デジタルネイティブの実力

9月20日(水)

今学期は、毎週水曜日に学生のプレゼンテーションの時間がありました。クラスの半分ぐらいの学生のプレゼンテーションを見てきましたが、学生間にかなりの差を感じました。

できる学生は、聞き手の目をモニターの画面に引き付けるスライドを見せて、話が終わった後の質疑応答も盛り上がりました。そういう学生もいる一方で、自分が見つけたネットのページをそのまま貼り付けて見せているだけ、発表原稿をそのまんまスライドにしているだけという学生もいました。聞いている学生のほうも、話の内容がつかみにくいため、発表者が話した内容を改めて聞き返したり的外れな質問をしてしまったりすることが少なくありませんでした。質問が出てこないことすらありました。そんなときは、私が誘導尋問のような形で、プレゼン内容を補わせるような質問をして、学生の理解の手助けをしました。

こういう学生は、聞き手のことを一切考えていないか、考えが及ばないかなんだろうなと思いながら聞いていました。彼らが近い将来に迎える面接試験のことを思うと、暗澹たる気持ちになります。ペーパーテストでは他人に自慢ができるほどの成績が挙げられても、自分が一方的にしゃべるだけでは面接官の心証はよくないでしょう。そういうのを直していくのがこの授業のひとつの目的でもあるのですが、お手本となるプレゼンの翌週ぐらいに箸にも棒にもかからない原稿棒読みを聞かせられると、こいつは他人から学ぶ能力にも事欠いているのかと、がっかりしてきます。

私が学生のころはパワーポイントなどという便利なプレゼンテーションツールなんかありませんでしたから、レジュメをいかにわかりやすく作るかが通常の発表(プレゼンテーションという言葉自体、私の学生時代にはなかったように思います)でのポイントでした。でも、そのレジュメを使って、発表内容をいかにわかりやすく伝えるかはずいぶん訓練されたものです。

デジタルネイティブである学生たちは、私なんかよりもそういう訓練を受けてきていると思うんですが、実際はそうでもないんでしょうか。案外、こういうところに日本語学校が果たすべき役割があるのかもしれません。

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