された学生の面接をしました。面接でのやり取りも加味して、レベルを最終的に決定します。

私が担当した学生たちは、みんな話す力がもう一歩でした。まだ国にいますからオンラインの面接でした。だから、回線の状況によっては聞き取りにくかったこともあるかもしれません。そのハンデを差し引いても、普段日本語の勉強はしていても、会話はしていないんだろうなと感じました。

学生たちは異口同音に、KCPではコミュニケーション力を付けたいと言いました。そうだろうなと思いました。漢字の読み書きや文法、もしかしたら読解問題の解法のテクニックまで練習しているかもしれませんが、会話はテキストを「読む」くらいしかしていないのでしょう。それでいきなり、「KCPで勉強以外にどんなこと、してみたい?」なんて聞かれたら、オンラインの向こう側で目を白黒させていたとしても無理はありません。

Aさんは、「こんにちは。KCPの金原です。よろしくお願いします」と私が話しかけるや、「Aと申します。これからお世話になります。私は日本で大学院に進学したいです。どうぞよろしくお願いいたします」と、いかにも何かを読み上げている口調で言いました。あいさつ文を作り上げた努力は認めますが、どうせなら自然な話し方ができるまで練習しておいてほしかったですね。

9月にレベル4だった私のクラスの、できない学生といい勝負の話し方でした。Aさんが3か月練習すれば、同じクラスのできる学生並みになれるかな、なってほしいなと思いながら、レベル判定をしました。

午後、Aさんたちに判定結果をメールで送りました。コミュニケーション力を付けるには、今までとは質の違った練習をしなければなりません。覚悟はできていますか。

ほどなく、Aさんからは返信のメールが来ました。文面からは覚悟のほどはわかりませんが、ガンガン鍛えていきますからね。

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最後です

9月13日(金)

授業が終わって職員室に戻ろうとしていると、Mさんが「先生、来週の火曜日は授業をしますか」と聞いてきました。「いいえ。このクラスの授業はいつも通り、水曜日と金曜日ですよ」と答えると、Mさんは「じゃあ、今日が先生の最後の授業でした。どうもありがとうございました」と、頭を下げました。Mさんは、アメリカのプログラムできていますから、今学期の終業が普通の学生より少し早いのです。火曜日まで授業を受けて、水曜日に期末テストを受けて、すぐに帰国ですから、顔を合わせられるかどうかわかりません。それで、わざわざお礼を言ってくれたのです。義理堅いじゃありませんか。

「期末テストでもいい点数を取って」と言って、2、3歩行くと、今度はJさんから、「先生、私、今日までなんです。明日、国へ帰ります。今までどうもありがとうございました」と、いつもと変わらぬ明るい声と満面の笑みで声をかけられました。どうせ退学するんだから、最後は遊びまくろうなどというよからぬ考えに傾くことなく、こうしてきちんと挨拶してくれるのです。まさしく、立つ鳥跡を濁さずです。

調べてみると、Jさんは入学から今まで、1コマだけ欠席が付いているだけで、出席率は限りなく100%に近いです。また、どんな授業にも全力で取り組み、何でも吸収しようという意欲が表情にあふれ出ていました。Jさんを見ていると、こちらも教える意欲が湧いてきます。各クラスにJさんみたいな学生がいると、教師の授業の質も上がり、学校全体が活気に満ちてくるのではないかとさえ思いました。

Jさんは日本で進学するつもりで受験の授業も取っていましたが、ご両親から帰って来いと言われて、帰国を決意したと聞いています。今学期の初めの時点では来年の3月までKCPで勉強すると言っていましたから、事情が変わったのでしょう。残念ですが、親の意見には逆らえませんよね。

私が「Jさん、お元気で」と声をかけると、Jさんは「先生もお大事に」と、最後の最後に笑わせてくれました。

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6割

9月9日(月)

金曜日に出した宿題を集めました。提出率は6割。金曜日の授業中に口頭でも伝え、板書もしたし、授業後にメールで改めて連絡しました。だから、金曜日に欠席したRさんも提出しました。その一方で、金曜日はしっかり出席していて私の話を聞いていたはずのMさんやCさんが提出しませんでした。

