終わりました

11月5日(木)

WさんがE大学を受験したのは先月末のことでした。今週月曜日に合格発表があったはずなのですが、何も言ってきません。受験に関しては、便りがないのは悪い知らせですから、次の受験校を探さなければと思っていました。そこで、S先生に聞いてもらうようお願いしました。

S先生によると、「Wさん、E大学の試験はどうだった?」「はい、終わりました」というやり取りから始まったそうです。普通は合否発表後に入試がどうだったか聞かれたら、受かったとか落ちたとか答えますよね。わざとはぐらかすことはあるでしょうが、Wさんにそんな器用なまねはできません。本気で試験は終わったと答えたに違いありません。「それで合格したんですか、しなかったんですか」と単刀直入に聞いてやっと、「合格しました」という、こちらが求めていた情報が引き出せました。

Wさんは人の言葉の裏側を読み取るのが苦手です。聞いている人が何を知りたいか察知して、それに対して答える、説明するということができません。字面通りの受け答えしかできないのです。そんなコミュニケーション力でよく面接に通ったと思いますが、E大学の面接官はWさんの中に何か光るものを見出したのでしょう。

S先生は「月曜日にわかったのに、どうして今まで知らせなかったんですか」と聞きました。「昨日まで学校へ来ませんでしたから」とWさん。確かに、月水は、Wさんのクラスはオンラインです。火曜日が祝日でしたから、今週は木曜日が初の登校日となったのです。しかし、メールぐらいは送れます。Wさんは、E大学を受けるまでに、多くの先生方の手を煩わせています。そういう先生方に吉報を一刻も早く伝えようとは、…思わなかったんでしょうね。

こういう、人情の機微をわきまえない学生は、Wさんに限ったものではありません。今までにも数えきれないほどいました。そういう学生にそういうことを教え切る前に進学先に送り出すことに、良心の痛みを感じてきました。Wさんも私たちの心に影を残して新たな一歩を踏み出していくのでしょうか。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です