ふて寝

7月16日(木)

私が文法の説明をしている最中、Fさんの左手はずっと机の下でした。視線もこちらに向けず、その左手に向いているようでした。説明を続けながらホワイトボードの前から離れて、静かにFさんの手元が見える位置に移動すると、やはりFさんの左手にはスマホが握られていました。

「Fさん、教室では携帯電話禁止でしょ」と、掲示板に張ってある携帯電話禁止の表示をたたきながらFさんを注意すると、Fさんは不満そうな表情でスマホいじりをやめました。「Fさん、あなたは昨日も同じことでO先生にしかられたでしょ。それでもまだケータイに触っていたいんですか」と追い討ちをかけると、Fさんはふてくされて机に突っ伏してしまいました。これ以上Fさんのために貴重な授業時間を使いたくなかったので、以後Fさんを無視して授業を続けました。

こういう場面での指導は難しいです。Fさんのためを思えばふて寝を認めず徹底的に注意すべきでしょう。でも、そのために授業時間が失われ、教室内の雰囲気が重苦しくなるのでは、Fさん以外の学生のためにはなりません。また、Fさんが指導をきちんと正面から受けて自分の行動を改める学生なら、授業時間を使う意義もあります。しかし、Fさんは昨日のO先生の指導が全く効いていません。単に注意したりしかったりするだけでは、これからも同じことを繰り返すだけでしょう。授業時間外に教室外でじっくり対処すべき問題です。

終業のチャイムが鳴るや否や、Fさんは脱兎のごとく教室を出て行きました。私は後を追いませんでした。発音チェックに来た学生やEJUの相談に来た学生のために時間を使いました。Fさんを見捨てたと言われれば、まさにその通りです。しかし、意欲のある学生を放置してまでFさんを優先しなければならない理由は見当たりませんでした。

明日、このクラスの担当はK先生です。Fさんはどんな態度を示すでしょうか。

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