提出しなかった学生は、今学期の宿題提出率が押しなべて低いです。Mさん、Cさんに至っては、27%です。よく見ると、今回の宿題を提出したかしないかは、ものの見事に今までの提出率で二分されました。提出した学生は提出率上位、提出しなかった学生は提出率下位で、逆転現象は全くありませんでした。

提出した学生は、授業の予習課題なども毎回きちんとやっています。それに対して、MさんやCさんは、そちらもいい加減です。当然、成績も推して知るべしです。この調子でいくと次学期に進級できるか危ないですが、授業態度を見ても、宿題提出率からも、そういう危機感を持っているとは思えません。

宿題提出率、予習課題実施率と成績が比例するかというと、必ずしもそうとは言い切れませんが、グラフ化すると相関係数が高いのではないかと思います。やる気のある学生、きちんと勉強している学生は力を伸ばし、そうではない学生は伸び悩んでいるという、実にまっとうな結論が得られます。

私が受け持っているもう1つのクラスでも同様の傾向が見られます。こんなことはわざわざ調べるまでもないことであり、予習をしろ、宿題を出せと言い続けてきた私たち教師は決して間違っていなかったというわけです。この簡単な原理を、どうすれば学生に浸透させることができるのでしょうか。それが問題です。

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発想の転換

9月4日(水)

「Gさんの行きたい大学は?」「東大です」「6月のEJUは?」「受けませんでした。11月に頑張ります」「東大だと、ほとんど1問も間違えられないよ」「はい、わかっています。だから、毎日午後1時半から9時半まで塾で勉強しています」「点数を増やすための勉強も必要だけど、1問も間違えないようにするには、間違いを減らす、なくす訓練の方がそれ以上に必要だよ。学力じゃなくて、集中力、注意力の問題なんだ」

学生面接の場で、Gさんとこんなやり取りをしました。Gさんが考えているような最難関の大学を狙おうとすると、EJUでの1問のケアレスミスが命取りになりかねません。また、GさんはEJUの数学や理科は易しいと言っています。しかし、そう言いのけた学生が実際に取った点数がかろうじて平均点を上回る程度だったという例は、枚挙にいとまがありません。KCPの学生の通弊かもしれませんが、詰めが甘い学生が多いです。だから、間違いを減らす・なくすという発想を持たなければならないのです。

練習問題を解いて答え合わせをして、答えが間違っていたことがわかった時、多くの学生が“これは勘違い・ケアレスミスだから、実質的に○だ”というような反応を示します。全然わからない問題ではないから、この問題にはもう触れなくてもいいとして、ほったらかしにしてしまいます。これでは間違いは減りません。どこで勘違いを起こしたのか、なぜ“ケアレス”に陥ってしまったのか、そこをつぶすのが間違いを減らす勉強なのです。

CさんもSさんも、“ああ、わかったわかった”組です。力がないわけではありませんが、6月のEJUで力が反映された点数が取れたかというと、ぜんぜんそんなことはありません。口を酸っぱくして間違いを減らせと言ってきましたが、通じませんでした。Gさんも同じ組だったら、東大はせせら笑いながらGさんを切り捨てるでしょう。

まだ2か月ありますから、今舵を切りなおせば、どうにか間に合うでしょう。問題は、どうすれば学生たちの発想を変えさせられるかです。

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快晴なのに

9月2日(月)

久しぶりに青空が広がりました。校舎の前から空を見上げてもビルの谷間の狭い範囲の空しか見えませんが、気象庁が観測した日照時間を見ても、雲一つない青空だったことがわかります。全国的に見ても、局所的に雷雲が発達した地域はありますが、一日中雨だったところはなかったようです。

しかし、KCPの中には暗雲が垂れ込めた学生がいました。

先週のこの稿に登場した、調理の専門学校に進むつもりのWさんは、日本語は心配ありませんが、数学(算数)は全く自信がありません。先週の専門学校フェアの際にも、簡単な計算問題ができなかったら、日本語ができても落ちるかもしれないと言われました。調理なら、塩分濃度の計算ぐらいはしなければなりませんからね。そこで、先週末、私に練習問題を作ってくれと頼んできました。というわけで、練習問題を作り、今朝、クラスの先生を通して渡してもらいました。

