Category Archives: 学生

さっぱり

4月10日(水)

午後、先週入院した慶應病院で抜糸してきました。手術が全身麻酔でしたから、抜糸も大掛かりになるのではないかと心配していました。でも、椅子に座って、仰向けに倒されると、「はい、消毒します」「ああ、傷口、きれいですね」「じゃ、糸を抜いていきます」と声をかけられ、数分で「はい、抜き終わりました」となり、椅子を起こされ、「うがいしてください」で終わってしまいました。

手術の大騒ぎに比べると、何とあっけないこと。治療費もお昼ごはんと同じか安いくらいでした。来月の中頃、もう一度傷跡が順調にふさがってきていることを確認してもらうために通院することになりました。そこでOKがもらえたら、今回の手術は完全に終わりになるのでしょう。

退院時に痛み止めのロキソニンをもらい、痛くなったら飲むようにと言われましたが、1粒も飲むことなく抜糸できました。とはいえ、手術をした左下奥にどことなく違和感が残っていて、軟らかいものでも左で噛むのがためらわれました。ところが、糸を抜いたらその違和感がきれいさっぱり消え去りました。ためしに、病院の帰りにパンを買って食べたら、ごく自然に左で噛めました。

病院から帰って来てから、レベル2の日本語強化のオリエンテーションに参加しました。通常の日本語授業に上乗せして、さらに学びを深めたり広めたりする授業です。そういう授業を希望する学生たちですから、真剣に教師の話に耳を傾けていました。そんな学生の前で話をするのは、やっぱり気持ちがいいものですね。糸を抜いた口が、いつもより滑らかに動いた気がしました。

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入学式挨拶

みなさん、ご入学おめでとうございます。世界の各地から有為の若者がこのKCPに集まってきてくださったことをとてもうれしく思います。

新入生のみなさんの多くが、日本での進学を目標としていることかと思います。“A大学のB先生のもとでこういう研究がしたい”――大学院進学を希望している方は、このぐらいまで考えが進んでいるかもしれません。しかし、大半の方は、東大に行きたい、早稲田大学で勉強したいといったような、漠然とした夢ないしは憧れを抱いているだけではないでしょうか。

残念ながら、日本の大学・大学院は、夢や憧れだけで入れるほど甘くはありません。それを現実のものにするには、具体的な行動が必要です。それ以前に、みなさんは日本の大学についてどのぐらい知っていますか。日本には大学が何校あるか知っていますか。約800校あります。その中でいくつの大学の名前を知っていますか。東大と早稲田の2つしか知らないとしたら、日本での進学希望者としては大いに研究不足です。美術系志望の方で、知っているのは東京芸大と多摩美、ムサビだけだとしたら、見通しは暗いですね。美術が学べる大学は、少なく見積もっても30校はあるでしょう。

みなさんもご存じのように、日本は少子化が進み、大学を受験する18歳人口も減る一方です。大学は、何もしなくても学生が集まる時代ではなくなったので、それぞれの特色を打ち出すことに懸命です。今までにない教育をする学部学科を創設したり、世の中のニーズを先取りしたプログラムを始めたり、カリキュラムを根本的に改めたりと、どの大学も受験生に選ばれる大学、社会から求められる大学になろうとしています。

それと同時に、入学試験も変わってきました。知識量の多寡を問うのではなく、考える力や創造する力、さらには学問に対する姿勢を見ようとする試験を課す大学が増えてきました。入学してからの伸びしろが大きい学生、何か光るものを持っていそうな学生、学問に対して強い探求心を持ち、真理に向かって突き進んでいく意欲のある学生を見極めようとしています。

東大や早稲田にしても同じです。日本の中でさえ、「わざわざ東大に行かなくても、地元のC大学でもグローバルな人材になるための勉強ができる」と考える、地方の優秀な高校生が増えてきました。偏差値だけで志望校を決める時代は過ぎ去りつつあります。それゆえ、一昔前の有名校も安閑とはしていられないのです。

