Category Archives: 進学

オンライン説教

1月20日(水)

授業後、Kさんを残して説教。担任のO先生に頼まれて、不行状を追及しました。Kさんは3月卒業なのですが、まだ進路が決まっていないのみならず、出席率もいいとは言いかねる数字です。このままでは、3月末に帰国せざるを得ません。

一番悪いのは、本人に切迫感がないことです。出願校を言わせた時、私が聞き取れなかったんですからねえ。自己流の発音ですから、面接官に伝わる可能性はゼロです。それに加えて、文法や語彙の間違いもひどすぎます。聞き手が理解できないような間違え方ですから、致命傷になりかねません。そんな耳を覆わんばかりの日本語をへらへら笑いながら言っているのですから、切迫感ゼロどころかマイナスです。

オンライン授業もカメラをオフにして受けていますから、自分の部屋で何をしているかわかったものではありません。そういう点を指摘しても「ちゃんと聞いています」と反論します。しかし、授業中に指名すると「先生、問題は何ですか」とか「どこを読みますか」とか聞き返しますから、授業に集中していないことは明白です。

出席率だってそうです。「卒業式まで毎日出席しますから大丈夫です」の一本槍です。面接で「どうしてこんなにたくさん休んでいるんですか」と聞かれたら、今のKさんでは何も答えられないでしょう。欠席するたびに自分の将来への窓を狭くしてきたということに、今もって気付いていないようです。

かなり厳しく対処したつもりですが、画面を通しての説教となると、隔靴搔痒の感がかなり強いです。これからは、オンライン説教にの技術も磨かねばなりません。

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何をどうすれば

1月16日(土)

ZさんがY大学に合格しました。Zさんはいろいろな大学を受けましたが、その中で最難関と考えられたのがY大学でした。もちろん、本人にとっては第一志望の大本命です。

Zさん自身から報告を受けたときは、「おめでとう。よくやった」と祝福し、努力をたたえました。私もうれしいのですが、落ち着いて考えてみると、どうしてZさんがY大学に受かったのか、さっぱり見えてきません。EJUの成績がずば抜けてよかったわけでもありません。何回も何回も面接練習をしましたが、最後の最後まで話し方にぎこちなさが残りました。自分で答えを用意してある質問にはスムーズに答えられますが、そうでないことを聞かれるとしどろもどろになっていました。さんざん指導しておいてこんなことを言うのは無責任ですが、勝ち目は薄いなと思っていました。だから、Zさんが受かった要素が思い浮かばないのです。強いて言えば、Zさんは面接で質問されたことを覚えてきて教えてくれましたから、本番の面接ではさほど緊張せずにふるまえたのかもしれません。

何がよくて受かったのかわからないと、Zさんの合格を次の年度の指導に生かせないのです。確かに、私はZさんの受験指導をしました。だから、ZさんのY大学合格について貢献度がゼロだとは思っていません。だけど、結果的にどういう貢献をしたのか、私自身にもよくわからない点が、もどかしい限りなのです。LさんのK大学合格にも、同じようなものを感じています。

午後、まだどこにも受かっていない学生3名の進学相談をしました。この期に及んできれいごとばかり並べるつもりはありません。励ましつつもかなり厳しいことも言いました。「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」と言います。負ける要素を1つずつつぶしていくことで、道を切り開くしかありません。

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決死隊

1月14日(木)

国内で新型肺炎の感染者が見つかってから、明日で1年になるそうです。当時、専門家が提示したシナリオのうち、最悪ではありませんが、それに近い道を歩んでいるのが今の日本です。世界的に見てもそうかもしれません。すでに世界人口の1%以上が感染しているのですから。

Kさんはまだ進学先が決まっていませんが、感染が怖くて外に出られないそうです。授業はオンラインですから心配ないのですが、進路指導となると対面でないと都合が悪い場合もあります。大人の事情で紙で見せざるを得ないデータや電子的にやり取りできない情報もあれば、学生の顔色を見ながら話を進めた方がいいことだってあります。Kさんのような土俵際の学生には、そういったものまで総動員してあれこれ決めていかなければなりません。それがどうしてもいやだとなれば、帰国しか道はありません。