授業後にWさんが職員室に飛び込んできました。「先生、こんな問題、絶対無理です」と訴えてきました。“こんな問題”といっても、「税抜き1,645円の食料品は、税込みでいくらですか“ぐらいのレベルです。もちろん、食料品の税率8%は示してあります。その場は家でゆっくり考えろとなだめて帰しましたが、本当にこの程度の問題ができなかったら、食塩水の濃度計算など、はるかかなたの問題でしょう。

そのあと、S大学の指定校推薦応募者のEさんの面接をしました。「あなたの行きたい大学、学部、学科の名前を言ってください」と聞くと、「S′大学のT学部のUがつかです」と答えました。そもそも大学名が不正確だし、学部名は言葉足らずだし、学科名に至っては間違っているうえに“がつか”ですよ。思わず、「がっか。小さい“つ”」と直してしまいました。それには目をつぶって質問を続けても、さっぱり話がかみ合いませんでした。Eさんは7月のJLPTでN2に合格したのですが、その片鱗も感じさせない答えっぷりでした。

私が2人の相手をしているころ、東京は雲ひとつない青空で、最高気温34.1度を記録しました。

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聞き役

8月14日(水)

Jさんは何かと不満を抱えている学生で、担任のM先生から「どうしても金原先生と話をしたいと言っているので、話を聞いてもらえませんか」と頼まれていました。というわけで、授業後にJさんの話を聞きました。

まずは同級生とのトラブルで、相手との間に若干物騒なやり取りもあったようです。Jさんはその学生とクラスを分けてほしいと訴えました。しかし、諸般の事情でそう簡単にクラスを分けるわけにはいきません。ですから、こちらからの提案として、これから期末テストまで必死に勉強して、もう一人の学生の手が届かないクラスに進級したらどうかというアイデアを出しました。

Jさんは日本での就職を考えています。そのためには可能な限り日本語力を高めておくことが必要です。この意味からも、平常テストで満点を取るくらい勉強に打ち込むことは、Jさんの将来にとっても有意義なことです。

ところが、Jさんはこちらがいくらたきつけても煮え切りません。自分は例文を作るのが苦手だとか、記憶力がよくないとか、日本語の漢字の読み方はわかりにくいとか、あれこれ理由を並べ立てます。つまりは苦労したくないのでしょう。そのくせ、先月受験したN1はたぶん合格しただろうと言います。KCPのテスト例文を書く問題があるから点が悪いけれども、JLPTは4択だから好成績が挙げられるという理屈です。

就職にしても、今のアルバイト先で正社員として雇ってもらいたいという淡い夢を見ています。他の会社を受けるとなると面接があるので、それは自信がないと言います。これまた、楽をしたいのです。

「本当に日本で就職したいなら、専門学校に行くのがいいですよ。専門学校は丁寧に就職指導をしてくれますから」と勧めてみても、乗り気じゃなさそうでした。「Jさんは出席率もいいですから、本当にN1に合格していたら、それだけでほとんど専門学校合格ですよ」と言っても、そちらの方に動く気配はありませんでした。

ひたすら話を聞くというのが私の役どころでしたから、ブチ切れたいのをこらえて2時間余りうなずいていました。Jさんはにこやかな顔で帰っていきましたが、こちらは疲労困憊でした。その私を待ち受けていたのは、昨日の中間テストの答案用紙と原稿用紙でした。

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教師の天国

8月1日(木)

最上級クラスの代講に入りました。最上級クラスともなれば有名人ぞろいで、以前受け持ったことのある学生は数名もいませんでしたが、ほとんどの学生は顔と名前が一致しました。そういった学生が一堂に集うとどんな様相を示すのか、そちらの方に興味がありました。

今学期教えている中級クラスとは違って、語彙コントロールなしで日本語がバリバリ通じます。授業がサクサク進む感じでした。応用編と思って聞いた質問にもたちどころに正解が返ってくるあたりは、さすがと言うほかありませんでした。課題を与えると、余計なことはせずに黙々と取り組んでいました。これだけの集中力があれば、日本語力も伸びるわけです。

