Category Archives: 社会

たかのやま

9月25日(水)

期末タスクの発表会をしました。この日のためにここ1週間、毎日調べ物をしたり発表原稿を作ったりそれを発表する練習をしたりしてきました。その成果をクラスメートの前で発表するのです。

タスクの内容は、数名のグループに分かれて、ある県について調べ、それを発表するというものです。私のクラスは、愛知県、鳥取県、和歌山県、熊本県、青森県が取り上げられました。この中で、愛知県は知らなくても名古屋走っている学生は多いでしょうが、他の県は初めて知ったという学生が大半だったのではないかと思います。

それでいいのです。知ったら、興味を持ったら、さらに調べて、できれば現地に赴いて直接見て聞いて触ってくることをしてもらいたいのです。東京以外は北海道と大阪と京都と沖縄しか知らないのでは、日本に留学している意味がありません。友達の発表を聞いて、日本の多様性に気付いてほしいのです。

学生の聞いている態度を見る限り、自分の担当以外は無関心ということはなさそうでした。何か引っかかるものを見つけたようです。“高野山”を“たかのやま”と読んでしまうなど、不正確な情報もありましたが、津軽弁の動画に笑いこけたり、太平燕の写真に目を輝かせたり、印象に残る情報もあったと思います。

今回は1グループ10分ということだったのですが、どのグループも制限時間を大幅に超えてしまい、発表が終わったのは授業終了時刻を15分もオーバーしていました。でも、誰一人として時計を気にすることなく、最後まで発表に耳を傾けていました。話す方も聞く方も、成長したなと思いました。

さあ、明日は期末テストです。進級がかかります。

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静かな授業

9月18日(水)

私のクラスは期末タスク真っ盛りです。数人のグループになって、各メンバーが与えられた課題についで調べ物をして、それを総合して発表します。昨日から始まったばかりですから、まだ調べ物の段階です。このクラスの学生はよくしゃべるのですが、調べ物の最中は水を打ったように静まり返っていました。鉛筆を動かす音の分だけ、テスト時間中の方がうるさいくらいでした。今どきの学生は、スマホで何かしている時が、一番精神集中できるのでしょうか。

今回のタスクは、ある県についていろいろな角度から調べて発表するというものです。グループ内で役割分担を決めて、各自が調べた結果を持ち寄ってパワーポイントを作り、発表します。もちろん、そこで使うべき(使ってほしい)表現や語彙は、今学期の授業で入れています。ですから、ただ単に調べ物をすればいいという問題ではありません。ネットに書いてあることをそのまま丸写しして発表しても、点数は付きません。それを自分なりに咀嚼して、理解できたことをクラスメートにわかるように伝えるという点に主眼があるのです。

同時に、クラスメートの発表を聞いて、新たな知見を得ることもまた、この期末タスクの目的です。学生が知っている都道府県と言えば、1都1道2府と沖縄県ぐらいでしょう。埼玉県は春に行った川越をピンポイント的に知っているくらいでしょうか。例えば鳥取県などという学生にとって縁遠い県について調べたり、その結果を聞いたりしたら、それはそのまま学生たちの視野が広がることにつながります。

調べ物の最中の静けさが、知的好奇心爆発の前兆現象であることをひそかに祈っています。

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何の名月?

9月17日(火)

今晩は中秋の名月です。しかし、日中の最高気温が33.4度では、到底“秋”とは呼べません。昼間の青空の色はいくらか秋めいてきたかに感じますが、蒸し具合はまだまだ夏です。ですから、中秋ではなく、せいぜい晩夏の名月ですね。明日の朝の予想最低気温は26度となっていますから、熱帯夜で迎える中秋の名月となりそうです。そういえば、ススキは穂を出しているのでしょうか。

昨日、おとといあたりは各地でお祭りが行われました。9月の半ばですから秋祭りのはずなのですが、おみこしを担いだり山車を引いたりする人たちにとっては、熱中症に気を使いながらの夏祭りそのものだったでしょう。私が見かけたお祭りも、大汗かきまくりのまさに夏祭りでした。

しかし、週間予報によると、今週末は最高気温が30度を下回るそうですから、その通りならまさに“暑さ寒さも彼岸まで”です。それでも、平均気温に比べるとだいぶ高いのですがね。10月になったらクールビズが終わって、またスーツ姿に戻ることになっていますが、果たして戻れるでしょうか。夏装束をもう半年延ばした方がいいでしょうか。考えどころです。