感染者が増え始めたころ、「正しく恐れる」ということとがよく言われました。大勢でフグをつついた政治家はなめすぎであり、Kさんは恐れすぎです。精神的に逃げている気もします。緊急事態宣言をいいことに、受験から目を背けているんじゃないかな。Kさんの日本での進学が緊急事態に陥っていることに、気付いていないわけがありません。でも、それに立ち向かおうとしていません。

最終的には、土曜日に学校へ来ることになりました。そこでじっくり話し合い、方向性を決めます。Kさんは決死の思いで来るでしょうから、その思いに見合うだけの成果を持たせたいです。

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追い込まれて

1月13日(水)

年が明けてから、まだ進学が決まっていない学生が急に焦りだしました。こちらが口が酸っぱくなるほど志望校のランクを落とせと言ってきたのに聞く耳を持たなかった学生たちが、青菜に塩みたいな顔で相談を持ち掛けてきます。ついこの前まで進学準備は自分でやるから干渉するなと言わんばかりの態度でしたが、今や無条件降伏状態です。もはや、プライドも何もありません。

進学指導の教師は、かかりつけ医的な面があります。ずっと健康状態を見てきて、カルテも内容が充実していて、お互いの間に信頼関係があれば、的確なアドバイスもできます。うるさいほど相談に来る学生には、こちらもかかりつけ医になれます。しかし、我が道を行っていた学生に突然来られても、これまでの状況把握から始めますから、一見さん扱いといったところでしょう。

だれにも頼らずに生きていける人なんて、世の中にほとんどいません。また、頼るべき人を間違えて取り返しつつかないことになった例は、枚挙にいとまがありません。毎年のことですが、この時期になると、もっと早く相談してくれたらと苦い顔をしてしまう日が続きます。今シーズンは、これまでにない特殊な受験環境でしたから、とにかく先手必勝と訴え続けてきました。しかし、それが伝わらなかったんですねえ。

いや、伝わった学生もいます。そういう学生は、今、緊急事態宣言でどこへも行けないのが残念だなどと、余裕をかましています。Ⅱ期やⅢ期で同じ大学を受けようとしている学生に、面接の手ほどきをしてあげようなどと言っている学生もいます。

信ずるものは救われる…としたいものです。

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危機感

1月7日(木)

GさんはすでにN大学、K大学を受験し、今週末にM大学の試験を控えています。3大学とも、合格発表は来週から再来週にかけてです。それ以外の大学は出願もしていませんから、全滅だったらどうするのかと聞いたところ、自分のEJUの成績で受かりそうな国立大学に出願すると言います。

Gさんは真面目な学生なのですが、のんきだというか、要領が悪いというか、動きが鈍い面があります。本当はT大学にも出願するはずでしたが、「必着」に間に合わずに受け付けてもらえませんでした。国立出願にしても、Gさんが行きたいと思っていたS大学は、昨年のうちに出願締切でした。Gさんが出願締切日だと思っていたのは、入学手続き締切日でした。

これは危ないと思い、M大学の面接練習よりも先に、国立大学はどこに出願するかという進学相談をしました。Gさんは東京か東京に近いところの大学がいいと言っていましたが、何が何でもそれにこだわっているわけでもありません。GさんのEJUの成績をもとに、そういうことを加味して、これから出願できる国立大学をいくつか選びました。あとは、Gさんが自分で詳しく調べて、最終決定します。

そもそも、GさんはN大学、K大学、M大学のどこかに受かるつもりでいます。うわさで知ったK大学の合格最低点が自分のEJUの点数よりも低いことから、妙な自信を持っています。ですから、その3大学の不合格最高点を示して危機感をあおり立て、他の大学への出願を本気で考えさせました。M大学の試験が終わったら、本当の意味でのすべり止めを考えさせて、出願に結び付けなければなりません。まだまだ先が長いです。

