将を射んと欲すれば先ず馬を射よ

9月26日(月)

Gさんは、来月半ばに関西地方にあるI大学を受験します。Gさんとしては東京で進学したいのですが、ご両親から絶対に来年4月に進学しろと厳命されているので、両親の薦めるI大学にも出願しました。そんなわけで、この前Gさんの進学相談に乗った時には、志望理由はないに等しい状態でした。

午前の授業が終わってすぐ、そのGさんが面接練習に来ました。先日のことがありましたから、いきなり本格的な面接練習をするのではなく、まず、「どうしてI大学なんですか。緊張しないで答えてください」と、始めました。すると、Gさんは自信なさげにいくつか理由を挙げましたが、すでに目が泳いでいました。

そんなことだろうと思い、事前に用意しておいたI大学の資料を見せながら、I大学の魅力について2人で考えました。その資料に表れているI大学の特徴を説明しているうちに、Gさんの頭の中に少しずつI大学のイメージが固まってきたようです。あの顔つきは、“親に言われたから”ではない、Gさんなりの積極的な理由が思い浮かんできたんじゃないかな。

夕方、Gさんの志望校の1つでもあるS大学の教師向け説明会にオンラインで参加しました。教師にしても、材料がなかったら学生に大学を薦められません。I大学は、私なりに少しは情報を持っていましたから、Gさんと一緒に志望理由が考えられました。学生に対して“推し”ができるネタがほしいのです。

「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」です。大学にしてみれば、学生こそ将です。教師という馬をコントロールすれば、将たる学生はその大学に向かいます。この説明会のおかげで、S大学は推し大学の1つにできそうです。たかがオンライン説明会で学生にどのくらい強く推すか決まってしまうなんて、いい加減なもんですね。でも、それが人情ってもんじゃないかな。

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