Category Archives: 進学

望まれて

12月1日(水)

午前中は、初級の学生向けに数学の受験講座をしました。全員オンラインの学生で、来年6月のEJUを目指しています。

授業が終わったところで、ZさんがY大学に合格したと報告してくれました。海外での直接募集に応募し、見事に試験に通ったのです。「おめでとうございます」なんですが、そうすると、来年の4月にはY大学に行ってしまいますから、もしかすると生のZさんには会えずじまいになってしまうかもしれません。

岸田首相の決断で、昨日から外国人の新規入国が全面的に認められなくなりました。Zさんもうまくすると来年2月ごろに入って来られることになっていたのですが、全外国人の入国が最低1か月差し止めで、しかも長期間待っている順番に入国ですから、Zさんが日本へ来るのは早くて来年3月ではないでしょうか。すると、進学先の決まっているZさんは、KCPで対面授業をほとんど受けることなく卒業してしまいます。何かの事情で予定が送れたら、オンライン授業だけで卒業ということになるかもしれません。

Zさんは、大学進学後にもらえる奨学金について質問してきました。Zさんのような場合どうなるかよくわかりませんでしたから、調べてから答えることにしました。職員室に戻ってからすぐ調べてメールを送ると、私からのメールを待っていたのか、すぐに返信が来ました。Zさんにとっては色よい回答ではなかったのに、きちんとお礼の言葉が書かれていました。それも、正しい日本語で。

こういうちょっとしたやり取りをおろそかにしないあたりに、Zさんの人間性を垣間見ました。こんなちょっとしたことがさらっとできるなら、ZさんはY大学で将来の財産になる人脈を築いていけるでしょう。それは、Zさんの周りの日本人学生に大いに刺激を与えるに違いありません。Y大学が欲しがるわけです。合格は、当然の結果です。

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来訪者

11月26日(金)

専門学校の方が2人お見えになりました。11月も末となると、学生募集のはかどり具合が心配なようです。こちらも、「どんどん学生を送りますよ」と申し上げたいところですが、そもそも進学予定の学生がいません。先様のお話はお聞きしますが、景気のいい返事はできません。

肝心の学生たちはどうかと言えば、動きの活発な学生とそうでもない学生と、差がついています。大学院を中心にすでに合格を決めた学生がいる一方で、「進学」と言っているだけで何もしていないに等しい学生もいます。原因の1つは、入管の特例措置です。来年3月で日本語学校在籍期間が2年になる学生のうち、少なからぬ数の学生が、所定の時期から大幅に遅れて入国したため日本語能力が十分に伸ばせないうちに卒業期を迎えてしまいます。期間満了としてそのまま卒業させたら日本語力が足りないまま高等教育機関に放り出すことになります。これでは、学生自身にも、一緒に勉強する日本人学生にも悪影響が生じかねません。ですから、日本語学習に集中できる期間を1年延ばしてもいいことにしようと考えたようです。

それはありがたいのですが、学生の中には志望校に落ちたらもう1年KCPで勉強しようと考えている人もいます。また、一刻も早く出たいと思っている人もいます。これから、そのあたりの駆け引きが強まるんじゃないでしょうか。そうなると、進路指導も一筋縄ではいきません。

もうすぐ入学試験という学生もいます。Zさんもその1人で、あさって、オンライン面接が待ち受けています。授業後、最終の面接練習をオンラインでしました。本人は心配でならないらしく、自分の持っているスーツの布の材質があまりよくないのだが、今から買い直す必要があるだろうかなんていうことまで聞かれました。Zさんには、延長などということなく進学してほしいです。

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文法の向こう側

11月15日(月)

明日が中間テストですから、中級クラスの文法は復習兼まとめの授業でした。問題をさせて答え合わせをすると、次から次と質問が出てきました。例文を作る問題では、こういう文はどうかという声がそこかしこから上がりました。中には的外れなのもありましたが、概して鋭い質問、本質的な疑問でした。また、いくつもの文法項目を勉強したからこそ出てくる、微妙な違いを問う学生もいました。