自分で調べたことの発表もしました。そんなに長くかからないという引継ぎだったのですが、いい加減な発表は1つもなく、質問がけっこう出て、気が付いたら後半の授業を全部使ってしまいました。各学生に知識欲があるからきちんと調べてくるのであり、だから発表の質も高く、それゆえ耳を傾けたくなり、本気で聞くから興味を感じ、質問も出てくるという、正のスパイラルが生じたのでしょう。

このクラスの学生たちは語学の才に恵まれ、それに加えて勉強自体も好きなのです。隙あらばスマホに逃げようとするどこかのクラスの学生とは、頭脳の質が違うのです。日本語の習得、もっと言ってしまえば、学問に向いた脳みそを持っているのです。

結局、私は出席を取るぐらいで、学生たちがどんどん進めていったような授業でした。理想的と言えば、実にその通りです。これからも相乗効果を発揮して、高みに上り詰めてもらいたいと思いました。

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うさぎとかめ

7月23日(火)

中級クラスでは、毎日朝一番で漢字の復習テストがあります。前日に勉強した漢字の読み書きの問題を10問出し、6問正解が合格点です。文字通りの復習テストで、出題にはひっかけやひねりなどは加えません。だから、うちでその日習った漢字を復習しさえすれば、確実に合格点が取れます。

出席を取って、すぐにその復習テストを始めました。教室内を回ってみると、Fさん、Oさんなどはかなり苦戦しているようでした。GさんやMさんは楽勝のようでした。

さて、授業後、採点してみてびっくり。今朝の受験者の約4割が不合格ではありませんか。Fさん、Oさんは全滅に近い悲惨極まる状況でした。Yさん、Jさんも、惜しいところで不合格。もちろん、満点の学生もいましたが、全体としては成績不振と言わざるを得ませんでした。

一言でまとめてしまえば勉強不足です。上述の通り、教科書を見てちょっと手を動かすだけで、合格点ぐらいは絶対にどうにかなります。現に、アルファベットの国から来たCさんとMさんは、毎回合格点を取っています。その一方で、漢字の国から来た学生は死屍累々の有様です。

漢字の国からの学生は、勉強不足と同時に油断もあります。意味がわかればそれでよしとしてしまうと、読解はどうにかなっても、漢字や語彙のテストでは戦えません。毎日の小さいテストだと、不合格に慣れてしまって、勉強のモチベーションにはつながらないのかもしれません。

こういう現象を見るにつけ、「うさぎとかめ」を思い出します。Fさんはうさぎの典型例、Cさんはかめの代表です。学期gは始まって2週間ほどで、両者の間には大差がついています。

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入学式挨拶

みなさん、ご入学おめでとうございます。世界の各地からこのように多くの方々がKCPに入学してくださったことをとてもうれしく思います。

今年に入ってから、円安の影響もあり、訪日旅行客数が大幅に増えています。このままいけば、今までの最高記録、2019年の約3200万人を上回るだろうと言われています。その訪日旅行客が大勢訪れるところといえば、金閣寺や日光東照宮のような有名な神社仏閣、東京・渋谷や大阪・ミナミのような大都市の繁華街、姫路城や兼六園のような有名建造物や公園、富士山や瀬戸内海などの景観の素晴らしいところ、全国各地の博物館や美術館などでしょう。あるいは、博多どんたく、青森ねぶたといった有名なお祭りを見に行く旅行客も多いのではないでしょうか。

旅行に来たのなら、そういったものを見て、おもしろかった、びっくりしたで十分です。何かを体験して楽しかった、日本料理はおいしかったというだけで満足してしまって構いません。しかし、今ここにいらっしゃるみなさんは、短い方でも2か月間、日本に滞在するのです。長い方なら、KCPで勉強して、大学に入って、さらに大学院に進学して…と考えると、10年単位の年月を日本で過ごすことになります。1週間かそこらで帰ってしまう旅行客と同じ次元で喜んでいるばかりでは、日本に住む、日本で暮らす人としては、内容が薄いと言わざるを得ません。

