7月4日(金)
Sさんは最上級クラスの学生です。読解も作文もよくできて、クラスの中でもトップを争う成績です。最上級クラスの首席をうかがうということは、KCPで一番日本語力が高いということです。唯一の弱点は、口数が少ないことで、こちらから水を向けないと授業中一言もしゃべらないことすらあります。でも、グループワークでは、ユニークなアイデアを出したり他のメンバーが気づかない点から発言したりしていますから、クラスのみんなから一目置かれています。
そのSさんに入学式の通訳を頼んだのは、期末テストの直前だったでしょうか。断られるかなと思ったら、「できると思います」と返事をしてくれました。Sさんにはこういう晴れの場で自信をつけて、さらに力を伸ばしてもらいたいと思って、通訳に選んだのです。
入学式の通訳は、基本は司会の教師の日本語を自分の母国語で新入生に伝えるのが任務です。台本がありますが、それを読み上げるだけではありません。臨機応変に対応しなければならないこともあります。また、入学式の後は新入生との懇談会(?)で自分の体験を披露したり、時には留学生活のアドバイスをしたりします。ですから、ただ単に日本語が上手なだけでは務まらないのです。
通訳は、自分の語学力を他人のために使う仕事です。人助けという面もあります。やさしい気持ちにもなります。ですから、やり遂げた時の充実感、高揚感が大きいようです。それを味わったSさんの笑顔を、今から楽しみにしています。
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