文法は平常テストもやっていますが、本格的に振り返るのは中間テストが絶好の機会です。勉強を積み重ね、スパイラルに実力を向上させ、前の学期までに習ったことも含めて俯瞰できるようになったため、今まで気づかなかった疑問点が浮かび上がってくるのです。成長痛と言いましょうか、知恵熱と言いましょうか、力がついたからこそわからなくなることもあるものです。それを解決し、その壁を乗り越えた向こう側に、上級の地平が広がってくるのです。

午後、A大学のオンライン説明会に参加しました。そこで強調されたのは、コミュニケーション力です。入試の面接でコミュニケーション力を見る、入学後の授業でコミュニケーション力を伸ばすというように、ゼミに入る時点で日本人と議論ができるコミュニケーション力を持たせるとのことでした。コミュニケーション力のない学生は、例えば、協働して勉強を進める同じグループの学生にも悪影響を及ぼします。そんなことにならないように、大学側でも特に力を入れていると言っていました。

そういう話を聞くと、今学期前半の勉強内容の復習で妙に感心しているばかりではいけません。それは確かに進歩ですが、満足なレベルとは言い難いです。今の勉強は、進学してからの、留学本来の目標を達成するための土台です。この上にコミュニケーション力という前線基地を築くのです。

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終わりは始まり

11月13日(土)

明日が11月のEJU本番ですから、私が担当している受験講座の大半は今週までです。来週から暇になるかと言えば、決してそんなことはありません。今年は先学期から超過密スケジュールでしたから、仕事の積み残しや先送りがたくさんあります。まず、それをどうにかしなければなりません。そして、気が付けば11月中旬、受験シーズンたけなわですから、面接練習などが待ち構えています。

来週は、受験講座の資料の補修をします。不都合な箇所は見つけ次第直してきましたが、そろそろ全体調整をしなければなりません。科目によっては、資料そのもののリバイスも必要です。受講生にわかりやすい資料をと心掛けていますが、盛りだくさんになり過ぎている面もあります。また、EJUの模範解答も、スマートな解き方を見つけた問題がありますから、手を入れていきます。

進学資料の改訂も、今年は遅れてしまいました。必要最低限の資料やデータは揃えてありますが、学生を志望校に押し込むには、もうひと頑張り必要です。

日本語教師養成講座の教材作成も急がなければなりません。私が担当する諸々の科目間の調整を進めて、有機的に関連付けていきます。私は、養成講座の最大の役割は、日本語教師としての思考回路を形成することだと思っています。受講生の脳みその中に、普通の日本人とは違う、日本語教師特有の語彙や文法や発音などのネットワークを構築するお手伝いをするのが養成講座なのだという考えで講義をしています。そういうポリシーに照らし合わせて、講義や資料を見直します。

要するに、年末まで暇にならないということです。

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首の皮一枚

10月27日(水)

秋が深まるとともに、出願もたけなわとなってきました。そうすると毎年のように問題になるのが推薦の扱いです。大学の指定校推薦は募集人数も少なく、かなり厳しい基準が設けられていますから、私たちが面接して、学校として推薦する学生を決めます。そうやって厳選したつもりでも、指定校推薦で合格が決まった学生が不行跡を重ねる例が皆無とは言えません。

専門学校の場合、大学の指定校推薦に近い推薦制度を有している学校もありますが、出願に必須の書類として推薦書を挙げている学校が、もしかすると大多数と言ってもいいかもしれません。専門学校の心中を勝手に想像すると、通っている日本語学校との間に、推薦書を書いてもらえるくらいの関係が築けていれば、うちの学校に入ってからも大きな問題を引き起こさないだろうと考えているのでしょうか。逆接的に、推薦書すら書いてもらえないような学生は、相当質の悪い学生だという判断なのかもしれません。

多くの学生が引っかかるのが、出席率です。Oさんはかろうじて出席率の基準をクリアしました。ほぼ全学生が、レベルが上がるにつれて出席率は下がりますから、かろうじてクリアということは、初級の頃の貯金で滑り込んだということです。直近の数値ではアウトです。また、例年ならビザ更新後の出席率も考慮するのですが、Oさんも含めて、今年はビザ更新をした学生がほとんどいません。Oさんはこの点でも救われています。

このまま推薦したのでは相手方に対して不誠実です。ですから、Oさんには今後出席率が基準を下回るようなことがあったら、出願校に連絡して推薦を取り消すという条件を付けることにしました。

