にじゅうなのか

2月6日(火)

先日、ある手続きをするためにコールセンターに電話をかけました。本人確認で生年月日を聞かれました。「はちがつにじゅうしちにち、にじゅうななにちです」と答えると、向こうの担当者は「はちがつにじゅうなのかですね」と問い返してきました。一瞬、何と聞かれたのかわからず、絶句してしまいました。“にじゅうなのか”とは“27日”のことなのだろうかと、落ち着いて考えたくなりました。でも、そこで妙な間が空くと、本人じゃないと疑われそうなので、“にじゅうななにち”とまでダメ押ししているのだから、“にじゅうなのか”は、きっと“27日”に違いないと信じることにして、「はい、そうです」と答えてしまいました。手続きは滞りなく済ませられましたが、“にじゅうなのか”は手続きをしている間ずっと気になっていました。

“7日”は“なのか”です。しかし、“17日”を“じゅうなのか”というだろうかと考えると、私は絶対にNOです。だからこそ、“にじゅうなのか”と言われて意味をつかみかねてしまったのです。日々、学生たちのへたくそな日本語を聞いていますから、私の日本語感覚がそれに害されていて、“にじゅうなのか”という正しい日本語に違和感を抱いてしまったのかと心配になりました。でも、やっぱり、“にじゅうなのか”は変です。

私の電話を受けたオペレーターは、声の感じからすると20代の女性でした。若い世代には“にじゅうなのか”という言い方が広まっているのかもしれないと、インターネットで調べてみました。すると、レアケースであり、ネット上では否定されてはいますが、“にじゅうなのか”と言う人も存在することがわかりました。どころか、某局のアナウンサーがテレビ番組で“にじゅうなのか”と言っていたそうです。そのアナウンサーの言葉遣いを否定する意味で取り上げられていましたから、“にじゅうなのか”は認められていません。

“にじゅうしちにち”は“にじゅういちにち”と聞き間違えやすいです。それを避けるために“にじゅうななにち”と言い換えることは普通に行われています。“にじゅうなのか”と私に聞いてきたオペレーターは、もしかすると、“にじゅうななにち”ではぞんざいに聞こえると思い込み、丁寧語のつもりで“にじゅうなのか”と言ったのかも知れません。強いて考えれば、こんなところでしょう。

“にじゅうなのか”もいずれ日本語の乱れとして認知され、それが日本語の揺れとなり、いつのまにか日本語の一角を占めるようになるのかもしれません。しばらく観察していくことにします。

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