読者層

9月12日(火)

この稿は、当初は日本語教師を目指す方たち向けに書いていましたが、今は特別に読み手を想定していません。読みたい方に読んでもらえればと思っています。ですから、学生にも読者がいます。だいぶ前のことですが、ある学生が大学に合格するまでの苦労を書いたところ、卒業生が「同じクラスだったAさんが志望校に合格したんですか」と電話がかかってきたこともありました。学生や教師はすべて仮名にしていますが、私が書いたエピソードから同級生だと見抜いたのでしょう。

この例に限らず、学生の読者は主に上級の学生であり、時たま中級の学生が背伸びして読んでいるというのが、ちょっと前までの状況でした。しかし、最近は初級の学生から「読んでます」と声を掛けられることがめっきり増えました。今学期、私はレベル1のクラスを持っていますが、そのクラスの学生からも言われています。「家へ帰ってから何をしなければなりませんか」と聞いたところ、「先生のブログを読まなければなりません」という答えが返ってきました。

もちろん、初級の学生の「読んでいます」は、「日本語で読んでいます」ではありません。翻訳アプリか何かを通して「読んでいます」です。となると、私の文章が翻訳アプリによって学生たちの母語にどのように訳されているか気にかかります。この稿は科学論文ではありませんから、曖昧な言い方やぼかした表現、意味をあえてずらしてみたり、思いっきり省略したり、さらには言葉遊びまで含まれています。AIがいかに賢いと言っても、こういったことまでは見抜けないでしょう。

その結果誤解が生じていたとしたらちょっと怖いですが、私は文章を翻訳アプリに合わせるつもりはありません。私の真意を読み取りたかったら、必死に勉強して上級まで上がってきてください。

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