東大や早稲田大学の卒業証書が欲しかったら、何が何でも東大や早稲田大学に入らなければなりません。しかし、みなさんが真に入るべき大学は、みなさんが世界の将来を背負って立つ人材へと成長していける大学です。みなさんが抱いている夢や憧れ、あるいは将来構想を形にできる大学です。じっくり調べて考えた結果、自分の人生を実りあるものにする大学は早稲田大学をおいてほかにないとなったら、必死に勉強して早稲田大学に入ってください。私たちも全力で応援します。ろくに考えもせずに有名だからという理由で大学を選んだら、みなさんは人生において大きなチャンスを逃してしまうことになります。

では、日本の大学を知るにはどうしたらいいでしょうか。とっかかりはインターネットです。ネットで見て興味が持てたら、できれば実際にキャンパスを見に行くことをお勧めします。その大学に博物館があったら、そこもぜひ見学してください。大学院進学希望の方は、むしろ必須ですね。博物館の学芸員の方と質疑応答・議論ができるくらいになっておいてもらいたいです。

志望校を研究すると同時に、自分自身も研究してください。大学も大学院も、必ずと言っていいほど入試に面接があります。面接とは、単に面接官の質問に答えるだけではありません。面接官に、大学に、自分を売り込む場なのです。商品を売り込むには、その商品について熟知していなければなりません。すなわち、みなさん自身が自分を知ることこそ何より肝要なのです。大学院入試だったら、「私は先生の御研究にこんな貢献ができます」というところまで訴える必要があります。

KCPには、こうした大学や大学院が求める学生像に近づいていける授業や活動が数多くあります。私たち教職員一同も、総力を傾けてみなさんがそんな学生へと成長していくお手伝いをします。

みなさん、本日はご入学、本当におめでとうございました。

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主が消える

3月26日(火)

Nさんが卒業しました。アメリカのプログラムで1年半日本語を勉強してきました。授業以外のクラブ活動にもどんどん参加し、卒業式の演劇部の公演では、主役を演じました。そんなこんなで、今やKCPの主みたいな感じがします。

非漢字圏から来たNさんは、中国の学生などに対しハンデを背負っていました。そのハンデを、努力によって跳ね返した1年半と言えるでしょう。勉強に疲れた時もあったに違いありませんが、そんなそぶりはみじんも見せず、クラスの友達はもちろん、それ以外の学生たちを元気づけてきました。Nさんのまわりには自然に学生が集まってきました。

夕方、アメリカのプログラムの修了式がありました。修了証書を受け取ったNさんは、感極まった様子で涙をこらえていました。苦しい思い出も楽しい思い出も、いくらでも湧き上がってきたのでしょう。そんなNさんを見送りに、多くの在校生が集まりました。慕われていたんですね。

修了式後も、お世話になった各先生というか、職員室の全教職員ひとりひとりにお礼を述べに回っていました。1年半も、授業以外でも大活躍をしてきたのですから、なんたって主ですから、知らない教職員なんていません。私も温かい御礼の言葉をいただきました。

そんなことをしていたら、6年前の卒業生Jさんが来ました。昨日D大学の大学院の修了式があり、4月から社会人だそうです。修士論文も見せてくれました。入社した会社の様子を聞くと、有名ではなくても有望そうな会社で、Jさんの未来が輝いて見えました。

日本で進学するNさんも、何年か先にJさんのような姿を見せてくれることでしょう。故郷じゃなくて母校に錦を飾ることを期待しています。

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旧交を温める

3月15日(金)

病欠のO先生に代わって、初級クラスに入りました。名簿を見ると、このクラスには先々学期レベル1で教えた学生が2人います。そういう学生に会って伸びを確かめるのも、代講の楽しみです。

