11月12日(水)
午前中、午後の授業の準備をしていたら、「先生、お客さんです。10年以上前の卒業生だそうです」と呼び出されました。
受付まで出て行くと、髪に白いものが交じり始めたKさんが軽く頭を下げました。Kさんは指定校推薦でM大学に進学しました。そこで博士を取り、日本で就職しました。ここまでは、だいぶ前に顔を見せてくれた時に語ってくれました。そして、この春に母校のM大学にスカウトされて、教壇にも立っていると言います。名刺の肩書は“講師”となっていますが、准教授になる見通しはついているみたいです。
KCP時代のKさんは、とにかく努力家でした。努力を続けられるという、貴重な資質を有していました。M大学に進学できたのもこの努力の賜物でした。10年近くかけて博士号を手にしたのも、この稀有な才能のなせる業に違いありません。さらに、就職先で実績を上げ、大学院までに学んだことを実践し、このたび母校に戻ったのです。普通の人にはなかなか歩めない道のりです。
Kさんは留学生入試にもかかわっていますが、最近の留学生は自分たちの頃よりレベルが低いと嘆いていました。M大学について研究せずに、単にEJUの点数だけで志望校を決めてくるので、面接しても入りたいという意欲があまり感じられない受験生が目立つとも言っていました。
今のKCPには受験生時代のKさんより日本語ができる学生がおおぜいいます。しかし、目標に向かって突き進む力はだいぶ劣るような気がします。また、KCPにも点数合わせで志望校を決める学生がいます。そんな学生がM大学を受験したら、Kさんに笑われてしまいそうです。「先生、どんな教育をしているんですか」などとねじ込まれたら恥ずかしいです。
Kさんに尻を叩かれた私は、気合を入れてレベル1の教室に入りました。
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