今年は本当に異常気象だったと思います。お米をはじめとした農作物の実りはどうなのでしょう。どれもこれも不作となったら、冷害ならぬ“暑害”とでも呼ばなければなりません。すでに、昨年、お米は品質がガタッと下がっていますから、“暑害”は既に顕在しているとも言えます。ある種の魚の不漁も、その一つでしょう。

地球温暖化は、もう戻れない一線を越えてしまったのかもしれません。

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熱帯化

8月31日(土)

台風10号は、潮岬の沖から、三重県、滋賀県、福井県方面に北上しそうな予報が出ています。関東地方へは来ずに低気圧になりそうです。しかし、雨を中心とした影響は、数百キロ離れた関東地方にも及び続けるようです。直撃こそ免れそうですが、油断はできません。

台風10号の元になる熱帯低気圧が生まれたのは、私が福岡を歩き回っていた21日でした。発生の頃は、26日か27日に関東地方を襲うようなことが言われていましたから、福岡のホテルで休校するかどうか判断しなければならないかもしれないと覚悟をしていました。帰りの飛行機が飛ぶかどうかまで心配しました。

しかし、当の台風はのんびりちんたら迷走し出し、九州の南へと向かい、上陸したのは、おととい、鹿児島県薩摩川内市でした。その後も千鳥足の歩みで今に至っています。夏休みが1週間遅かったら、ホテルに缶詰めになっていたかもしれません。

このような台風の進路も地球温暖化の影響だそうですが、私が注目しているのは、日本近海で熱帯低気圧が発生していることです。日本付近においては、寒気と暖気が衝突して発生する温帯低気圧は、四季を問わず佃煮にするほど生まれていますが、高い海水温を必要とする熱帯低気圧は、そう簡単に生まれるものではありませんでした。それが気安く発生するようになったということは、海水面が熱くなっているということです。また、最近頻発しているゲリラ豪雨は、夕立ではなく、熱帯のスコールを思わせます。

仕事の合間に空を見上げると、雲がけっこうな速さで流れていました。今は風も弱く雨も降っていませんが、まだまだ気を抜くわけにはいきません。

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巨大地震注意

8月10日(土)

おとといの夜は、昨日までにしておかなければならない仕事がたくさんありましたから、遅くまで学校に残っていました。私が帰った時間帯は、さすがの丸ノ内線や銀座線も、お客さんの数がだいぶ少なかったです。

そんなわけで、昨日は早めに仕事を切り上げ、学校を出ました。夜7時台の銀座線は、私のような通勤帰りのくたびれた顔と、いかにも夏休みのこれから夜遊びするぞと顔に書いてある若者と、大きな荷物を引きずっているインバウンドと、その他種々雑多な人々が乗り合わせて混んでいました。私は、上野駅の改札口に一番近いドアのそばに立ち、本を読んでいました。

すると、突然、車内あちこちから一斉に、ピロピロピロという少し不快な感じの電子音が鳴り響きだしました。私のスマホも、鞄の中で騒いでいたことでしょう。時計を見ると、午後7時58分。ほどなく電車のブレーキがかかるとともに、「東京地方で震度4の地震が発生しました」という車内アナウンスが入りました。

“巨大地震注意”なる初めての注意呼びかけが出されています。その巨大地震の影響が東京にも及び、震度4になったのかとも思いました。でも、スマホで情報を調べたと思われる人たちが誰一人として騒ぎ出しませんから、おそらく巨大地震ではないのだろうと推測しました。3分ほど止まっただけで、銀座線は運転を再開しました。

上野駅も、JRなど他の電車が止まっている様子もなく、いつも通りでした。こわいのは、マンションです。数年前、大した地震でもないのにエレベーターが止まり、ひどい目に遭いました。まさか今晩も…と湧き上がる最悪の事態の想像を打ち消しながらマンションの1階まで行くと、ちゃんと動いていました。

“巨大地震注意”といっても、気象庁が言う今後1週間に発生する確率は、1%以下でしょう。でも、もともとがppmで表示するような確率だったのが%で議論するようになったのですから、高くなったことには変わりありません。だから、注意するに越したことはないのです。

ちょうどいい機会です。明日は非常持ち出し袋の中身を点検することにします。

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雨が降ると

7月30日(火)

午後、新宿は多少雨がぱらついたので、幾分気温が下がったようです。しかし、湿度が上がったみたいで、外は蒸し暑いことこの上ありません。中途半端な雨は、気温を下げず湿度を上げるばかりで、ご利益はありません。でも、梅雨前線による大雨に見舞われ大洪水になっている東北北部に比べたら、ぜいたくな話です。

