10月30日(木)
明日はBBQですが、午前授業で私が入った上級クラスは買い出しなどの役割分担も決まり、あとは本番を待つだけのようでした。ですから、進度表どおりに授業を進めました。
このクラスは、読解の授業で高度経済成長期の日本について学んできました。高度経済成長期は私の子供の頃ですが、幼いなりに世間の風向きを感じ、においをかぎ取り、世の中の色を見ながら育っていきました。学生たちの教科書に載っている水俣病も、自分より少し年上の方たちが苦しんでいる様子を、リアルタイムのニュースで見ていました。
私が昔話をしてもいいのですが、それよりも動画を見てもらった方が勉強になります。2本見せましたが、スマホをいじる学生もなく、みんな集中していました。やっぱり、たまには目先を変えたほうが意欲も湧くのでしょう。その後、それに関連するグループ討議をしてもらいました。いつもより話し声が大きかったような気がしました。
しかし、中には一言もしゃべらない学生もいます。Sさんはそんな学生の1人です。同じグループの学生が水を向けてもうつむいたままでした。確かに、人前で話すことに何らプレッシャーを感じない人がいる一方で、そういうことに極度の緊張を覚える人もいます。しかし、学生の場合は、授業中に話すことにどれだけの価値を認めているかという、全く別の物差しが存在します。Sさんは“書く≫話す”派のようです。あんなに一生懸命動画を見ていたのに、それに関する話し合いに加わらないなんて、もったいない限りです。メンバーの1人がほとんどしゃべらないのですから、Sさんのグループは早々に話し合いが終わってしまいました。
Sさんは明日のBBQでどんな活躍をするのでしょう。“ワタシ、食べる人”を決め込むのでしょうか。
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