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ある退学

12月22日(火)

毎学期、期末テストを限りに学校を辞める学生がいますが、今学期はRさんもその1人となりました。表向きはコロナの感染者が増えてきたからということになっていますが、実情は進学をあきらめたからです。

実は、昨日、EJUの成績をもらった後、私のところへ相談に来ました。日本語の成績が思わしくなく、Rさんが考えていた国立大学に手が届きそうもありません。他の科目も、日本語の成績が同じくらいの受験生に比べればよく取れていますが、どんな学生と比べても抜群に素晴らしいかといえば、そんなことはありません。Rさんの持ち点でどうにか勝負できそうな大学名をいくつか挙げたところ、考えてみますとのことでした。そして、一晩考えた結果が、退学だったというわけです。

言っても詮無いことですが、6月のEJUが中止になったのが痛かったです。そこで痛い目に遭って軌道修正ができていれば、どうにか希望がつながったかもしれません。目標への道のりのどの辺まで来たかつかめず、このままでいいのだろうかという気持ちもあったことでしょう。そのせいでしょうか、6月以降、Rさんは焦りが目立ち、精神的にきつかったようです。私たちも力になろうとしましたが、Rさんに必要だったのは、家族の力だったようです。少々前ですが、そういう意味のことをぽろっと漏らしていました。

Rさんは国で進学するようですが、形の上では2浪です。辛い選択だったに違いありません。「外国での生活の経験を生かして…」などと口で言うのはたやすいですが、その生かし方もよくわからないのではないでしょうか。私の手を離れてしまったら、私には祈ることしかできません。でも、精一杯、Rさんに幸あれとお祈りします。

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休みだけど

12月21日(月)

昼(といってもかなり夕方に近かったですが)に外に出ると、門松が据えられていました。なんだかわけのわからないうちに2020年が暮れようとしていますが、新しい年が近いんだなあと思いました。

明日は期末テストで、その後、学生たちは休みに突入します。その前に進学クラスの学生の気持ちを引き締めてほしいと頼まれました。そのクラスはまだ行き先が決まっていない学生がほとんどで、正月休み返上でどうにかしないと、卒業式が来てもどうにもなっていないかもしれません。

「楽あれば苦あり、苦あれば楽あり」です。今楽しんでしまうと、後で苦しくなります。今は苦しくても、後で楽しい時が必ず来るものです。そういう思いを学生たちに訴えました。

盛んにうなずいている学生もいれば、線がつながっているとは思えないような顔つきの学生もいました。でも、ここで楽に走ってしまうと、卒業式には別の意味で涙を流さなければならなくなります。旧正月を祝う習慣の学生たちには、1月1日の正月返上はさほどでもないでしょう。だから、ここで精いっぱい踏ん張って、自分たちの正月を心から祝えるようにしてもらいたいです。その時期にも決まっていなかったら、もちろん、旧正月もへったくれもありません。日本人の受験生だって元日から勉強するのですから、留学生も負けてはいけません。

週末に届いたEJUの成績を渡しました。毎度のことながら、悲喜こもごもです。今シーズンはここにきて独自試験を中止する大学が出てきています。“悲”の学生をどうフォローしていくか、私たち教師も、“苦”がしばらく続きます。

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2つの志望理由

12月17日(木)

朝一番で、SさんのT大学の志望理由書がメールで届きました。読んでみると、先週あたり添削したU大学の志望理由書と内容がずいぶん違います。勉強したいことが全然違うのです。どの大学も全く同じ志望理由書というのも芸がありませんが、大学ごとにやりたいことがそれぞれ違うというのも困りものです。

どうやら、T大学とU大学の入りやすい学部学科を狙っているようなのです。こういうのを「嘘も方便」というのかどうかわかりませんが、なんだかデータに振り回されているような気がします。いや、データというほど客観的ではなく、噂を信じて右往左往しているというのが実情かもしれません。

