入学式挨拶

皆さん、ご入学おめでとうございます。世界中からこのように多くの若者を新入生として受け入れることができ、とてもうれしく思っています。

皆さんもご存知のように、先月、英国が国民投票の結果、EUから離脱することになりました。英国のEU離脱の是非やその影響をここで論じようとは思いませんが、私が注目したいのは、英国民各自の1票1票という非常に小さな力の積み重ねが、このような世界史に残るかもしれない大きな結果をもたらしたということです。世界中のマスコミや政府機関、金融機関、企業、研究所などは僅差で残留派が勝つと予想していました。それを覆したのが、個人の微力の集積なのです。

一つ一つの力は目に見えないほど小さいけれども、それを合わせたら誰の目にも明らかな大きな仕事が成し遂げられる――とはよく言われますが、その好例を目にすること、体験することは、そうそう頻繁にはありません。しかし、今学期入学のみなさんは、このような経験がすぐにできるのです。それは、スピーチコンテストです。クラスの代表になることではありません。そのクラス代表を、クラス全体で応援し、盛り立てることです。クラス全体で応援を考え、それをひとつの形にし、実際に全校の学生が見ている前で披露するという一連の活動を通じて、協力し、共同して何かを作り上げる苦しみと喜びを感じ取ってください。自分たちの応援に感動している満場の観客をステージ上から眺めると、達成感がひしひしと湧いてくるものです。一度その達成感を味わった人は、その味を忘れることができず、次々と新たな仕事に取り組み、幾度も、その快感に浸るのです。

それからもう一つ、小さな力を時間的に蓄積していくことにも挑戦してください。今日から皆さんがこのKCPを去る日まで、何かを続けてください。毎日漢字を一つ覚えるでも、日本語で日記を書くでもいいです。煙草をやめるでも、寝る前に腹筋10回でもいいです。簡単なことでいいですから、毎日続けていってください。ここで肝心なことは、例外を設けないことです。熱があってもお酒を飲んでも、自分で決めたその何かを、必ず毎日するのです。継続は力なりと言います。今、この場にいる皆さんは、短い人でも1か月半ほど、長い人は1年9か月にわたって、このKCPで過ごします。この留学期間中、本当に毎日続けられた人は、KCP最後の日に、得られたものの大きさに驚くことでしょう。

スピーチコンテストのクラス応援をまとめ上げることも、毎日何かをやり続けることも、決してたやすいことではありません。しかし、だからこそ、挑戦する価値があり、挑戦し成功することが皆さんの成長につながるのです。自分で自分を鍛え、自分に克つことのできる人が、この先の長い人生における勝利を手にすることができるのです。皆さんがその道を歩もうとするのなら、私たち教職員一同は、喜んでそのお手伝いをいたします。

本日は、ご入学、本当におめでとうございました。

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