伝わってほしいけど

6月9日(木)

木曜日の夕方は、初級の学生への進学授業です。日本の大学に進学するにはどんな準備が必要か、いくらぐらいお金が必要か、どんな勉強をしておかなければならないか、そんなことを中心に話しています。私の話す日本語と日本語で書かれたパワーポイントでは、初級の学生には通じませんから、通訳にも入ってもらっています。

話しながら教室を見渡してみると、私の話を聞こうとしている学生とそうでない学生と、如実に分かれます。聞く気のある学生は、私の日本語を聞き取ろうとし、少しでもわかればうなずき、最後に通訳で内容を確認しているようです。日本語を聞こうとしない学生は、通訳の先生の言葉にだけ耳を傾け、内容を理解しようとしています。

私の話から直接でなくても、私の伝えようとしたことが伝われば、この授業の目的は一応達せられたことになります。しかし、それは形の上だけ、機能面の話に過ぎません。日本語のまとまった話を聞いて理解する訓練を、初級のうちから始めておいてもらいたいのです。初級の先生が話す、語彙コントロールの十分利いた日本語ではなく、難しい単語がふんだんに織り込まれた話から、自分に関わりのある事柄を、初めのうちは断片的でもいいですから、つかみ取る訓練をしてもらうのも、隠れた目的です。

こちらも、学生たちにどうしても知っておいてほしいですから通訳を付けていますが、通訳の話す学生自身の母語に頼り切られてしまうのは、面白くないです。せっかく日本で対面授業を受けているのですから、そのメリットを最大限享受してもらいたいです。

気が付いたら、今学期の木曜日は、あと来週だけです。学生たちは、多少は私の日本語が聞き取れるようになったのでしょうか。

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