受験は他の受験生との戦いです。だから、戦略的に動くことも必要です。国立大学の一斉試験日にどこを受けるかなどは、その選択が明暗を分けることだってあります。Ⅰ期とⅡ期の試験日程がある場合、Ⅰ期のほうが入りやすいことは広く知られています。こういう選択の場面でどちらを選ぶか戦略だと思います。

「受かりやすい」が第一の理由で受験校・学部・学科を決めるのは、戦略の範疇には入らないのではないでしょうか。そこに自分がなさすぎます。大学で何を学ぶかによって、その人の人生が決まることだってあります。「入れそう」だけで志望校を決めたら、一生悔いを残すことだってあるでしょう。

でも、今のSさんにこういう意見は響かないに違いありません。弱気の虫に取りつかれ、ごく狭い範囲しか見えなくなっています。焦りが前面に出ていて、冷静さが失われています。教師とはしては、一番指導が難しい場面です。T大学とU大学の志望理由が、Sさんの頭の中では1本筋が通っていることを祈りましょう。

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覚悟はよろしいか

12月16日(水)

進学コースの新入生に対して、来学期の受験講座のオリエンテーションをしました。今学期は新入生が来たおかげで、久しぶりに午後の教室がにぎやかになりました。来日し授業を受け始めた時期がばらばらだったため、今までは受験講座がありませんでしたが、来学期は早々に再開する予定です。そのためのオリエンテーションを行ったというわけです。

今学期まで受験講座を受けていた学生たちは、みんな卒業・進学しますから、来学期からの受験講座はメンバーが完全に新しくなります。先輩がいない状態で講座が始まります。新しい学生たちは、先輩の体験談を聞いたり、奮闘ぶりを間近に見たりするチャンスがないので、その点はちょっと気の毒です。

でも、何より気の毒なのは、新入生たちは時間がないことです。全員22年3月に卒業ですから、それまでに進学先を確保しなければなりません。今、レベル1の学生は、来年6月のEJUの時にせいぜいレベル3です。その日本語力で高得点を挙げるのは、至難の業です。それでも夏以降の入試に立ち向かうことが求めなれるのです。入試の際の面接では、日本語で面接官とコミュニケーションを取らなければなりません。

私が担当する理科を取りたいという学生も数名いました。1月から6月までのわずかな期間で実力を付けさせるにはどうしたらいいでしょう。私の目の前でオリエンテーションを聞いている学生たちの顔を見ながら、そんなことも考えていました。こちらも腹をくくりますが、学生たちにも相当な覚悟を求めることになりそうです。

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2年ぶりぐらいかな

12月11日(金)

久しぶりにレベル1の授業に入りました。待機期間明けの新入生がぽつりぽつりと来始め、レベル1のクラスを増やすにあたり、私も駆り出されたという次第です。

今学期の新入生は、日本の入国制限によってなかなか日本へ来られず、散々じらされた挙句にホテルに来日後2週間も監禁され、どうにかこうにかKCPの教室にたどり着いたという学生たちです。そのためなのか、勉強しようという意欲は今までの新入生よりも強いと感じました。途中の休憩時間には、今までの勉強で疑問に思っていた事柄を、一斉に質問してきた感がありました。日本語の勉強に飢えていたんだなあと思いました。

生の日本語が聞ける楽しみもあるのでしょうか。発音練習、リピート、コーラスもまじめにやっていました。でも、耳が遅れていること、口が回っていないことは覆うべくもなく、発音のやり直しや、私が学生の言葉が聞き取れずに聞き返す場面も少なくありませんでした。

何でも吸収しようとする、教師にとっていい学生たちではありますが、実力の絶対値は知れたものです。大学進学希望の学生たちは、来年の6月、まだ初級の段階でEJUを受けなければなりません、その成績を持ち点として、来年の今頃ぐらいまでの入試を戦うのです。なんともつらいものがあります。

他の日本語学校も似たりよったりだとすると、存外、日本語力の伸び代を高く評価してもらえて、今私が考えているよりも好ましい結果が得られるかもしれません。来週は、来学期の受験講座の説明会があります。この教室の学生たちも参加します。

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