選択授業の前に

4月21日(火)

今学期は選択授業の曜日に初級クラスに入っているため、先週の木曜日から始まっている中級以上の選択授業もどこか別世界の出来事のように感じられます。3年前に選択授業が始まってから、毎学期何らかの形でかかわってきましたが、完全に外れるのは初めてです。

初級はみんなで一緒に基礎固めという発想で、選択授業は設けていません。どういう進路にせよ必須で身に付けておかなければならない日本語を勉強しているのが、KCPで言えばレベル1から3までです。やはり「みんなの日本語」は疎かにはできません。また、逆に言うと、「みんなの日本語」の文法を確実に使いこなせれば、入試の面接だって小論文だって怖くはありません。

そうやって築いた基礎の上に、レベル4以上で自分の夢に手が届くような楼閣を組み立てていきます。どんな楼閣にするかは各学生次第ですが、基礎がいい加減だったらまさに砂上の楼閣になり、夢はついえてしまいます。

ところが、学生たちは無理をしたがるんですよね。少しでも早くという気持ちはわかりますが、「急がば回れ」とか「急いてはことを仕損じる」とか言いますから、無理を重ねて見切り発車じゃ、留学が将来の肥やしにならなくなってしまいます。

その無理をしたがる学生の気持ちに付け込むような学校が、最近増えてきたように思います。青田買い的に日本語が未熟な学生を集めて、いったいどういう教育をしているのだろうという学校です。教育は安売りすべきではありません。高等教育はちょっとお高く止まっているくらいでちょうどいいのです。大衆化、国際化と言えば聞こえはいいですが、その実が学生の頭数合わせや入学金稼ぎだったら、羊頭狗肉もはなはだしいです。

学生たちには夢を叶えてほしいです。でも、日本で夢を叶えようというなら、日本語の基礎をつけてからですよ。

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