熱心差

5月12日(金)

中級クラスのTさんは、クラスで中ぐらいの成績の学生です。ちょっと油断するとすぐ赤点になってしまいます。Tさん自身もそれがわかっていますから、毎日必死に勉強しています。あらゆるチャンスを利用して力を伸ばそうと、授業中に書く例文にも、毎日の宿題にも全力を傾けています。だから、Tさんの例文や、宿題などの提出物を読むのは、私の秘かな楽しみです。

Yさんは、先学期話をする機会があったときには、K大学に入りたいと言っていました。滑らかとは言えませんでしたが自分の気持ちをきちんと話していましたから、4月に私のクラスの名簿にYさんの名前を見つけた時には、いっしょにK大学を目指そうと、期待と希望を抱いていました。しかし、その期待と希望はあっという間にしぼんでしまいました。授業中のやる気のなさが半端じゃありません。テストも毎回不合格だし、不合格だとわかっても挽回しようという様子が全く見られません。提出物を見ても、実に省エネ答案です。提出しろと言われたから、とりあえず何か書いて出しておこうという気持ちがくっきり浮かび上がっています。

Tさんの提出物は、こちらも本気で添削します。中くらいの学生ですから、クラスみんなの役に立つ“いい間違い方”もよくしてくれます。それは授業で取り上げて、こういうことを言いたいときはこういう表現をするんだよと、全学生に参考にしてもらいます。そんな時、ちらっとTさんの顔に視線を向けると、私の板書を必死書き写しつつも、心なしか誇らしげな表情をしています。Yさんのおざなりの答えには、議論できるような間違いなどあろうはずがありません。

週明けは中間テストです。Tさんは自習室で苦手の漢字の書き取りを練習し、ノートや返却された宿題などを見ながら文法の復習もしていました。Yさんは何をしていたんでしょうかね。

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