日本人らしい

6月7日(金)

文法の教科書に「田中さんは日本人らしい人です」という例文がありました。「じゃあ、田中さんはどんな人だと思いますか」と学生たちに聞いてみました。これをお読みの皆さんは、どんな人を思い浮かべますか。

真っ先に挙がった答えが、「ハンカチを持っている人です」でした。確かに、KCPの学生は、年齢性別国籍を問わず、ハンカチを持っていません。トイレで手を洗っても、手を振って水を飛ばしてしまいます。そのためトイレの手を洗うところが汚くなってしょうがないのですが。それに対し、日本人は子供のころからハンカチを持つことを厳しくしつけられています。私も事あるごとに学生にハンカチを持つように言っています。だからハンカチを持っている人が日本人らしい人なのかもしれませんが、それが最初に出てくるということは、学生たちにとってハンカチを持つということがよほど普通じゃない行為に映っているのでしょう。

逆の見方をすると、ハンカチを常に持ち歩くことは、学生たちにとっては異文化の代表なのです。その中でも、なかなかまねできない、あるいはなじみにくい日本固有の文化であるに違いありません。外見だけからはわからない、日本人の隠れた特徴、日本で生活してみないとわからないちょっとディープな小ネタと言ってもいいかもしれません。

その他、仕事が終わったら居酒屋へ行くとか、すぐすみませんと言うとか、フムフムとうなずきたくなる答えが出てきました。「私は日本人らしいですか」と聞いてみたくなりましたが、ここで脱線し続けているわけにもいきませんから、次に進みました。進度が遅れても聞いてみたかったなあと、少し後悔しています。

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