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願書失敗

10月4日(火)

衣替えでせっかくスーツを着てきたのに、東京は最高気温が32度の真夏日となりました。でも、おそらく、これが今シーズン最後の真夏日でしょうね。

そんな中、出願とか進路相談とか面接練習とかで学生がやってきました。WさんはR大学の出願書類を持って来ました。成績証明書や卒業証明書など、自分で取り寄せなければならない書類は準備したものの、自分で記入しなければならないところはすべて未記入でした。学校で書き方を確認しながら記入する心づもりのようでした。

「先生、名前はこことここに書きますか」「うん」「このローマ字というのは何ですか」「パスポートの名前を書いてください」「はい」と言って、Wさんがアルファベットの名前を書き始めたのは、「氏名」の欄。「あーっ、そこは氏名とフリガナだから漢字で書かなきゃダメだろうが」と叫んでも後の祭り。願書作成は1行目で失敗となりました。

「先生、日本での留学期間と日本での住所はどう書きますか」「どれどれ。……ほら、ここをよく読んで。ここから下は海外から出願の人って書いてあるだろ」「あ、そうですね。すみません」という調子で、Wさんは注意書きをよく読まないきらいがあります。目の前の1行か2行を読むのが精一杯で、その前後を見渡して書き方をチェックしながら書類を作成するというゆとりが感じられません。本当にこれで受験できるんだろうか、受かったとしても、入学に必要な書類を作れるんだろうかと、心配になってきました。

Wさんは、勉強はそこそこできます。しかし、そのもうちょっと外側の、習った日本語を応用して何かをするという部分に不安を感じます。でも、ここができなきゃ勉強した意味がありません。語学は、相手を理解し、自分を伝える道具なんですから。