下町の甘夏

5月25日(木)

私は酸っぱい柑橘類が好きで、この時季は甘夏を毎日1個ずつ食べています。ところが、最近は伊予柑の勢力が年々強まり、また、新しい柑橘類が次から次へと出てきて、うちの近くの店では甘夏が手に入りにくくなっています。伊予柑も悪いとは言いませんが、私には甘すぎます。新しい柑橘類も、最近の商品開発の傾向からすると、おそらく甘夏より甘いでしょうから、積極的に手を出す気にはなれません。レモンをバリバリ食べたいくらい酸っぱい柑橘類が好きですから、本音で言うと甘夏だって私には甘いのです。

そんな甘夏ですが、学校の近くの八百屋さんに、みずみずしいのが手ごろな値段で置いてあるので、ここ2、3か月、よくそこで買っています。ゆうべ1個食べたら残りが2個になったので、そろそろ買っておかなきゃと、お昼のついでにその八百屋へ行きました。いつもの場所にあった甘夏を2ネット取ってレジへ持って行くと、「こちらはいつもお買いになるのと違いますよ」とレジの店員さんに言われました。よく見ると2ネットのうち1つは紅甘夏という種類のもので、確かに私がいつも買っているのと違っていました。

ですが、私は店員さんが私の顔を覚えていることにびっくりしました。私はその店員さんの顔に見覚えがありませんでした。道であって挨拶されても、キョトンとするだけでしょう。商売人は客の顔を覚えるのが基本だと言いますが、気配を消してろくに口も利かずにお金だけ払って出て行く客の顔まで覚えているものかと、驚きかつ感心しました。

同時に、見られていないと思っていても見られているのだなと思いました。「見られている」というと「監視されている」といった悪い意味にもなりえますが、「見守られている」というと、温かみが感じられます。KCPのある新宿1丁目は、山の手にあるにもかかわらず、昔ながらの下町っぽさが残る町だと思います。みんながみんなを見守る下町のぬくもりが「こちらはいつもお買いになるのと違いますよ」ににじみ出ているように思えます。

日曜日は、花園神社のお祭です。下町パワーが爆発しそうです。

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