教室に入ると、その1人であるSさんはすでに教室にいて、授業開始直後に行われる漢字テストと文法テストの準備をしていました。いい点取れよと心の中で声を掛けました。

ほどなく始業のチャイムが鳴りましたが、知っている学生のもう1人、Fさんが来ていません。出席を取り終わってもまだ入ってきません。「では、漢字のテストを始めます」と、試験用紙を配り終えた頃にFさんが入ってきました。私と目が合うと、一瞬、しまったという顔をしました。

テストが終わると、週の初めにやった文法テストの返却日に当たっていましたから、学生たちにテストを返しました。Sさんは、なんと、不合格ではありませんか。「レベル1の時はいい学生だったのに」と言いながら返すと、申し訳なさそうに受け取っていました。こういう恥ずかしい思いをしなければならなくなることがありますから、KCPの学生は油断ができません。Fさんは、以前と変わらず優秀な成績でした。

このクラスはアルファベットの国からの学生が優秀なようで、テストの成績でもトップを争っていました。フィードバックのついでに初級とは別の切り口からこのテストで扱っていた文法の話をしました。そういうのを真剣に聞いていたのも、アルファベットの国のみなさんでした。

確かに、JLPTやEJUでは漢字の国の学生の方が好成績を収めますが、KCPのテストはコミュニケーション力を見ようという色彩もありますから、国でそういう訓練を受けてきたアルファベットの国の学生が有利になる面もあります。上述のように、知的好奇心が強いことは、この先大きく伸びていく余地があるということでもあります。

代講は、時間が奪われることは事実ですが、興味深い発見も多いので、結構楽しんでいます。

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拍手拍手

3月14日(木)

昼休みに、6階の講堂で、演劇部の「レ・ミゼラブル」が公演されました。ちょうど1週間前、卒業式の際の発表があまりにもよくできたので、卒業式に参加しなかった在校生にも見てもらおうという意味もありました。レ・ミゼラブルには卒業生も登場していましたが、その卒業生たちもわざわざ演じに来てくれました。

四谷区民センターとKCPの講堂ですからね、舞台装置の差はいかんともしがたいものがあります。ステージそのものも狭いし…。でも、演劇部のみなさんは、それにもめげずに熱演してくれました。1週間前の驚きと感動が、鮮やかによみがえってきました。何といっても、四谷区民センターよりもずっと近くで学生たちの演技が見られたのがいちばんよかったですね。

カーテンコールでは何回も大きな拍手が沸き起こりました。ステージ上の面々も、仕事をやり遂げた自信に満ちた笑顔を見せていました。演劇部のN先生が「演劇部に興味を持った人は、ぜひ4月から一緒に活動しましょう」と挨拶していました。これに応えてくれる学生がどのくらい出てくるかな。次の発表はコトバデーあたりでしょうか。練習期間はたっぷりあります。卒業式に負けない公演に仕上げてもらいたいですね。

さて、この公演、新聞部の学生たちが取材していました。Nさんなんかはインタビューされていました。どんな記事になるんでしょうか。期末テスト前にはラウンジの掲示板に張り出されるのでしょう。今から楽しみです。

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成長

3月13日(水)

初級のCさんはまじめな学生です。毎日の宿題をきちんとしてくることはもちろん、予習もしてくるし、授業も真剣に聞いています。しかし、成績は今一つ伸びていません。テストはどうにか合格点というレベルですし、例文などの提出物にも誤りがいくつもあります。

学期の最初の頃は、指名されると「えっ、私ですか」と言わんばかりにこちらを見返してきました。音声がうまく聞き取れていなかったのかもしれません。また、易しい問題を当てても的外れな答えを言ってしまうこともありました。残念ながら来学期は進級できないだろうなあと思っていました。

「建築家って?」と、漢字の時間に出てきた単語の意味をクラス全体に聞いたところ、「ビルを建設する人です」「家を建築する人です」などという声があちこちから上がりました。すると、教卓の真ん前に座っていたCさんがやおら口を開きました。「建築家はビルをデザインして、絵(設計図)を描いて、みんなにお願いして(関係者に指示を出して?)、ビルを建てる人です」と、つたないながらも立派な説明をしてくれました。