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戦略

10月16日(土)

M先生から、今学期受け持つことになったOさんが志望校として超難関大学ばかり挙げているけれども、どうしたらいいだろうかと相談を受けました。Oさんは、先学期、私のクラスの学生でした。まじめでおとなしい学生で、成績はクラスの上位でした。6月のEJUでは上級の学生と比べても遜色のない成績でした。しかし、その成績をもってしても、Oさんが受けようとしている大学では、勝ち目の薄い戦いとなりそうです。

まず、Oさんはどこまで本気でこれら超難関校を志望校としているかです。何が何でもこのうちのどこかに入りたいというのなら、これ以外の大学には絶対行きたくないというのなら、玉砕覚悟で受験するほかありません。来年3月で受験が終わりではなく、長期戦に及ぶかもしれません。2浪か3浪してもいいのなら、絶対に手が届かないとも限りません。

もう少し事態を俯瞰して、自分の将来を支える学問をするために留学したのだと考えるなら、超難関大学に拘泥しなくてもいいはずです。将来Oさんが帰国して就職するときに、日本の超有名校の卒業証書が必要だというのなら、石にかじりついてでもそこに入らなければなりません。しかし、それはレアケースではないでしょうか。

大学研究が進んでいないとも考えられます。Oさんの志望校は誰もが憧れる大学ばかりです。Oさんの勉強したいことが勉強できる大学は、その大学だけではないはずです。調べていけば、掘り出し物の大学が現れるに違いありません。名前を聞いたことがある大学を志望校にしているだけだとしたら、たとえ学力があっても、面接は通りません。

1年前にOさんと同じような志望校を言っていたSさんやTさんは、すでに勝ち目のある戦いに切り替えています。Oさんも、今ならぎりぎり間に合いますよ。

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気分一新

9月30日(木)

午後から校舎内の整備をしました。昨日の期末テストで授業がすべて終わったので、オンライン授業で使った教室内の小道具を回収したり備品の点検をしたりしました。私は、各階の掲示板から期限切れのポスターなどをはがしました。

毎日学生が来ていれば、無関心なように見えて、意外なほど学生たちは掲示板を見ています。掲示物の内容について問い合わせが来ることも珍しくありません。ですから、教師の掲示物には気を配っていて、大学などからポスターやチラシが届いたら、最新情報として掲示しています。教室の掲示板に貼った方がいいものは、時にはコピーを取って、学生の目に触れるようにしています。どの階の掲示板に貼るかにも、気を配っています。大まかに大学院の階、大学院の階、専門学校の階と決まっていますが、オープンキャンパスの案内などは大学に階に貼るか大学院の階に貼るか悩むところです。

その掲示板、今学期は8月から学生が登校しなくなりましたから、ほったらかし状態でした。1つずつ見ていくと、高校の夏休みに時期に行われたオープンキャンパスのチラシなど、過去のものとなった掲示物が至る所に貼られていました。期限切れだらけと言ってもいいくらいでした。土砂崩れか何かで不通になって、さびて赤茶けてしまったレールを見ているようでした。そういうのを全部取り去ったら、掲示板がすかすかになってしまいました。

さて、明日から緊急事態宣言が解除され、新学期からは学生も登校します。最新の情報で飾った掲示板で学生たちを迎えます。ピカピカの新品のレールで、学生を志望校に送り込みたいです。

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特例措置はあるけれども

9月29日(水)

Cさんは、書類上のKCP入学は去年の4月ですが、実際に入国できたのは去年の年末、日本語の勉強を本格的に始められたのは今年になってからです。本来ならもう上級にいてもおかしくはなく、今ごろは受験準備に忙しいはずです。しかし、上述のように勉強のスタートが大幅に遅れてしまったせいで、6月のEJUでは思うように点が取れず、結局来年4月の進学はあきらめました。入管の特別措置の恩恵にあずかり、もう1年KCPで勉強してから進学することにしました。

今学期のCさんは欠席が多かったです。出席率がガタッと下がってしまいました。原因ははっきりしています。ワクチン接種の副反応です。暑い盛りの頃に2回の接種を済ませたのですが、それからというもの、なかなか本調子が戻りません。これもまた、進学を遅らせた理由の1つになっているようです。

