Category Archives: 行事

盛り上がりの支え

5月22日(金)

「荷物、体育館に入れて」。9時に運動会会場の体育館が開場されると、すでに集まっていた学生たちに向かって担当のM先生の号令がかかりました。今回も最上級レベルの学生たちはスタッフとして私たち教職員のお手伝いをしてくれます。

朝の私の担当は、会場のライン引き。特にトラックのコーナーの部分は、TさんとKさんのおかげでとても滑らかなカーブが描けました。私からの面倒な注文にもかかわらず、Tさんは汗をぬぐいながらラインテープを張ってくれました。その後1日中、何十人もの学生が当たり前のようにそのカーブを曲がっていきましたが、その陰の努力にまでは気付かなかったでしょうね。

午前中の競技が終わった後に、腹筋運動が何回できるかを競う自由参加の競技が行われました。私なんかはせいぜい3回ぐらいでしょうけど、女性の優勝者は64回、男性にいたっては200回までやっても勝敗が付かず、優勝者3名ということになりました。100回、150回と回数が上がっていくにつれて観客席から大きな声援と拍手がわきあがり、200回にまでなったときにはそれがしばらく鳴り止みませんでした。

綱引きの決勝は綱のすぐそばでの応援に。選手も応援する学生も一体となって、一種のトランス状態になっていました。予選敗退チームの学生も、観客席で自分たちを破ったチームの成り行きを興奮しながら見つめていました。そんな中でも、私と一緒に審判をしてくれたCさん、Sさん、Oさんは冷静で、きっちり勝敗を判定してくれました。

午前の競技の進行が遅れ気味で一時はどうなることかと思いましたが、学生スタッフの活躍もあり、予定通りの時間に終わらせることができました。一人でスマホをいじるのではなく、みんなで力を合わせて何かをする、チームで一つの目標に向かうということの楽しさを味わってくれたことと思います。会場近くのお店で最上級クラスの面々が打ち上げをしているのを横目で見ながら、家路に就きました。

絵を描くのが好きです

5月16日(土)

土曜日は学生の数が少ないからか、顔を出しに来てくれる卒業生の姿が目立ちます。卒業生も平日は進学先の授業が忙しいでしょうから、必然的に土曜日が多くなるという面もあります。さらに、ビザ更新に必要な書類を取りに来る卒業生が多いことも事実です。

午後、美術系の大学に進学したLさん、Yさん、Oさんが来ました。来週の運動会の準備をしていたM先生は、すぐにその3人を捕まえて、初級の学生に説明するときに使う絵などを描いてもらっていました。さすが美術系だけあって、さらさらって描くんですがよく描けているんですね。また、急に頼まれたそういう仕事を楽しそうにしていました。絵を描くことが本当に好きなんでしょう。

美術系の学校に進学する人たちは、ちょっとでも時間が空くとすぐ絵を描き始めます。今学期の私のクラスではGさんがそういう学生です。テストでも、答えを書き終わると、必ず答案用紙の余白に何か描くのです。目に映ったものではなく、頭の中の映像を絵にしているような感じです。それがまたうまいんだな。絵心が全くない私には理解の彼方です。3人も、落書きというにはあまりに上手すぎる絵を描いていましたっけ。

もうひとり、Tさんも書類を取りに来ました。こちらは理科系の大学に進学していますから、私の守備範囲内です。授業は厳しいけれどもおもしろく、授業外でも活躍しているようで、進学した大学には満足しているようです。思ったよりもいい大学に進学できたと喜んでいました。こういう大学に、今年の学生をどんどん入れていきたいです。

私は中間テストの問題を作りました。月曜日にもう一度見直して、印刷します。

翻訳が難しい

4月6日(月)

昨日の雨が花散らしになったようで、今朝の桜は明らかに盛りを過ぎたようすでした。式が始まる1時間近く前から、教職員よりも早く新入生がぽつぽつ来始めました。そして、6階の講堂に目いっぱいの新入生が集まったところで、入学式が始まりました。

毎回入学式では挨拶のときに全入学生をざっと見渡すチャンスがあります。1月期は、私の話にとってもよく反応する学生がいました。その学生は上級クラスに入って優秀な成績を残しました。大変快活な学生で、どの教師にも好印象を与えました。今学期は、残念ながらそういう学生はいませんでした。でも、妙にしらけている学生もいませんでしたから、まあ、平均的な新入生というところでしょうか。

卒業式に挨拶は翻訳が入りませんから、その場で好きなことが言えます。学生たちも日本人の思考回路にある程度慣れていますし、半分ぐらいは実際に教えたことがある学生たちですから、翻訳しづらいことも理解してもらえます。しかし、入学式はそういうわけにはいきません。翻訳がディスプレイに映し出されますから、そこからかけ離れたことは言えません。また、日本も日本人も初めてという学生が大半ですから、きちんと翻訳できる内容でないと、こちらの真意がうまく伝わらないおそれがあります。

