居眠りするとよくわかる

5月14日(月)

Jさんが授業中寝ていました。こういうとき、私はそれをネタにその学生をいじります。「授業中に寝るのは教師に対して失礼というものだ」「Jさんは遅刻した。しかも授業中寝ている。どうしようもない学生だ」なんていう調子で、その日に習う文法や語彙の導入や例文などに使います。ちゃんと授業を聞いている学生にとっては、目の前に実物があり、その単語や文法を使う状況が話し手の心理が明確に見えますから、これほどわかりやすい教材はありません。教師側も余計な説明が不要ですから、手間と時間の節約になります。

いじられる学生はたまったもんじゃありませんよね。クラスメートの前で恥をかかされて、目が覚めた時には説明がすべて終わっており、わからないのは自分だけなのですから。自分が身をもって例を示したおかげで、他の学生たちは理解が進んでいるのに…。事実、Jさんが例を示してくれた文法項目は学生たちの理解がすばらしく、書いてもらった例文も的外れなものが全くありませんでした。

学生の名誉を傷つけるような例文を提示するのはいかがなものかという意見もあるでしょうが、たたき起こして衆人環視の中で説教するほうがよっぽど不名誉だと思います。そっと起こして授業後にこっそり叱ってあげるほど、私は心やさしい教師ではありません。授業時間を割いて説教したら、その間は起きていた学生にとっては無駄な時間です。そっと起こすだけでは、他の学生への示しが付きません。もちろん、一罰百戒として、1人の学生を例に取り、授業内でクラス全体に向けて訓戒を垂れることもあります。

Jさんがこれで懲りるかどうかはわかりません。懲りなかったら例文でいじって、授業後に残して、ねちこち責めていくまでです。Jさんのことは、明日の先生に引き継ぎます。

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