私は驚きました。学期の初めには単語レベルの話しかできなかったCさんが、こんなにまで話せるようになったのです。相撲の世界には「3年先の稽古をしろ」という戒めの言葉がありますが、Cさんは今学期の最初から2か月先の勉強をし、その努力が実を結び、学期末近くになって花開いたのです。そうそう、授業の最初にやった漢字テストも、今学期最高点でした。

1月下旬ぐらいだったでしょうか、新聞部に所属しているCさんが私の所へ取材に来ました。持てる想像力をフルに働かせてCさんの質問の意味を感じ取り、Cさんにわかるようにかみ砕いて答えました。今なら、そんな苦労をすることなく、話が弾むことでしょう。

今学期も多くの学生に触れあってきましたが、日本語力が一番成長したのは、疑いなくCさんです。

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新クラス

3月12日(火)

今学期中級のKさんは、現在6月のEJUに照準を合わせて、日本語プラスにも参加しながら勉強を進めています。卒業式の前までは紛れもない中級のクラスでしたが、今は上級の学生に交じって勉強しています。

上級は卒業していった学生がおおぜいいますから、卒業式後にクラスを編成し直しました。その際、一部の中級の学生を上級クラスに引っ張り上げました。Kさんはその1人に選ばれたのです。

中級クラスでは上位に位置していたKさんですが、上級の学生と机を並べると、やはり引け目を感じざるを得ません。教材も「こんなの楽勝」とは言えなくなり、先生の教え方も上級を基準にしていますから、中級のつもりでいると置いていかれてしまいます。

そういう綱渡り的な面もありますが、Kさんはこの難しさがいい刺激になっていると楽しんでいるようです。そういうことができそうな学生を選んで上級にしているのですから、担任教師の読みの通りだったとも、好ましい方向に反応が進んでいるとも言えます。そういう気持ちで向かって行ったら、これからも日本語力は伸びるでしょうし、4月からはKCPの屋台骨を支えてくれる学生になっていくに違いありません。

でも、そのクラスにSさんやTさんの名前はありませんでした。2人とも直接教えたことはありませんが、入学してから何回か接触する機会があり、ひそかに期待していた学生です。クラスの先生の目には、Kさんほど伸びていないと映ったのでしょう。

もちろん、現時点で卒業までの運命が決まってしまったわけではありません。これからいくらでも逆転のチャンスはあります。とはいえ、漫然と今までと同じ発想と行動を繰り返していたら、伸び悩みのままでしょう。留学の目的が果たせるかどうか、今が正念場ですよ。

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3月の定番2

3月6日(水)

明日に迫った卒業式を前に、卒業証書の受け取り方の練習をしました。KCPの卒業式は、壇上でひとりひとりに証書を手渡します。その証書を受け取る作法を教えるのです。

日本人の教師は、いつどこで教えられたのか、年齢によらず、片手ずつ出して証書の横をつかんで受け取って礼をする作法を、細かいところは多少違っていても、知っています。しかし、それは日本独特のものであり、学生たちは、国籍を問わず、そんな作法は知りません。卒業式のセレモニーとしての格調の高さを維持する上でも、学生たちにはあの作法を覚えてもらわなければなりません。何も教えないと、ステージのまんまん中で校長に正対して、早くよこせと言わんばかりにいきなり両手の手のひらを上に向けて差し出す学生が続出します。

最初に教師が実演しながら受け取り方を説明します。次に、学生たちに実際にやってもらいます。ステージのどこにスタンバイして、証書と記念品を受け取ったら、どこからステージを下りて自席に戻るかという、証書受け取りの前後も含めて予行演習します。

教師が実演したくらいですから、また、こういうことはするなと注意もしていますから、受け取り方はわかっているはずです。でも、毎年のことですが、教えられたとおりにきちんとこなす学生と、何じゃお前はと言いたくなる学生とが出てきます。後者はスマホに集中していたのでしょう。正対した時の目を見れば、前者か後者かだいたい見当がつきます。失敗は今ここでしておいて、明日きちんとやってくれればそれでいいんですがね。