そもそも、みなさんは日本へ勉強に来ているのですから、勉強を最優先に考えてください。それと同時に、“日本で”勉強するという意義も忘れてはいけません。日本語の勉強は、日本でなくてもできます。現に、約127万人に及ぶ昨年のJLPT受験者の2/3近くが、海外で受験しています。何百万人という人々が、日本の外で日本語を勉強しているのです。みなさんもその一員でした。しかし、みなさんは、決して安くはない渡航費とKCPの授業料を支払って、これから日本で勉強しようとしているのです。

つまり、みなさんの場合、日本でしかできない勉強をし、単なる旅行者とは違った経験をして初めて、この留学が有意義なものとなるのです。日本で進学して、日本で就職して、日本をベースにして生きていこうという人生設計の人なら、なおのこと物見遊山の人と同じ調子で過ごしていてはいけません。

では、日本ならではの勉強や体験とはどんなものでしょう。まず、今すぐできることは、日本人の先生と触れ合うことです。録音された教材ではなく、生身の日本人が話す日本語を味わってください。そして、できれば、日本語教師以外の日本人と話してください。私たち日本語教師は、耳に自動翻訳装置がついていて、変な発音、おかしな文法でも、その人が伝えようとしていることを理解してしまいます。また、目の前の外国人の日本語力を即座に判定して、そのレベルに合わせた日本語を話します。しかし、普通の日本人は、そんなことはしてくれません。そういう人とコミュニケーションが取れるようになることが、みなさんが目指すべき目標ではないでしょうか。

また、この後で紹介されると思いますが、KCPはクラブ活動に力を入れています。そこで苦労しながら、日本語で意思疎通を図る訓練をしてみてください。通じそうで通じないもどかしさを乗り越えた時に、みなさんの前に新たな大地が広がるのです。

そして、自分らしい日本を見つけてください。ガイドブックやどこかのサイト、SNSなどに紹介された日本には、多くの観光客が押し寄せています。東京スカイツリーに上って東京の街を見下ろすのも、話の種に1度ぐらいはいいでしょう。でも、みなさんはそれで終わってはいけません。例えば、スカイツリーの足もとにはいくつかの川が流れています。その川に沿って歩いてみると、みなさんが知らなかった東京の一面が見えてきます。そういう、誰かの経験をなぞるのではない、みなさん独自の経験を積み重ねていってほしいのです。

いかがでしょうか。多少なりとも留学の道筋が見えてきましたか。私たち教職員一同は、みなさんの留学生活をより充実したものにするためのお手伝いなら、喜んで致します。

本日は、ご入学、本当におめでとうございました。

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日本語強化の威力

7月4日(木)

Cさんは先学期レベル1の新入生でした。すばらしい成績を挙げ、期末テスト後にジャンプテストを受けて合格し、今学期はレベル3に上がります。レベル3からは進学に備えた日本語プラスの授業が受けられますから、午後、その説明を聞きに学校へ来ました。

ジャンプを希望する学生は、ジャンプ先のレベルのクラスで中位から上位に食い込めるぐらいの実力がないと、ジャンプは認められません。レベル1の勉強をしながら、レベル2の勉強も自分でこなさなければなりません。そして、レベル2の学生は70点が合格点のテストで満点に近い点を取らないと、レベル3には上がれません。かなりの努力を要します。

Cさんは、先学期、レベル2の学生向けのも含め、日本語強化の読解や聴解などを6科目も受けました。このくらいいろいろな先生に鍛えてもらったことが、ジャンプ成功の一因でしょう。レベル3ともなれば結構な長さの文章を読みますから、普通にレベル1の授業を受けるだけでは太刀打ちできません。そう考えると、Cさんはこれだけの日本語強化を受けてきたということは、入学の時点からジャンプを狙っていたのかもしれません。

日本語プラスの説明はあっという間に終わってしまいました。Cさんは聴解力も鍛えられていますから、同じような話を繰り返す必要もなく、すっと理解してくれました。これだったら、レベル3でも十分やっていけるでしょう。それと並行して、進学の準備も始めなければなりません。Cさんが考えている“いい大学”となると、それでも間に合うかどうかわかりません。26年進学になってもいいですから、安易に妥協しないと言っています。頼もしい限りです。

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