母は強し

8月13日(水)

レベル1の漢字の授業で「毎」を教えました。中国語では、下半分が“母”ですから、学生たちがよく間違えます。ですから、声を張り上げて「中国の学生、よく見て」と言ってから、ホワイトボードに大きく「毎」の字を書き、注意すべきところを赤で強調しました。これだけ印象付ければ“母”を書く学生はいないだろうと思って学生の教科書をのぞき込むと、Sさんは練習問題の答えにしっかりと“母”を書いていました。

レベル1の学生に私の日本語が通じなかったのか、脳にもペンを持つ指先にも深く刻み込まれた記憶と習慣の影響から逃れるのが難しいのか、ごく自然に“母”になってしまうんですねえ。中級・上級になっても尾を引き続けるのですから、記憶と習慣が主因でしょう。「毎」は作文や例文で何回直したかわかりません。これに限っては、中国人以外の学生の方が、正答率が高いと思います。

正直に言って、「毎」の下半分が“母”でも「毎」と認識できます。「苺」の下半分が“毋”でも「苺」と認識できます。だから、上記私の指導は重箱の隅的こだわりに過ぎないのかもしれません。でも、“末”と“未”も、“己”と“已”も、“申”と“甲”も、“礼”と“札”も別字です。もちろん、“母”と“毋”も別字です。入試の漢字の書き取りでこれらを取り違えたら、文句なし×です。重箱の隅的こだわりが利いている場合もあるのです。

ちなみに、「毎」を漢和辞典で調べてみると、“髪飾りをつけて結髪した婦人”を表した象形文字だそうです。とすると、中国の漢字(日本の旧字体)が本来の姿と言えます。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です