先日、天気予報を見ていたら、今年の太平洋高気圧はパワハラ高気圧と呼ばれていると言っていました。あまりに高圧的で、雨雲さえ満足に育たないのだそうです。だからかどうかはわかりませんが、午後の雨も確かに降りましたが、気象庁のデータ上は降水量0ミリです。雀の涙以下ということでしょうか。東北北部は、このパワハラ高気圧の圏外ですから、雨雲が跋扈した結果、大きな被害が発生したというわけです。

学生たちは、そんな弱々しい雨でも、雨が降っていると見るや、職員室へ傘を借りに来ます。いつの間にか、貸し出せる傘がすっかり消えていました。「雨に降られて風邪をひいて欠席しました」などと言われるよりはしっかり傘をさしてもらった方がいいですが、やみそうな雨と降り続きそうな雨って、区別がつかないのでしょうか。学生が大好きなスマホには、そういう雨予報がうるさいほど流れ込んでくると思うのですが。

学生たちの国では、そういう情報が流通していないのでしょうか。「雨雲接近中」などという表示を見て行動を決めるのは、日本人ぐらいなのでしょうか。だとしたら、これも日本文化だよと、学生に教えてやらなければなりませんね。

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安っぽい?

7月26日(金)

「あ、新札だ」。レジを開けた事務のTさんが叫びました。「どれどれ」と、私も新1万円札を見せてもらいました。7月3日の新札発行より遅れること3週間余り、初めて拝見し、触らせていただけるチャンスが訪れました。

パッと見、安っぽい感じがしました。確かに、偽造防止のホログラムに渋沢さんのお姿が浮かびましたが、“子ども銀行券!”というのが第一印象でした。算用数字の10000というのが、その源のような気がしました。

噂によると、ATMでお金をおろすと新札がザクザク出てくるそうですが、まだ当分その必要はなさそうです。先ほど財布の中を見たら、諭吉さんが4人もいらっしゃいました。夏休みぐらいまで行けるんじゃないでしょうか。

学生たちは新札をどう見ているんでしょうか。私自身、新札にお世話にもなっておらず、興味もありませんから、授業で取り上げることもなく、したがって、学生の意見も聞いていません。学生から新札の話題が出てくることもありませんから、私同様、新札を見にしたり手にしたりしたことがないほうが主流なのかもしれません。でも、Tさんが見つけた新1万円札は、学生が支払ったお金である確率が非常に高いです。とすると、学生は案外新札を使っているということも考えられます。となると、いちばん時代遅れなのは、新札を見つけて叫び声をあげたTさんや、そのTさんにわざわざ渋沢さんのお顔を拝ませてもらった私ということになります。

来週は授業の際に例文か何かで使ってみて、学生がどんな反応を示すか観察してみることにします。

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病人の運動

7月16日(火)

急にのどが痛くなったのは、先週の火曜日の授業直後でした。あまりに急だったので、咳払いを何回かすれば思ったのですが、1回やっても2回やっても10回やっても一向に良くなりませんでした。ならばロ龍角散攻勢を仕掛けましたが、敵方の牙城を崩すには至りませんでした。

3連休は、全くの安静というわけにはいきませんでしたが、比較的穏やかに過ごしました。熱いお風呂に入って体を温めて免疫細胞の活性を高め、それよりも至適温度が若干低めの病原菌類の活性を落とし、この差でもって健康を取り戻そうともしましたが、望み通りの結果とはなりませんでした。

午前中の授業を終え、昼休みの進学授業もこなし、午後の化学が終わり、授業の引継ぎも済んだのは5時過ぎ。急いで四谷三丁目にある耳鼻咽喉科へ向かいました。地下鉄1駅分ありますから、さすがに学校から10分では着きませんでしたが、15分後には待合室で問診票を書いていました。

最新の医療機器は進歩しており、医者がカメラを向けると私ののどがモニターに大写しになるのです。自分ののどを初めて見ました。医者に言われずとも明らかに不健康そうな口蓋垂や咽頭の上部が見えました。驚くほかありませんでした。会計を済ませ、処方箋をもらい、うまくすると6時までに学校に戻れるかなというタイミングでした。

ところが。御苑前の出口のところに最近できた薬局には処方箋受付がなく、学校の近くの薬局は、処方箋に載っている4種類の薬のうち1種類の在庫がないので、他の3種類の薬も出せないと言います。処方箋は1枚につき1回(=1店舗)限り有効なので、1種類でも揃えられなかったら、すべての薬がもらえないのです。