今日の私の挨拶は、英訳してくださったS先生によると、訳しにくい言い回しがあったそうです。演題からディスプレイは見えませんから、私の挨拶がどう訳されたのかはわかりません。いずれにしても、日本人や日本に長いこと住んでる人にしかわからないような挨拶をしているようじゃ、まだまだ私はインターナショナルな人間じゃないようですね。

あさってからの新学期を控えて、学校の中はばたばたしています。明日は進学コースの学生たちへのオリエンテーションで、また忙しくなりそうです。

巨木から苗へ

3月11日(水)

8時を少し回った頃から、正装と盛装をした学生たちが三々五々集まってきました。去年までは四谷区民センターで行っていた卒業式を、今年は新校舎の6階講堂で行いました。区民センターに比べたらだいぶ狭いので窮屈なことは否めませんでしたが、それだけ卒業生との距離の近い式ができました。

校歌斉唱は、音楽大学に進学するAさんのピアノ伴奏で。昨日、おとといと練習したおかげで、みんな大きな声で歌えました。こういう儀式のときぐらいしか歌う機会はないのですが、歌うたびにいい歌だなあと思います。

卒業式での最大の仕事は証書の授与です。1人1人に「おめでとうございます」と声をかけながら渡します。今年は男の学生に見違えるような姿で私の目の前に現れた学生が何名かいました。Eさんはめがねを取って髪もすっきりして、全くわかりませんでした。Sさんもいつものむさくるしさが消え、好青年風に変身していました。卒業式を重く見ている証拠ですから、びっくりさせられるくらいは我慢しなきゃ。

式辞として、一流の人間になってほしいと訴えました。非常に漠然とした感覚ですが、私ぐらいの年になると、人に会った時、その人がどのぐらいの器なのかということを見てしまいます。そして、私自身が大した人物じゃないくせに、他人の器が見えてしまうことがけっこうあるのです。その時に、大きな人物に映るような人物になってほしいという意味で「一流」という言葉を使いました。現に、KCPへ遊びに来た卒業生に「こいつ、立派になったな」と感じさせられると、なんだかうれしくなります。

式の後のパーティーでは、毎年のことですが、この1年間この学校を支えてくれたこの学生たちが明日からもう来ないと思うと、一抹どころではない寂しさを感じます。この顔がいない学校なんてありえないとさえ思えてきます。大木が用材として切り出された後の、か細い苗ばかりの森を、1年かけて巨木がうっそうと生い茂る森へと育てていく気分です。来年の3月も、きっと同じ気分になるのでしょう。今私が受験講座や初級クラスで見ている学生たちが、きっと立派な柱になってくれると信じています。

温泉

2月27日(金)

朝からきれいに晴れ上がり、まだ都内を走っているうちから真っ白な富士山が見えました。その富士山がだんだん大きくなり、窓からはみ出さんばかりになると、そこは富士急ハイランド。

今回は、絶叫マシンに酔いしれる従来のコースに加え、富士急ハイランドの隣のふじやま温泉に入るというコースも選べるようになりました。私はその温泉コースで、駐車場から温泉へ直行しました。

ゆっくり温泉に浸って、たっぷりマッサージをしてもらって…というわけにはいきません。何せバス旅行では初めてなので、学生たちが押し寄せる前に下見を済ませなければなりません。大浴場には打たせ湯みたいな特別な入り方をしなければならないものはなく、床が濡れて滑りやすいことだけ気を付けてもらえばよし。風呂上りにビールを飲む不届き者の心配をしましたが、アルコール類の自販機はなく、こちらも一安心。

というようなことをして玄関の受付に戻ってきたら、学生の第一陣が来ていました。そこからは、受付で入館の手続をするまでの補助に当たりました。三々五々やってくる学生に、靴のまま上がって来きたり、受付を通らずに入ろうとしたりしないように指示を出しました。KCPの学生は、玄関を入り私を見つけるとみんなぴょこんと頭を下げてくれるので、すぐわかりました。

ところが、タオルをもらって大浴場へ行った学生がさっぱり戻ってきません。どうしちゃったんだろうとだんだん心配になってきた頃、赤く茹で上がった顔になって玄関の私の前に現れました。みんな満足してくれたようです。

そんなことをしていたものですから、楽しみにしていたマッサージは行けずじまい。途中A先生が玄関の見張りを代わってくれた時にちょっと昼寝をしただけでした。うーん、ちょっともったいなかったかな。

帰りは石川PAまでは順調に来たのですが、どうやら私たちがそこを出発した直後に事故が発生したらしく、渋滞を抜けるのに1時間以上もかかってしまいました。その分、新宿着が遅れてしまいました。K先生のバスでは、「みんな渋滞で遅くなってイライラしたと思いますが、一番イライラしたのは誰ですか」と学生に問いかけ学生から「運転手さん」という答えが出てきたところで、「そうですね。それでは運転手さんに感謝の拍手を送りましょう」締めくくったそうです。私はそこまでしませんでしたが、本当にそのとおりだと思います。安全に無事新宿まで送り届けてくださったドライバーの皆様、ありがとうございました。