話し言葉と書き言葉

6月8日(火)

6時半ごろ、Bさんが数学の質問があると、受付へ来ました。それまでに何回か来たようですが、私は午後ずっと授業でしたから、会えずじまいだったというわけです。

難しいことを聞かれたら困るなあと思いながらカウンターに出ると、BさんはEJUの過去問を示し、ある問題文の意味がわからないと言います。「…同一直線上にあり、三角形の頂点とならない3点の組み合わせは…」というところです。問題には、3×4に並んだ12個の点の図も付いています。これをお読みのみなさんはいかがでしょうか。

はっきり言って、このくらいはすっと理解できなければ、EJUの数学でしかるべき点を取るのは厳しいでしょう。でも、上の問題文の日本語は、初級の学生にとっては理解しにくいかもしれません。かといって、これ以上易しい表現にするためには、作問者である数学の先生が維持したい格調の高さを犠牲にせざるを得ません。

数学の問題や、それに対する解答には、独特のリズムや格調があります。私のような理系崩れの者ですら、そういったものを守ろうとします。学生向けの模範解答を作る時でも、徹底的にやさしい日本語には、どうしてもできません。格調なんか捨て去って、わかりやすさ第一で答えを書きたいのですが、最後の一歩が踏み出せません。

でも、口で説明するとなると話は別です。Bさんに対しても、問題についていた図を利用して、例を示しながら、Bさんにわかる範囲の日本語で説明しました。もちろん、Bさんには通じました。

そうです。数学にも、書き言葉と話し言葉があるのです。

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