Monthly Archives: 4月 2021

楽しみを奪われました

4月5日(月)

私は、12時ごろから1時半ごろまでは昼食を避けています。混雑のピークに、短時間とはいえ無防備な姿をさらしたくないですから。

2時過ぎでしたが、お昼に入ろうとしたお店はけっこう混んでいました。5人のグループが2つ、食事をしていました。でも、料理の残りが少なかったですから、私の料理が出てくることには食べ終わって出ていくだろうと踏んで、そのまま入りました。もう少し遠くまで行くことも考えましたが、雨が小やみになった瞬間を見計らって出てきていましたから、近場で済ませたかったのです。

注文して、料理が出てくるまでは、いつも本を読んでいます。実は、私のランチタイムは、半分以上読書タイムなのです。ちなみに、今読んでいる本は「大河ドラマの黄金時代」という本です。子どもの頃や学生時代に見た大河ドラマがよみがえってくるので、面白くて時間を忘れてしまいそうになります。

その本を数ページ読んだところで料理が出てきました。5人グループ×2は思ったより食事のスピードが遅く、まだスープをすすったり肉をつまんだりしていました。そんな状況でマスクを外すのは気が引けましたが、お持ち帰りにするわけにもいかず、口も鼻もあらわにして食べ始めました。

食べている最中も、あいつらいつまで食ってやがるんだと、気が休まりませんでした。味やにおいは感じましたから、感染はしていません。5人グループ×2はそのうち食べ終わりましたが、ご歓談が始まっちゃったんですねえ。談笑というほどではありませんでしたが、マスクを外したまま、地味に盛り上がっていました。店員さんが食器を片付けても、まだしゃべっていました。

私も食べ終わってしまいました。本来なら店で食休みも兼ねて読書にふけるのですが、5人グループ×2のじわじわと響いてくる話し声に追い立てられてしまいました。もう1セクションぐらい読めたのになあ…。

政治家や厚労省の宴会もこんな感じだったのでしょう。5人グループ×2よりも大声で派手にやっていたに違いありません。東京中、日本中こんな感じだったら、“まん防”などとのんびりした愛称の規制なんか、効き目がないこと疑いありません。

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五郎さん

4月3日(土)

俳優の田中邦衛さんが亡くなりました。私の世代では、田中邦衛さんといえば「北の国から」の五郎です。DVDなどではなく、毎週金曜日の10時からフジテレビの放送を見ていました。シナリオが発売されたので、それも買いました。誠実だけど不器用で危なっかしい五郎に、引き込まれていました。麓郷までは行きませんでしたが、富良野の街は歩きました。

死因は老衰だそうです。88歳で老衰というのは少し早いような気もしますが、大往生だったのでしょう。少なくとも、去年の志村けんさんに比べれば、やるべきことはやったという感じで天に召されたのではないでしょうか。

ニュースでは代表作として「北の国から」を挙げています。ご本人もその気持ちは強かったでしょう。そういうだれもが認める代表作が持てたことを誇りに思っていたのではないかと思います。田中邦衛さんが五郎を演じたのが50歳になる直前。あまりに若いときに代表作を持ってしまうと、それが重荷になってしまうこともよくありますが、アラフィフならそんなこともありません。絶妙の時期でした。

その年齢に、純と蛍、吉岡秀隆さんと中嶋朋子さんがなっています。純と蛍はお2人にとって20年以上演じ続けた分身のような役ですが、それに押しつぶされることなく立派な俳優に育っています。ここでもう一つ、田中邦衛さんのように後半生を代表する作品に巡り会えると、名優として語り伝えられるでしょう。

ご遺族によると、葬儀は行わないそうです。でも、純と蛍はお別れとお礼の言葉をかけたいんじゃないかな。葬式は生きてる人のためにあるって言いますが、本当にそうだと思います。

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リクルートスーツ

4月2日(金)

リクルートスーツそのままといったいでたちの若者が、学校の周りにも出現しています。マスク越しに笑い声も聞こえましたが、新入社員に皆さんには、もうしばらく緊張の日々が続きます。去年も同じ光景を目にしていたはずなのに、よく覚えていません。患者数は今の方がずっと多いのに、慣れなのでしょうか、余裕なのでしょうか。

KCPでも、入学式を行いました。去年の1月期以来、1年3か月ぶりです。現時点で新入生は入国できませんから、KCP史上初のオンラインでの入学式です。

挨拶をする立場としては、授業でだいぶ鍛えられたとはいえ、画面やカメラに向かってしゃべるのは、やりにくいですね。やっぱり、私の話を聞いてうなずいてくれる人が目の前にいてほしいです。それに、入学式は事前に原稿を書いてその翻訳が画面に出ますから、あんまり脱線するわけにはいきません。日本語がわからない人たちばかりだから日本語と翻訳に違いがあってもわからないという考えもありますが、それは不誠実な感じがして、やりたくはありません。そうすると、なおのこと、いつものペースに乗れなくなってしまうのです。

新入生はオリエンテーションやプレースメントテストを受けた後、オンラインで授業です。日本が開国したら一刻も早く入国して教室での授業に加わってもらいたいです。日本で進学するつもりなら、国にいるうちから周到な準備を始めておいてほしいです。そして、来日したら、リクルートスーツの新入社員よりずっと打ち解けた表情で学校の周りを歩いてください。

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証書

4月1日(木)

新年度を迎えましたが、まだまだ昨年度を引きずっています。午前中は進学データの抜け落ちを埋めていきました。午後一番には、3月の卒業生のTさんが来ました。

Tさんは卒業式当日が受験日だったので、証書がもらえませんでした。進学先が決まったことの報告と、KCPを離れる際の諸手続きを兼ねて、卒業証書を受け取りに来たのです。

Tさんとは、オンラインでばかり付き合っていました。同じクラスの学生の中には、オンラインとなるといい加減なことばかりしていた学生もいましたが、Tさんはそういう学生ではありませんでした。打てば響くような鋭さはありませんでしたが、階段を1段ずつ上ってきていることがわかる学生でした。

しかし、受験に関しては焦点が定まりませんでした。変な情報をつかまされては右へ左へぶれ続けていました。1本芯が通っていれば、去年のうちに進学が決まっていたはずです。それなのに「必ず受かる」とか言いながら無茶な受験をしては不合格を重ねました。あげくの果てに、ビザが出ない募集に応じようとし、担当教員総出で出願をあきらめさせたこともありました。

授業態度を見る限り、努力をいとうタイプだとは思えません。進学が無理なほどの日本語力でもありません。にもかかわらず、受験に関しては、逃げて回ったり真っ当な道を進もうとしなかったりしていました。結局、1年前に挙げた志望校とは似ても似つかぬ進学先になってしまいました。自分に自信が持てなかったのでしょうか。

JASSOの調査によると日本語学校生が激減しているとのことです。だから今年の留学生入試は楽になると考えて、危ない橋を渡ろうとする学生が現れるような気がします。そうすると、Tさん2世が生まれてしまうかもしれません。

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