嵐の前の静けさ

9月5日(土)

進学指導用の資料を作るために、いくつかの大学のデータを調査・比較しました。個々の大学の学部や学科の構成は、外からもわかりやすいというか、目にする機会も多いですから、“うん、そうだね”という程度です。でも、何校かの学部や学科を並べると、改めて新しい学部が増えたなあと思いました。

私が受験生だったのは40年以上も昔ですから、その頃は工学部とか経済学部とかという古典的な学部学科名ばかりでした。その代わり、名前を聞けばどんな勉強をするかだいたい見当がつきました。しかし、最近は一筋縄ではいかない名前の学部学科が増えました。また、似たような学部名でも勉強する内容がだいぶ違うという例もあります。学生に進路を誤らせないようにするには、指導する側もしっかり勉強し、データをアップデートしておかなければなりません。

それから、学部卒業後の進路に考えさせられました。まず、文科系学部の大学院進学率の低さです。国立大学ですら1桁%にとどまります。文科系大学院生の大半が留学生だという話はよく聞きます。理科系も、よく調べてみると思っていたよりも低く、50%程度でした。日本は先進国の中でいちばん学歴の低い国だというのも事実かもしれません。

新しい名前の学部が増えたのは、学際的分野の研究が進んだからでしょう。文学とか農学とかという前世紀のくくりでは収まらないほどに研究範囲が広がったのです。でも、それなら、学部の4年間だけではその範囲を学びきることなんてできないんではないでしょうか。「広く浅く」では、大学は教育の責務を果たしたとは言えません。また、学ぶ側も真に価値のある教育を受けたことにはなりません。4年のうち1年ぐらいは就活に費やされるんですから、なおさらです。

東京は、台風10号の影響もなく、暑いですが穏やかな1日でした。大きな嵐が近づいているのにのうのうと暮らしているあたり、低学歴なのに気づかず世界と競争することになる日本のようです。

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