背伸びのさせ方

11月27日(土)

来週の日曜日が12月のJLPTです。土曜日は、それを受けようという学生たちに向けての受験講座が開かれています。私もN2クラスの教師に駆り出されました。

このクラスは初級の学生ばかりですが、練習問題で取り組む文法は、私が通常授業で教えている中級クラス並みかそれ以上です。すでに何名か脱落していますが、ここまで食らいついて残っている学生は、みんな授業を受ける態度も真剣です。

一般に、中級や上級で習う文法は、ピンポイントで使うと効果的なものが多く、それゆえ適用範囲が狭いです。そういう用法を、初級の学生にもわかる日本語で説明したり、初級の学生もピンとくるような例文を提示したりというのが、こういう授業の難しさです。抽象概念を扱うときに威力を発揮する文法に初級の語彙を当てはめてみても、学生に覚えてもらいたいような例文はできません。文法には習うべき時期があるのだと痛感させられます。

こういう時には、中級以降でもう一度勉強し直してもらうことを前提に、大胆に割り切って教えます。中級上級を担当する教師としては一言も二言も付け加えたくなる説明でも、心の中で「半年待って」とかってつぶやきながら、それを押し通してしまいます。

国でN1を取ったという新入生が、時々KCPのプレースメントテストで初級に判定されます。クレームをつけて無理やり中級に入り込んでも、結局伸びません。N1やN2の文法は、国の言葉で説明してもらい理解しても、その文法が漂わせているニュアンスまでは嗅ぎ取れません。

さて、このクラスの学生たちは、どこまで理解が進んだでしょう。いくつかあった「ほど」や「によって」の違いがわかったかな。

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