これは一般常識なのかもしれませんが、病院から出る薬を飲むなどめったにない私にとっては、初めての出来事で、ただただ驚きました。次に行ったのが全国チェーンの薬局ですが、学校から一番近いところにあった店舗がいつの間にか倉庫になっていました。その次に近い店舗も同じくするがありませんでした。ただし、こちらは、そこから歩いて行けそうな店舗に電話をかけて在庫を確認してくれました。「店の前の道を右に進んで、ファミマの角を、道を渡らずに右に曲がってまっすぐ進んでください」と、店の場所を説明してくれました。

近くにファミマがあったかなあ…と思いながら歩いて行くと、新宿通りの交差点まで行ってようやくファミマがありました。これなら「新宿通りの交差点を…」と言ってもらった方がわかりやすかったです。

そこで4種類の薬を出してもらいましたが、お会計は670円。雨のせいもあり、日没前でしょうが外は夜の雰囲気にたっぷり漬かっていました。御苑の駅から半径500mぐらいを、小1時間歩き回らされたことになります。歩く元気も出ないほど病気が重かったら、薬をもらうのをあきらめたでしょう。

今、日本中で薬が足りないと報じられています。それを強く実感させられました。同時に、この処方箋の制度は、手直しが必要なのではないかとも思いました。

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小池さんの目

7月10日(水)

初級から超級まで、学校全体のカリキュラムを見直そうと考えています。そうすると、例えば縦軸にレベルを配置し、横軸に読解とか作文とか会話とかといった科目を取った一覧表を作りたくなります。そこに各レベルの到達目標なども盛り込んで、作ってみました。

作るのはエクセル上ですから、必要事項を次から次へと書き込んでいくのも、わりと楽です。行も列も簡単に増やせますから、気がつくと、モニター画面の数倍もありそうな巨大な表が出来上がってしまいました。

ところが、全体像を把握しようとすると、かなり縮小しないと画面に入りません。印刷したら、字が小さすぎて、老眼の私には全く読めませんでした。これでは、全体を俯瞰するなど到底無理です。ある科目の初級から超級までとか、最上級レベルの授業内容とか、表の一部を限定すれば見られますが、科目間、レベル間の有機的なつながりを確認したいとなると、せっかくのエクセルですが、力不足です。

都知事選は、結局(予想通り?)、小池さんが当選しました。某大学の研究によると、小池都政は100点満点で34点だそうですが、都民は未知数よりも34点を選びました。小池さんには、他の候補者よりも、都政全体が見えていると都民が感じたからこそ、300万票に近い票が集まったのだと思います。KCPのカリキュラムを都政と同列に扱うなど、烏滸がましいにも程があると言われそうですが、このところそんなことを考えています。

こういう一覧表は、AIにお願いすると、気の利いたのを作ってくれるのでしょうか。

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渋沢栄一登場

7月3日(水)

新しいお札が発行された…そうです。もちろん、私は目にしていません。そういうふうに報道されているので、そうなんだなあと思っているに過ぎません。

私が新しいお札を目にする、手にするのはいつのことになるのでしょうか。考えてみると、この1週間は現金を使っていない気がします。電車はPASMO、買い物はnanacoなどの電子マネーかクレジットカードか“~pay”の類で支払いを済ませています。

先ほど財布の中を見たら、1万円札が6枚入っていました。ずいぶん入っているとお思いの方もいらっしゃるでしょうが、これは、5月に通勤定期を買い替えた後で、現金で定期代を受け取ったからです。その定期代はカードで支払っており、学校からもらったのと同額がすでに口座から引き落とされています。赤ちょうちんにでも入れば現金払いなのでしょう。でも、私はお酒を飲みませんから、そういうチャンスもありません。現金は、nanacoなどにチャージする時や、チケット屋さんで安売りの図書カードを買う時ぐらいしか使っていないんじゃないでしょうか。、

こんな調子ですから、銀行でお金をおろすこともあまりなく、だから、新しいお札にお目にかかるのは、しばらく先になると思います。でも、早く見てみたいという気にもなりません。お金は欲しいですが、それがお札の形である必要はありません。

40年前、福沢諭吉初登場の時は、現金払い以外ありませんでした。20年前、今までのお札が出た時は、クレジットカードを使っていましたが、財布の中の1万円札が2か月も変わらないなどということはありませんでした。20年後、今度の新札が旧札になる時は、お札を使っているのでしょうか。渋沢栄一のお札が最後のお札になるという話もあるそうです。

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