私はCさんのクラスは担当していませんが、Cさんは理科系志望ですから、受験講座で接点があります。やはり、学期の後半は精彩を欠いていました。欠席もしましたから、各科目どこかしらに抜けがあります。この調子で11月のEJUを受けても、結果はあまり期待できません。漢字の国出身ではありませんから、読解、聴解・聴読解でも苦労していると、EJU対策担当の先生がおっしゃっていました。

Cさんの進学は、おそらく23年4月になるでしょう。つまり、ここで3年間足踏みすることになります。若い時の3年を受験勉強に費やすというのが、Cさんの今後の長い人生にどんな影響を及ぼすでしょう。全国の日本語学校にCさんのような学生が大勢いるに違いありません。海外留学を目指している日本人学生の中にも同じような思いをしている人が少なくないと思います。

新しい首相は岸田さんになりそうです。何となくパッとしませんが、勉強しようと思っている若者が思う存分勉強できる環境を整えてください。

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潮時?

9月15日(水)

Lさんが今学期いっぱいで退学します。Lさんは4月にKCPに入学したものの、来日できずにオンラインで授業を受けています。まじめで積極的で好感の持てる学生です。来日したら、ぜひ実際に会って話をしたいと思っていた学生です。

理由は明快です。来日できる見通しが立たないからです。来年4月の大学進学を目指していましたが、この分では本当に進学できるかどうか全然見えませんから、国で進学することにしたとのことです。Lさんほどの学生が熟慮の末に至った結論なら、残念ですが、受け入れるしかありません。

国で進学するにしても、Lさんは大学での勉強開始が1年遅れてしまいました。日本語力は確実に伸びましたから、この半年間がまるっきり無駄だとは思いません。Lさん自身、大学は国だけど、大学院は日本でと考えているようですから、先行投資だと思えないことはありません。でも、本当のところ、どうなんでしょうね。

去年のように11月ごろに入国可能になるかもしれません。ですが、それは希望的観測に過ぎず、それを根拠にLさんを強く引き留めることはできません。Lさんも、そういうことも勘案して、ぎりぎりの判断をしたに違いありません。だからこそ、その決定を尊重したいです。

Lさんのように、人生設計を立て直さなければならない留学生が大勢いることでしょう。日本の政府は何をしてきたのだろうと思わずにはいられません。未必の故意とまでは言いませんが、ベストかそれに近い手を選んできたのだろうかと、疑いの目を向けたくなります。

その政府の頂点に立つことになる人を、選挙の顔という、個人の都合のレベルで選ぼうとしている人たちが暗躍しています。Lさん、日本へ来るのは4年後ぐらいがちょうどいいかもしれませんよ。

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お呼びがかかる

9月9日(木)

今年度になってから、いくつかの地方自治体から留学生向けの進学説明会の案内が届いています。何年か前からお付き合いしているところもありますが、今年初めてというところがほとんどです。何とかして留学生を呼び込みたいのでしょう。

地方の大学は学生を集めにくいという面はあると思います。ただし、最近の報道によると、減ったとはいえ感染者数が桁違いに多い東京に出るのが不安で、地元での進学を希望する高校生が増えているとも言います。18歳人口が減り続けることを見越して先手を打とうとしているのかもしれません。

多様性という観点から留学生の募集に力を入れているとも考えられます。少し前になりますが、ある地方都市を旅行で訪れた時、「大学を誘致することで毎年XX名の学生が入ってきて、留学生も何名か住むようになる」というポスターが街の一番にぎやかなところに貼られていました。わざわざ留学生のことが書かれているという点に期待の大きさを感じました。

さて、当の留学生たちですが、あまり関心を持っていません。大学だとランキングが気になるでしょうが、大学院は研究内容優先ですから、少しは目を向けてもいいと思います。しかし、そういう学生の話は私の耳に届いていません。地方の大学に進学した卒業生に聞くと、特に国立大学の学生は、地元の人から尊敬されるそうです。留学生なら、それに輪がかかります。また、稀有な経験をしたいのなら、東京じゃなくて地方でしょう。日本らしさを感じたいのなら、やはり地方です。東京は、国際的すぎます。

地方のお話を聞いていると、私が行きたくなります。その地方ならではの研究をしてみたです。私の代わりに行ってくれる学生を探しています。

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