終業のチャイムが鳴ると、予行演習を済ませた学生たちが帰っていきました。明日は会場の四谷区民センター集合ですから、もしかすると、予行演習でさんざん叱られたのが、この校舎の最後の思い出になってしまったかもしれません。

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3月の定番

3月5日(火)

卒業式直前の上級クラスの授業では、よく“お世話になった先生へのお礼状”を書いてもらいます。さすがの上級の中でも上の方、超級の学生でも、いきなりお礼状を書けと言われても書けるものではありません。ですから、私は、よく、10年余り前に中級まで勉強して進学していった学生からもらったお礼状を見本にしています。このお礼状は、文面には拙さが見られるものの文法的な誤りはなく、時候のあいさつ、感謝の言葉、読み手の健康を気遣う言葉と、お礼状の要素はすべて盛り込まれています。しかも「拝啓~敬具」でまとめられていますから、上級の教材としても十分に通用します。それどころか、日本人の大学生だってここまで書ける人って少ないんじゃないかと思われるほどです。

中級の学生が書いた文面ですから、超級の学生なら内容はすぐに理解できます。問題は、それを自分に合わせてカスタマイズできるかです。省エネタイプの学生は、時候の挨拶まできっちり写します。しかし、「専門学校に進みます。いつか先生に私が作ったケーキを食べてもらいたいです」という部分はどうにかしなければなりません。そこで頭を抱えてしまうんですねえ。今年の卒業生たちも、みんな呻吟していました。

「手紙の文章は、チェックはしませんよ」と言ってありますが、これも学生たちにとってはプレッシャーになるようです。せっかくのお礼状に誤用がいっぱいだったら、そりゃあ恥ずかしいでしょうね。でも、見本のお礼状を書いた学生は、誰のチェックも受けていません。しかも、今のようにAIにお願いすれば何でもしてくれるようになるより前の時代です。超級の学生にできないはずがありませんから、私は突き放します。

それぞれ、自分のお世話になった先生の名前を封筒に書き、手紙を入れて封をして出してくれました。「卒業式の前に読まれると恥ずかしい」と言っていますから、宛名の先生には卒業式後にお渡しします。

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少子化対策はやっぱりない

3月4日(月)

朝、出勤すると、ロビーに雛人形が飾ってありました。遅ればせながらですが、今年は2月29日が学校行事でみんな出かけましたから、しかたのないところでしょう。

昔は、「雛飾りを片付けるのが遅れると、お嫁に行くのが遅くなる」と言われたものです。それに従えば、KCPの女子在校生全員の婚期が遅れるということになります。でも、今時、婚期がどうのこうのということ自体、あまり話題にならなくなったような気がします。それだけ晩婚化、非婚化が進んだのです。

金曜日とは別のクラスで、日本の出生数と韓国の出生率の動画を見せて、どんな条件が整えられれば安心して子供を産み育てられそうかというテーマで話し合ってもらいました。数人のグループをいくつか作りましたが、どのグループもメンバーが意見を言い合っていました。

しかし、結論は厳しいものでした。多少は改善されつつあるものの、子どもを産み育てることにおいては女性の負担が大きく、動画で述べられていたように、自分のしたいこととの両立が難しいと訴えた学生もいました。また、親世代と自分たちの世代とで、子育てに対する考え方が違うから、子育てを親に頼れないという意見も出てきました。自分たちが子供の頃はその差が小さかったので、親世代はそのまた親世代(学生たちから見ると祖父母世代)に頼れたけれども、今は違うというわけです。そんな感じで、学生の多くが、積極的に子供を持ちたいとは思っていないようでした。

日本人の若者も同じように考えているんでしょうね。少子化の打開策を考えるよりも、少子化を前提とした社会づくりに力を入れるべきなのかもしれません。

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